マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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忘れ去られたコロナ投稿

最近、Science誌の中で興味深いものがありました。

「忘れられた投稿をもう一度」

コロナ起源について再考しようという内容のものです*1

興味津々。

てなわけで、しっかりと学んでいきましょう~

第3の説

コロナ起源については、野生動物から広がっていった自然発生説と、武漢ウイルス研究所からの流出説の2つが主に議論されてきました。

当ブログでも過去に何度も扱っており、「流出」の可能性が高いんじゃないかと考えております。(※なお、一般科学界では『自然発生だろう』とされています)

コロナは研究所流出か?

www.multilingual-doctor.com

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コロナ発生から1年半以上過ぎた2021年9月、中国のSNSのWeChatで匿名の投稿がありました。

アメリカ・メイン州から武漢の華南海鮮市場に届いた冷凍ロブスターにいたウイルスが新型コロナだというものです。

当時、確かにありました。「海外からの冷凍食品に付着したウイルスのせいだ」という主張。

これらは、中国が責任逃れのために広めた説だとして、相手にされませんでした。

しかし、新たな分析では、この匿名の投稿がコロナ禍起源の謎を解くカギになり、また中国がこれに関する情報を隠しているという根拠になりうるとまとめています。

フランスの生物学者

ここで1人のフランス国立研究機関の進化生物学者G(女性)が登場します。

Gは、今までのある情報を積み上げた結果、科学的に見て、「コロナは自然発生だ」と強く信じていました。

匿名の「冷凍ロブスター説」投稿を見て最初は「とても手の込んだ誤情報だわ」と言いました。

しかし、その投稿を今改めて深く読み込んでいくと、彼女は腰を抜かしました。

なんと、その投稿には、華南海鮮市場内の店の正確な地図が示されており、その中で、コロナに感染している野生動物の置いてある場所まで特定してあったのです。

また、もう一つ、その市場の売り手の「コロナに対する抗体(つまり店員は感染していた)」を持っているというデータまで載せていたのです。今まで中国はこの情報を一切公表していません。

後に、華南海鮮市場の内部の地図は細部に渡って『正確』だと確認されたことから、彼女はこの匿名投稿の信憑性が高まったと言います。

つまり、匿名の投稿は、内部の”事情を知る者”がしたと考えられます。

崑崙の剣

匿名投稿の主は【崑崙(こんろん)の剣】という名前を使っています。

崑崙山は中国の伝説上の山で、道教と関連があります。崑崙の剣は、2019年夏からアメリカで起きた、電子タバコ関連肺障害(EVALI) の中に、実はコロナ肺炎が紛れていたと主張しています。

覚えていますか?電子タバコを吸っている人が肺炎を起こし、2020年2月までの間に2080人が入院し、68人が死亡しました。

この数カ月後に、新型コロナが騒がれ始めたのです。

2019年12月31日、謎の肺炎クラスターが華南海鮮市場に関連すると、中国はWHOに報告し、翌日市場は閉鎖されました。

当初は、不法取引されている野生動物が感染源だと考えられました。

崑崙の剣の主張する、米・メイン州からのロブスターが感染源というネタは、インドにある中国総領事館がTwitter(現X)で拡散し、話題となりました。

市場の地図

2021年の崑崙の剣の投稿以前は、市場に関する地図は2つしか公開されていませんでした。

一つは2020年のWHO主導での調査で、もう一つは中国CDC(疾病管理予防センター)からの流出文書にあったものです。

このときのWHOの報告では、コロナ集団感染がわかった後、当該市場の動物や職員たちを検査するとすべて陰性だったのです。つまり、市場内で動物から広がったというのは考えにくいのです。

そして、その後、崑崙の剣が新たな地図を3つ投稿しました。

これらの地図は中国CDCやその他の中国研究機関が作成した報告書内に含まれるものでした。

これらの報告書では、「コロナ陽性」「抗体陽性(既感染)」などは0だと報告していましたが、その中に含まれる地図(崑崙が投稿)では、米・メイン州から来たロブスターを売っていた人たちなど4つの店の人物と、店の床、下水道からコロナが検出されたことを示していました。

つまり、報告書を出す時に、文書は「コロナ陽性者はいなかった」と書き変えたけれど、地図に書いた部分は削除し忘れたというわけです。

その地図を見ると、市場内の17の店の人が感染していることも記載されています。(もちろん報告書の文では0名とされる)

中国の隠蔽

その地図には、ある1つの店(A店)で扱われる動物の18の検体からコロナ陽性が確認されたことも記載されている。

フランス人生物学者Gは驚きを隠せませんでした。2023年に彼女と同僚たちは、中国の研究者らが出した遺伝子データなどを元に、コロナが拡散されたのはまさにこのA店だとまとめたのです。

それが2021年にWeChatに投稿された地図に載っていたのです。

仮に、この匿名投稿が正確だとしても、新型コロナが動物からヒトに感染したとか、逆にヒトから動物に感染したかということまでは証明できません。

ただ1つ言えることは、中国は当時、持っている情報をすべて公開しなかった、隠蔽したということは明らかになりました

最初、世界の研究者らが、患者から取った検体を調べさせてくれと言ったときに『破棄してもうない』と言ったのも、ありえなかったですが・・・

ただ、なぜ隠蔽したか?

ここが一番気になるところですね

 

では、また(^o^)