マルチリンガル医師のよもやま話

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『中国よ、危険ウイルス実験やめろ』

またコロナ感染者が増えてきており、アメリカではコロナ禍に入って以降、2番目の多さの感染者が出ています。原因は変異したJN.1です。

JN.1(ピロラ)

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今回は、新型コロナウイルスにまつわる”危険実験”についてのニュース*1を見ていきましょう。

機能獲得実験

いつも通り基本のおさらいから行きましょう。

ウイルスでも、細菌でも、ゴキブリでも・・・変異したり、薬に耐性を持ったりしてより厄介なものに進化する可能性があります。

ゴキブリと人類の戦い

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どのような変異・進化が起きると人に大きな影響を与えるか、そういったことを予め想定し、対処法を準備できるのは人間だけの業です。

遺伝子をイジったりしてヤバそうなウイルスにする研究を機能獲得実験と言います。

将来を見据えた重要な実験ではありますが、裏を返せばかなり危険な”変異体”を人為的に作り出すので、万が一それが研究室から流出してしまうと・・・

はい、これが研究室流出説ですね。当ブログでも何度も扱い、実際、新型コロナは流出説がかなり可能性が高いと思っています。(研究者が感染して広げてしまった?)

アメリカ⇒武漢ウイルス研究所に委託

アメリカではオバマ政権で2015年、国内での機能獲得実験を当面中止しました。

ファウチ博士らはエコーヘルスアライアンスという組織を通じてアメリカから武漢ウイルス研究所370万ドル(うち60万ドルがコロナウイルス用)の資金提供*2を行い、アメリカの研究者らも共同研究を行うことになりました。

実際、武漢ウイルス研究所ではコウモリ女(石正麗博士)らがMERSコロナウイルスを用いた機能獲得実験を行い、論文*3も出していますね。

研究室流出説シリーズ

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『マジでもうやめろ!』

今回のニュースは中国が今も機能獲得実験を行っていることに対する学者らの怒りを紹介しています。

『危険実験は今すぐやめろ』

うーむ、タイトルからして刺激的ですね~(^^)

センザンコウっていうアルマジロみたいな動物に感染するコロナウイルスが、新型コロナウイルスと酷似していることは以前からわかっていて、そのウイルスを用いた実験をしました。

ヒト化したネズミに感染させると・・・

センザンコウのコロナウイルスは通常ヒトには感染しません。しかし、実験の過程でウイルスにたまたま(?)変異が起きたらしく、その変異ウイルス(GX-P2V)を使いました。

ネズミに、ヒトのコロナ感染に関連するタンパクを発現させて”ヒト化”し、先ほどの変異ウイルスを感染させました。

すると、コロナウイルスによりネズミの脳が攻撃されたのです。

「目が真っ白になり死亡」

もう少し詳しく見てみましょう*4

ネズミはすべて8日以内に死亡

感染させたヒト化ネズミはすべて8日以内に死亡しました。

脳や目にも感染か

さらに、ヒト化したネズミの脳や目からも大量のウイルスが見つかりました。つまり、感染すると目や脳でもウイルスが増殖するのです。

目が真っ白になり死亡

そしてネズミの目は真っ白になり、急速に痩せていき死亡したそうです。

致死率100%で、しかも急速に進行・・・

もしこの変異ウイルスがヒトに実際感染するようになれば恐ろしすぎるぜ!っていうのが中国の研究の報告の結末でした。

世界の反応

これに対して英・UCLの感染症専門家の反応が紹介されています。

この研究は間違った方向に進みうる

こういった危険なウイルスを扱うには、漏出が絶対に起きないように何重にも対策のされた施設で行わければいけないが、論文ではその施設のレベルなどは書かれていないと懸念を示しています。

新型コロナの教訓生かせてない

また、英・ラトガース大学の教授の声も紹介されており、新型コロナ発生はおそらくこのようにして起こったのに、その教訓を生かさず同じようなことをしているとかなり怒っておられますな。

『ネズミだからじゃない?』

致死率100%と聞くと恐ろしいです。いくら感染に関連するタンパクがヒト由来であったとしても、ネズミだから全部死んだんじゃない?という意見もあります。

ヒトではそんなことにならないかも

新型コロナの初期の原始株もネズミを使った実験では致死率が100%だったというものが複数あり、ネズミではそうなるけどヒトに当てはまるかは不明です。

『やめさせろ』

オバマ政権で一時中止され、その後、再開された機能獲得実験ですが、2022年以降、バイデン政権はかなりルールを厳格化しており、容易にはできません。ただ、それはアメリカでの話。

『古典的な機能獲得実験だ』

今回の中国の研究に対しては、どうみても機能獲得実験と考えられます。

しかし、中国側からすれば、「やー、今回の実験はウイルスがたまたま変異しただけだから違う。」と言い逃れするかもしれません。

変異したのか、させたのかはさておき、危険極まりない実験なのは変わりありません。

さいごに

いかがでしたか?

今回の中国の研究はセンザンコウから取ったコロナウイルスが変異して、ヒト化したネズミに感染させると1週間で全部死亡したというショッキングなものでした。

つまり、このようにセンザンコウや他の動物の持つウイルスがヒトに感染するように変異すれば新たなパンデミックが起こりうるのです。

今回の研究の一番の問題点は、かりにウイルスがたまたまヒトに感染するように変異を起こしてしまったとして、そのウイルスを扱った施設の安全対策について一切の言及がなかったことです。

研究者が感染する可能性、死体の処理は適切にしたかなども不明なのです。

ちゃんとしてくれーーー

 

では、また(^^♪