マルチリンガル医師のよもやま話

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『サル痘は主にゲイ間で感染』なぜ言わない?

日本国内でもサル痘患者が出てきたことで、報道の頻度が増えています。

以前、サル痘について記事にしましたが、基本的にはゲイ同士の間で広がっています。

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もちろん、マイノリティーへの配慮は必要ですが、どのような人がハイリスクなのかを知らせることは公衆衛生上、重要なはずです。

今回はサル痘の続報について見ていきましょう。

サル痘とは

サル痘は、通常はアフリカで見られる皮膚のウイルス感染症です。

サルと名前についてますが、サルからたまたま見つかっただけです。通常はそのウイルスをもった動物に嚙まれたりひっかかれたら感染します。

サル痘とは

感染したヒト⇒ヒトは、”濃厚な接触”で感染すると言われています。もちろん飛沫感染でも移らないとは言い切れませんがまれです。

症状は、発熱、倦怠感、発疹などがあり、潜伏期間は1~2週間ほどです。

天然痘の予防接種が効果があることが分かっています。天然痘は根絶宣言され、1980年以降予防接種がされていません。つまり若い世代は感染のリスクがあるということです。

日本メディアの自重

日本のメディアはほとんど言いません。差別や偏見につながることを気にして配慮している?とされます。

安倍元首相の事件の時も、最初は統一教会の名前を伏せていましたね。これは差別・偏見を助長するからではありませんでした。

TVが統一教会を批判すると、信者らから抗議が殺到しました。

批判すれば、集団嫌がらせ

統一教会をわかりやすく

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特定の団体やマイノリティーについて言及するとこういうことが起こります。過去の経験から、このようなことは想定されていたので、多くのメディアは報じなかったと考えるほうが自然です。

森友学園問題では、メディアは、野田中央公園や辻本清美議員の関係を一切報じなかったのも、その背後にいる恐ろしい団体の圧力に屈したからです。

森友学園の真相

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記者だって自らが脅されたり、家族に危険が及びそうならば取材はしません

そうすると、ややこしいことに巻き込まれない為に自衛策をとります。つまり、叩きやすいとこはみんなでたたく。ややこしそうなとこはスルー。

これが日本のメディアです。

『ゲイの間で拡大』

一方、世界では普通に大手新聞などで、ゲイの間で広がっているとはっきり書いています。

今回は、たくさんある中で、アメリカのCNBC*1とフランスのル・モンド紙の記事*2から学びましょう。

CNBCの記事のタイトル

これ、CNBCの記事のタイトルですが、これがすべてを物語っています。

ま、せっかくなので、本文ももう少し見ておきましょうか。

95%以上はゲイの感染

WHOの専門家のコメントを紹介しており、感染者の、少なくとも95%以上は男性同士の性行為により感染していることが確認されています。

これ、すごくないですか?なにがって、数字!みんな正直に答えたのです。

日本でこの聞き取りしたら、みんな素直に答えますかね?『感染経路不明が8割』とかなりそうですよね(笑)

複数のパートナー

いまわかっていることとしては、男性同士のSEXで、さらに複数のパートナーがいたり、不特定の相手とSEXをする人はリスクが高いのです。

複数のパートナーはリスク高い

ま、これは性感染症と同じですね。梅毒や淋病とかでも複数のお相手がいる人がリスクが高いのはわかりますね。あと、乱交みたいな不特定な人と戯れるのも危険です。

そして、WHOとしては、『するな!』とは言っていません。『減らしてね』と言っています、配慮です。

スペインとベルギー

どうやら今回の拡大より前からポツポツとゲイコミュニティーでの感染はあったようです。スペイン紙によれば4月から報告*3があったそうです。

で、今回、世界規模に広がった理由の一つに”感染拡大イベント”があったようです。

『感染拡大イベント』

スペインとベルギーであったゲイの集まりのイベントから急速に広がったことが分かっています。

他の記事を読んでいると、最近は専用アプリもあり、出会いやすくなり、不特定多数の相手とマッチングして意気投合することも増えているのです。

一応、言うとくと、grindrというアプリです。興味あれば~

女性にはうつらない?

ここで疑問が沸きます。

性行為でうつるのであれば、女性も感染するのでは?でも、感染者の99%以上は男性とのこと。

ま、医療関係者ならAIDSがなぜゲイに多いか知っているので、理由はわかります。要は、使う場所です。

さて、答え合わせしてみましょうか。

肛門での感染

そうです。想定通り、肛門での感染です。つまり、女性であっても・・・(以下省略)

 

そもそも、女性の膣の場合は、性行為での刺激に耐えれるように作られていますが、肛門や直腸はそのようにはできていません。なので、そこで繰り返し刺激を受けると傷つき、その傷から感染するというわけです。

特に男性同士では避妊具も使いませんしね。避妊だけでなく、感染予防にもコンドームは適切に。

さいごに

今回は、サル痘の続報をお知らせしました。

日本のTV報道などでは、あたかもすべての人が注意しなければいけないかのような雰囲気になっていますが、それは重要な『ハイリスク群』について言及しないからです。

通常の生活を送る分では、恐れる必要のないものなのです。

海外では普通に報道されているのに日本ではされない。たまに思うけれど、日本は本当に不思議な国です。

では、また(^.^)ノ