梅毒と言えば、『昔の病気』というイメージがあるかもしれませんが、近年増加しています。特にコロナ禍以降急増していることが伝えられています。
今回は、コロナ禍が生み出した社会の変化と梅毒の増加について学びましょう。
梅毒とは
まずは少し梅毒について。
梅毒はトレポネーマという細菌の1種による感染症で、基本的には性感染症です。他にも、母親が梅毒感染していると生まれてくる赤ちゃんに感染する先天性梅毒もあり、後に難聴をきたすこともあります。
昔から戦争や大飢饉など社会情勢の乱れがあると、性感染症が増えることは世の常でした。
梅毒では感染してしばらくしてから全身にバラ疹と呼ばれる赤い皮疹が見られ、それが梅に例えられたことで”梅毒”と呼ばれるようになりました。
厄介な点として、経過が非常にゆっくりで、感染後5~10年くらいたって死に至る病気です。
ペニシリン系の抗生剤が効果があるので一応治療はでき、死に至ることはまれですが、ワクチンはなく予防はできません。
最近の傾向
ところで、アメリカでは梅毒は男性同士の性行為で感染拡大がほとんど*1なのですが、日本の近年の傾向を見ると、男女間での性行為で急拡大していることがわかります。
なぜ近年増えているのでしょうか。
1つ目のヒントはスマホです。スマホの所有率は2010年で4%、2015年で51%、2020年で89%*2とこの10年で急拡大しました。
さっきのグラフも2010年ごろから微増⇒急増となってきていますね。
もう一つのヒントは、日本の梅毒患者の年齢層です*3。男性は10代~60代と幅広く、女性は10代~30代に集中しています。
ここまでをまとめると、性感染症で、スマホの普及とともに増加し、男性は幅広い年齢層だけど女性は若い人だけ。
つまり、風俗での感染や、近年はスマホでのパパ活で気軽に『関係』をもつのが原因と考えられます。
風俗店とコロナ禍
では、風俗店とコロナ禍を見ていきましょう。
2020年、コロナは未知の恐怖のウイルスでした。感染拡大を防ぐために緊急事態宣言が発出され、『不要不急』の外出を減らしたり、密を避けることが好まれました。
当然、それは風俗店の売上に大打撃を与えたことは想像に難くありません。
NHKの特集*4では、風俗店で働き梅毒感染した女性の証言をまとめています。
自粛で客足が遠のいた風俗店では、オプションを前面に押し出し、お嬢たちも稼ぐためにそれを受け入れるしかなかったのかもしれません。
さらに、感染が分かった後も、客には言わず仕事を続けていたのです。これは1人の証言にすぎませんが、氷山の一角でしょう。
マッチングアプリ
近年、マッチングアプリで交際をするカップルも結構いますね。
今の10代~20代からすれば『普通』の感覚なのかもしれません。このマッチングアプリにもコロナ禍が影響していたようです。
コロナ禍の自粛で、寂しさを埋めるために始めたマッチングアプリで、見知らぬ異性と関係を持ち性感染症になった男性の証言です。実際、コロナ禍以降、マッチングアプリの利用者は急増*5しました。
このように気軽に出会えるようになったマッチングアプリに殺到するのは一般人だけではありません。要は、さっきのような寂しい男性を相手に『営業』をするお嬢たちもいます。
個人でやれば、もらったお金が丸々自分の収入になりますしね。
パパ活
マッチングアプリが『個人の風俗店』を形成したわけです。
そして、40-50代男性もマッチングアプリに足を踏み入れます。これは『パパ活』という、一見”きれいな”名で呼ばれていますが、金銭のやり取りが発生しておりれっきとした援助交際ですね。が、しかし、いまやパパ活専用アプリが乱立しております。
要は、風俗がより気軽になったワケで、そりゃ梅毒も増えますよねって話です。
パパ活って、小遣いほしい女の子がやるものと思われがちですが、上図のように、コロナ禍での収入減でやむを得ずパパ活でお金を稼ぐ人たちもいるのです。
アメリカでも急増
さて、実は梅毒は日本だけでなく、アメリカでも急増しています。
アメリカでは、2021年、性感染症全体が26%も増加しており、梅毒も史上最多の感染者数をたたき出しています。原因は当たり前ですが、コンドームを装着しない性行為によるものです。
では、なぜそのような状況になったのかというと、性教育や啓蒙活動をやめたからだと指摘されています。
予算が付かなくなり、2013年で梅毒撲滅運動は終了しました。以降、梅毒患者は年々増えているのです。
さらに、もう一つの指摘としては、コロナ禍で溜まった鬱憤が、規制緩和とともに爆発し、性交渉が活発化したというものです。性の解放。
さいごに
日本でもアメリカでも梅毒は増え続けいています。
性感染症であり、原因はハッキリしています。つけていないからです。
アメリカでは、性感染症の啓蒙活動を辞めて以降、増え続けています。
また、コロナ禍で生活に困窮し、やむを得ずパパ活に手を出したり、風俗でもリスクのあるオプションを取ったり・・・
たしかに、最後の指摘のように、長引いたコロナ禍に対する鬱憤で『開放的』になったのかもしれません。
このようにコロナ禍は、見えないところでも私たちに影響を与えているのでした。
では、また(^^♪
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