マルチリンガル医師のよもやま話

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シベリアに眠るゾンビウイルス

ここ最近、欧米メディアで”ゾンビウイルス”に関する記事をよく見るようになりました。

この問題は昔から指摘されていた話ですが、新型コロナのような世界的なパンデミックにより、注目度が上がっています。

それではthe Guardianの記事*1から眞学んでいきましょう。

シベリア

シベリアという名称は昔からなじみがありますが、正直どこのことかわかっていませんでした(笑)

まず、ウラル山脈より西側がヨーロッパ、東側がアジアという風に分けられています。

ウラル山脈を基準に・・・

ロシア連邦という国は非常に大きくヨーロッパ側にも領土があります。

で、ロシアのアジア側にある地域がシベリアと呼ばれます。

シベリアの定義は他にもいくつかあり、上図の薄いオレンジ(極東ロシア)部分は含まないものもあります。

で、昔はツングース系とかモンゴル系の人たちが多く住んでいましたが、ロシアのシベリア進出に伴い17世紀以降はロシアが支配しています。

永久凍土

永久凍土とは、2年以上ずーっと気温がマイナスの地盤を表す言葉です。

永久凍土とは

北半球ではおよそ20%が永久凍土だそうです。

1年中凍っているということは、1年通して気温が0℃を下回っています。

しかし、平均気温が0℃周囲になると、融解します。

この永久凍土の融解は、地球温暖化の指標の1つとして観測が続けられています。

永久凍土の中には、メタンハイドレートが含まれている*2ので、地球温暖化により融解するとメタンハイドレートが放出されます。

すると、これらの温室効果により温暖化をさらに加速させることになるのです。

ゾンビウイルス

永久凍土というの、天然の冷凍庫で、さらに光も当たらず酸素もないので、その中にあるものは長期保存が効くわけです。

なので、大昔のマンモスの化石が非常に良好な状態で見つかったりもしますね。

ゾンビウイルスの恐怖?

ということは、遥か昔に存在したウイルスが永久凍土により良好に保存されており、それが地球温暖化とともに溶け出して、パンデミックを起こすのでは?と考えるのもわかりますね。

通常、新規感染症などは熱帯地域(南)から北へ広がると考えることが多いです。

たしかに、マラリアデング熱など熱帯地域で多い感染症が、温暖化とともに今まで少なかった国でも広がりつつ*3あります。

北から南に広がる感染症にも注意を

反対に極寒の地域から南へ広がる点については盲点となっていると、科学者の懸念の声が紹介されております。

感染力がある

ウイルスが見つかるだけなら問題はありません。

重要なのはそのウイルスに感染力があるかどうかです。ウイルスは細菌と違い、生物ではないので、”死にません”。ただ環境によっては感染力を失います。

感染力を保持していた

2014年にシベリアの永久凍土から採取されたウイルスは、何千年もの間眠っていたのにも関わらず、いまも感染力を保持していることがわかりました。まさにゾンビですね。

以降も、同様の報告が相次いでおり、その中には4万8500年経過したウイルス*4も含まれていました。

まぁ落ち着いて

ここまで聞くと恐ろしいですが、重要な事実があります。

「人類には影響がないだろう」

これらの報告で採取されたウイルスは、単細胞生物であるアメーバに感染するのみで、人類には感染しないと考えられています。

そう、ヒトに感染するウイルス、トリに感染するウイルス・・・これらは別なのです。

しかし、今回の新型コロナもそうですが、突然変異(もち危険実験も含む)によりヒトにも感染するようになれば話は別ですが・・・

ウイルスの危険実験

www.multilingual-doctor.com

ヒトが感染源?

先にも触れた通り、地球温暖化で永久凍土がかなりの速度で解けつつあります。

そこからゾンビウイルスが溶け出すことももちろん恐ろしくはありますが、それよりも怖い問題が指摘されています。

北極の氷の融解

地球温暖化により北極の氷が解けていることも知られています。

北極にはかなりの資源が眠っていることがわかっており、将来的にはその資源獲得の為に大規模な開発が計画されています。

その開発の中で、永久凍土を掘削し飛散したゾンビウイルスを労働者たちが息をするたびに吸い込むのです。もし、そのウイルスがヒトに感染できるならば・・・

ヒト⇒ヒト感染でどんどん拡大。。。

乱開発のリスク

過去の新規感染症をたどれば、だいたい土地の開発に関係していることがわかります。

動物の領域に入り込むと・・・

オオコウモリの生息地を開発したことで、ニパウイルスが人類に感染拡大したり、同性愛の人たちの間で広がりやすいサル痘も、もともとはアフリカの都市開発によりヒトへの感染が広まったとされます。

昔は動物の生息地とヒトの生息地は分かれており、それらの感染症はヒトとは無縁でした。しかし、乱開発がそういったウイルスへの曝露の機会を増やし、変異を促したと考えられています。

 

うーむ、色々考えさせられる話でした。

では、また(^^♪