マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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『地球、これからマジでヤバいぞ』

地球温暖化による異常気象については、世界中から懸念の声が上がって久しいです。

我々も、年々暑くなる夏を肌で感じているわけです。

かたや「地球温暖化は存在しない」と頑なに否定する人も一部います。トランプ大統領もそうです。。。

リーダーが”非科学的”なのは残念すぎますが・・・

さて、今回は”海流”にも大きな変化が起きていることがわかりました。学んでいきましょう*1

大西洋子午面循環

まずは、基本知識を確認しておきましょう。

今回の主人公の名前は大西洋子午面循環で、略語はAMOC(エイモック)と言います。以後はAMOCと書きますね。

AMOCは対象に大西洋を南北(子午面)に結ぶ海流で、『自然界のベルトコンベア』とも呼ばれます。

最近、アメリカが手に入れたがっているグリーンランドの沖合で、表層にある温かく塩分濃度の高い海水が冷却され深層へ沈み込みます。

そして、深層にある冷たい水を南下させます。

ザックリというと、南から北へ温かい海水を運び、北から南へ冷たい海水を運ぶわけです。

海水は非常に重要で、地球温暖化による増えた熱エネルギーの9割を吸収・蓄積し、急激な気温上昇を和らげいます。

逆もまた然りで、急激な気温低下を和らげる役割も果たしています。

最新の研究では、この気候の急変を和らげる海水の動きによろしくない兆候が見られているようです。

AMOC崩壊

AMOCの循環が欧州やアフリカ、南米・北米などの気候の急変化にブレーキを与えています。

しかし、この”ベルトコンベア”も、地球温暖化の影響で機能が弱まってきており、過去1600年で一番機能低下していることがわかっています。

このまま進むと、AMOCは崩壊するだろう・・・

これは誰しも考える自然なものです。

実際、約1万2000年前にAMOCは崩壊したことがあります。これにより、北半球は急速に寒冷化(短期間で平均気温が10℃低下)し、氷河期となりました。

平均気温はわずか5℃の低下でも多くの陸地が氷に覆われるそうです。

このようなダイナミック変化が起きる可能性があるのです。

海流崩壊は『確実』

スーパーコンピューターを元に、いつくらいに AMOCが崩壊するのか、世界中で研究がなされています。

しかし、こうした試算というのは、入力する『前提条件』が少し違えば結果は大きく異なります。実際、研究により結果は大きくバラついています。

例えば、「2100年まではAMOCのさらなる機能低下は見られない」というものや、「化石燃料の使用を段階的に減らしていき、最終的にゼロにしたとしても、約65%の機能低下になる」という結果を打ち出したものもあります。

これらの結果は、入力する大西洋の海水の塩分濃度の微妙な違いで大きな違いが出ます。

学術誌『Science Advances』に掲載された今回の研究*2では、信頼性を高めるために、実世界の海洋観測データとモデルを組み合わせて、『不確実性』を大幅に縮小させました。

そこからはじき出された答えは・・・

2100年までに海流の機能低下は42〜58%に達するというものでした。

ここまでくれば、AMOCの崩壊はほぼ確実だと、研究者らは言います。

メカニズム

なぜ温暖化でAMOCの崩壊が起きるのでしょうか?

地球規模で気温が上がると、わかりやすいのがグリーンランドや北極の氷床が溶けることですね。

これにより、大量の水が海水に溶けます。氷には塩は含まれず、H2Oだけなので、大量の氷が溶けると、北大西洋の海の塩分濃度は薄まります

AMOCで、海水が深層へ沈み込むのは、「冷たくて重い(塩分濃度が濃い)」海水だからです。

塩分濃度が薄まった軽い海水では、この沈み込みが起きにくくなります。こうして、海流が減少→→停止と進みます。

大規模な食糧難

AMOC崩壊で何が起きるのでしょうか?

AMOCは熱帯地域で温められた海水を欧州・北極圏へと運び、今度は冷却された海水を熱帯地域に運ぶことで、気温の急変化を防いでいるのでしたね。

つまり、AMOCが崩壊すると、気候変動は一気に進みます。

熱帯地域は更に暑く、北側では更に寒くなります。そして海流が減速することで、流れないので海水面が上昇します。

試算では50〜100cm海面が上昇すると言われています。

また、熱帯の降雨帯が南へ移動することで、モンスーンが乱れ、アジアやアフリカの農作物に多大な影響を与えます。

海水温の急な変化は海洋生物に大きな影響を与え、漁獲量の大幅な低下が起こるでしょう。

これらにより、数億人〜数十億人規模の食糧難につながると考えられています。

『可能性は50%以上』

35年にわたり、AMOCの研究をしてきたドイツ人学者・シュテファン・ラムストルフ教授は、かなり危機感を感じています。

AMOC停止の可能性が5%と言われた頃から、彼は警鐘を鳴らしてきましたが、「いまや可能性は50%を超えてしまっている」と。

また、2050年までに停止していしまう可能性も十分高いともいいます。

 

近年の異常な夏の暑さや、ゲリラ豪雨などを見ると、本当に何かおかしなことが起きているんだろうなと感じていますが、今回の研究を見て将来がちょっと怖くなってきます

 

では、また(^^♪