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カタールについて語~る(-.-;; サム)

2022年のFIFA ワールドカップはカタールで開催されます。現在、その出場国を決める予選が世界各地で行われているわけですが、そのなかでこのようなニュースがありました。

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カタールワールドカップへの抗議運動広まる

今回はこのニュースを元にカタールについて少し学んでみましょう。

2002年 日韓ワールドカップの秘密

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欧州チームの抗議運動

カタールワールドカップの欧州予選でノルウェー代表やドイツ代表などが整列時にあるTシャツを着ていました。そこには HUMAN RIGHTS(人権)の文字。

その後、オランダ、デンマークも同じようなカタールでの人権問題に抗議する内容のTシャツを着用しました。

ワールドカップの会場建設に携わる移民労働者 37人が死亡したことを含め、6500人の移民労働者がカタールで死亡していることから、移民労働者の劣悪な環境への抗議を表明したものでした。

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カタールってどんな国?

さて、ここからカタールについて学んでいきましょう。

カタールはアラビア半島に位置し、秋田県くらいの大きさの国で、首都はドーハです。人口は280万人ほどで、その6割がドーハとその周辺に住んでいます。王族が支配しています。

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カタールの場所

地図の色でお分かりの通り、全域が砂漠なんです。しかし、この砂漠の国にはものすごい武器があるのです、それが1940年に見つかった油田です。このオイルマネーで国の経済を支えているわけです。

さきほど人口は280万人と言いましたが、純粋なカタール人は1割しかいません。残りの9割はインド、フィリピンなどのアジア圏からの労働者で構成されています。その影響で、カタール国内での男女比は3:1と男が圧倒的に多くなっています。

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ポイント1

カタールの近代化

第一次世界大戦でオスマン帝国が敗退した後、同地域はイギリスに実効支配されていました。1940年に高品質な油田が発掘されましたが、第二次世界大戦などの影響で1949年まで対外輸出はされていませんでした。

1950~1960年代に石油輸出によって国が豊かになり始め、繁栄への道を歩み始めました。その後、カタールは油田と天然ガス開発により資源国としての政策を進めていき、経済はほとんど石油に依存する形となりました。

一時は一人当たりのGDPが世界一になったこともあり、『世界で最も裕福な国』と呼ばれていました。しかし、同時に観光・娯楽施設がないことから『世界一退屈な都市』とも呼ばれました。その後、1995年より、方針転換し、観光都市をめざし娯楽施設の建設を始めたりしました。

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ポイント2

GDPについてはコチラ

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ワールドカップ誘致

オイルマネーで豊かになったカタールはスポーツにも力を入れており、FIFAワールドカップの開催にも意欲を示し始めました。

2010年にFIFA理事会で2022年ワールドカップの開催地がカタールに決定しました。しかしながら、その直後から様々な疑惑が出てきたのです。というのも、投票前のFIFA視察団のレポートでの評価では候補5か国のうち最下位だったからです。

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その後、アフリカの理事が賄賂を受け取ったという証言をしたこともあり、一気に疑惑は広がりました。続報では、FIFA元副会長がFIFA元理事のハマム氏が経営する会社から約2億円を受領したことや、タイサッカー協会とは、なんとタイの閣僚を巻き込んでの大きな話し合いを持ち、超格安でカタールの天然ガスをタイに卸売りすることが決まりました。

これらはごく一部であり、他にも多数の疑惑が報じられています。

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ポイント3

FIFAが調査

これ、2002年の日韓ワールドカップの時の韓国による審判買収問題でもありましたね。FIFAの独自調査。当時は『何もなかった』で終わりましたが。(笑)

実はその前の大会2018年のロシア大会にも疑惑があり、FIFAは2018年と2022年のワールドカップ招致に絡む不正行為について2014年に独自調査を開始しました。

関係者への聞き取り調査などが行われ、最終的な報告書が作成されました。2019年にはこの汚職疑惑で、”フランスの英雄” プラティニ氏が逮捕されました。

いずれにしても現段階では、”不正”をうたがう事象があったけど、大会を中止するほどのことではないという判断のようです。

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ポイント4

カタール大会の懸念事項

FIFAの調査により、不正があったことはわかっており、”買収”行為がFIFA内で横行していたことに対する懸念が広がっています。

他にも気候の問題です。ワールドカップはいつも6-7月に行われますが、砂漠のカタールでの気温の問題などでその時期に行うのは危険だという指摘です。エアコンスタジアムの案もありましたが結局予算の問題から流れて、最終的には大会を11-12月に行うことで決定しました。

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そしてもう一つ大きな問題がスタジアム建設などに関わる労働者の劣悪な環境です。さきほど述べた通りカタールの人口の9割はインドやフィリピンなどアジアからの労働者です。彼らがスタジアム建設の中心であることは明白ですね。

出稼ぎ労働者の多くが、水分補給や食事を与えられないなど劣悪な環境で働かされていることがイギリス、ガーディアン紙の取材で明らかになりました。これにより、スタジアム建設に携わる4000人の労働者が亡くなる可能性もあると言われています。

これが最初に出て気たカタールでの人権問題です。ヨーロッパの国代表選手がこれに反発する意味でTシャツを着ていたのです。

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ポイント5

まとめ

いかがでしたか?カタールワールドカップの問題点について手短にまとめてみました。

正直、組織には『不正』はつきものです。こんなの氷山の一角で、日本でも世界でも不正や汚職は横行しています。また、出稼ぎ労働者への不当な扱いは他人事ではありません。日本でも ”外国人技能実習生” という響きはいいですが、安い給料で働かせる制度があります。

まずは、問題を知ることからですね。

 

では、また(^^♪