荷物をまとめてパッと列車に乗り、豪華な車内で豪華な食事を楽しんで、韓国・中国・タイの車窓を満喫して、最後にシンガポール到着!
こんな旅があったらぜひやってみたいものですね~
大東亜縦貫鉄道
さて、歴史を遡ってみていきましょう。
1930年代、当時は日韓併合により朝鮮半島は日本の一部でした。
このときに、釜山からソウルを経て丹東、そして満州、北京も通って、ベトナム、タイまでのおよそ1万kmに及ぶ長大鉄道路線を作る案がありました。これが大東亜縦貫鉄道構想といいます。
その後、1940年代になると、東京から下関を結ぶ弾丸列車計画(新幹線の前身)が立てられました。
これは、当時日本から朝鮮・中国への輸送需要がかなり増していたことで、在来線だけでは需要に応えられないということから、高速新線を作ろう!という案でした。
ご察しの通り、これが後の”新幹線”に通じるわけです。
さて、この弾丸列車計画が出ると、この弾丸列車を大東亜縦貫鉄道とつなげたらめちゃ便利やん♪と考えられ、その中で日韓を海底トンネルでつなげる話が浮上しました。
完成すれば、冒頭でお話しした、東京からシンガポールまで弾丸列車でつながるなんていう計画だったのです。
しかしながら、その後まもなく、1945年敗戦に伴い、すべての計画はお蔵入りになったのでした。
統一教会
戦後に、日韓海底トンネルの話題など誰もしていなかったのですが、1980年代になって、韓国側で日韓トンネルを作ろうという声が出てきました。統一教会です。
教祖・文鮮明が「全世界を高速道路で結ぼう」として国際ハイウェイプロジェクトを提唱しました*1。
こうして日韓海底トンネルプロジェクトがまた日の目を見ることになったのです。
その後、日本国内でも「日韓トンネル研究会」が設立され、麻生太郎などの自民党有力議員が名を連ねていました。
以前も記事にしていますが、統一教会は反共という点では日米韓で共有の価値観ですが、一方で反日であることも事実です。
このようわからんアベコベの中、自民党は選挙協力に使えると踏んで、この反日宗教と蜜月関係だったのです。
▼統一教会について▼
自民党で検討
日本で消費税が導入されて35年以上になりますが、そのときの総理大臣は誰でしょうか?
はい、DAIGOさんのおじいちゃんにあたる竹下登さんですね。
この人が、当時日韓議員連盟の会長を務めており、自民党内での日韓トンネルの検討を指示しました。
この後は、日韓ともに前向きな反応を示しており、双方のトップ政治家が話し合いまでしていました。
振り返ってみれば、韓国では1998年まで日本文化を韓国内に入れることを禁止していました。
サッカーの日韓ワールドカップ共催などもあり、お互いの文化交流がOKになったのがこの頃です。
▼W杯日韓共催の裏側▼
▼韓国の愚民化政策▼
てなわけで、2000年に韓国の金大中大統領と日本の森喜朗首相のときに「日韓海底トンネル」の共同建設構想が動き出しました。
当時は、新たな日韓関係を築けるのでは?という大きな期待に溢れた時代でした。
しかしながら、国のお金、すなわち我々の税金を投入するためには、費用対効果を考えなければなりません。
経済性なし
2011年に韓国国土海洋部の調査結果では、日韓海底トンネル建設による、日韓での経済効果などを試算したところ、コストに見合う経済性がない*2ことが明らかになり、「もうやめとこよ」と提案しています。
考えてみると、福岡空港から釜山の金海空港で約250km、仁川空港までで約560km(東京ー新大阪間距離に相当)くらいあります。となると、福岡⇔釜山くらいの移動の人くらいしか旅行では使わないでしょう。
1泊2日くらいで行くなら断然飛行機なわけです。しかも、海底を掘るなんて莫大な建設費がかかります。
佐賀県の唐津から対馬を経由して韓国・釜山まで続く総延長270kmの海底トンネルの建設費は10兆円*3にも及びます。
これは日本の国家予算のおよそ1/10です。素人の意見としても、不採算だろうなと1秒でわかります。
しかし、こういう大きなプロジェクトは選挙の度に話題性で使われます。
2021年の韓国釜山市長選挙でも野党側は日韓トンネル構想を持ち出し*4、国内でも再び議論がおきました。国民アンケートでは6割が賛成という結果でした*5。
実は、韓国も結構日本好きということがわかりますね(笑)
日本側も、一時期はノリ気でしたが、日韓関係が再び冷え切ってくると、冷静な目で見れるようになったのか、「や、無謀でしょ」という感じです。
否定的な意見
否定的な意見について見ておきましょう。
さっきも述べましたが、270kmのトンネルを運転して日韓を行き来するのは、限られた地域の人達だけです。
しかし、日韓の現状を見てみると、特に韓国ではソウルと仁川市などを含めた首都圏に人口の半分が住んでいます。
日本だって東京一極集中が問題視されていますね。
結局のところ、首都圏同士の人的交流が一番大きいので、そこに焦点を当てると、航空便を増やす方が手っ取り早いわけですね。
あと、もう一つ反対意見として大きいのは、やはり統一教会が主導しているという点です。
安倍元首相の件依頼、多くの国民が統一教会の問題を知るようになりました。
旧統一教会の友好団体が、佐賀県唐津市内に、信者から集めた献金で日韓トンネルの用地取得していたことがわかっています*6。
というか、実はこれが統一教会の真の目的と考えられていて、この巨大プロジェクトを理由に多額の献金を集めるのです。
あと、地震の問題もあります。地震でトンネル内に海水が入った場合、救助隊の助けはほぼ無理です。相当な被害が出ることが想定されます。
さいごに
いかがでしたか?
一見、夢のある話ではあるのですが、そもそも日数がめちゃくちゃかかる移動なので、時間を持て余した方しかメリットは享受できません。
日韓の人的交流は首都圏やその他の大都市の人たちがメインです。空路の増便が手っ取り早いです。
そして、推進するのが統一教会というのもあり、現在ではもう廃案と言っても過言ではないですね。
島国に住む者として、ヨーロッパのように列車で国境を越えるとかに憧れはありますが、実際むずかしいですね
では、また(^o^
*1:https://www.jk-tunnel.or.jp/archive/kouen/kouen_doc/jkt-kouen-matusita-masatosi.pdf
*2:https://web.archive.org/web/20080311233908/http://www.nishinippon.co.jp/news/wordbox/display/264/
*3:https://www.fnn.jp/articles/-/400947?display=full
*4:https://www.tokyo-np.co.jp/article/91620
*5:https://www.dailyshincho.jp/article/2021/03171700/?all=1
*6:https://mainichi.jp/articles/20230110/k00/00m/040/140000c