マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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医学が発展しても150歳まで

人間は何歳まで生きれるんだろう?

誰もが考えるような疑問ですね。

例えば、80歳を過ぎて、がんや心臓疾患、糖尿病などの大きな健康問題を被らずにここまで来たとしても、寿命には必ず”天井”があります。

今回はこの辺、科学的に見ていきましょう*1

復元力の衰退

人間の不老不死という野望を邪魔しているものは、ザックリと『復元力』だと言われています。

若い頃と比べると、ちょっとしたことで怪我をしたり、動けなくなったり、病気がちになる、しかしそこから元のレベルへ戻ることを復元力と言っています。

今回、Nature Communications 誌に掲載された研究*2によると、この復元力の衰退があるゆえ、人類の寿命は最長でも120〜150歳までだと結論づけています。

研究者らは青年期(16〜35歳)、中年期(35〜65歳)、老年期(65歳以上)で、グループを分け、採血結果、歩行数などを用いて『加齢』を数値化してみました。

復元力は”段階的”に低下

すると、採血結果や日常の歩数は、大きな長期疾患がない限りは、それほど変化はありませんでした。

最初は、時間経過とともにゆっくりゆっくりとこれらが衰退していくと研究者らも予想していました。

そうではなく、実際は、期間ごとに見ると、被検者が以前の健康レベルに戻れない復元力の段階的な低下が見られたのです。

元に戻れない

若いときは、ちょっとひどい風邪で寝込んでも、100%元の体力レベルに戻るでしょう。また、こけて大きな傷を作っても、最終的には100%元の皮膚に戻るでしょう。

しかし、年老いていくと、病気や怪我をしたあとに、元の状態の90%とか95%までしか戻らない、こういうイメージです。

それを繰り返すうちに、体力や病気への抵抗力は徐々に落ち、更に頻繁に”障害物”と遭遇するようになります。

体力はどんどん少なくなっていき、病気からの回復も時間がかかるようになります。

これが復元力の低下です。

青年期、中年期、老年期の3つのグループでそれぞれ、何十年にもわたる”回復時間”をグラフ化していくと、復元力の限界が来て体がついに崩壊してしまうタイミングがあることがわかりました。それが、120歳から150歳であるとこの研究で明かされました。

歩数

ところで、この研究ではなぜ、採血データと歩数と言うものを指標にしたのでしょうか?

採血では、年齢に関係なく、基準値というものは決まっているので、これは理解できますね。例えば、高齢になれば、貧血が進みやすいなどが読み取れます。

一方で、歩数はどうでしょう?数値化されるという意味ではわかりやすいですが、高齢者では個人差が大きすぎるとも言えますし、生活環境で車社会かどうかでも大きく変わると思います。

例えば、CDC(疾病予防管理センター)は、健康維持に1日1万歩を推奨していますが、2019年の研究では歩数が多いほど、死亡率は低いが、7500歩が上限でそれ以上は差がないとしています.

つまり、多ければ多いほどいいというわけではありません。

そんな中でも、個々の数値を見ると、やはり復元力の低下がみられるそうです。

研究者らは、採血データと歩1日の歩数という2つの変数は、多くの人がかなり違ったものだと認識しているが、2つとも「加齢と復元力の低下」という共通の結果を導いているとまとめています。

さいごに

この人類の寿命の限界は120〜150歳というのは、どう解釈すればいいのでしょうか?

この研究論文の著者によると、最長の寿命というのは、環境や外傷・疾病などの外的要因によらず、本来の生物学的特性を表したものであり、誰もがこの年齢までいきれるはずがないと。あくまで、現代人の遺伝子的には最高でこの年齢まで生きれる可能性があるというくらいのものだと。

永遠の命を求める人からすれば、「たった120〜150歳かよ」となりますが、現代のアメリカ人の平均寿命を考慮すれば、最大で2倍近く人生が伸びるのだとも言えます。

しかしながら、長生きだけがすべていいものではありません。

80歳を大きく過ぎて、体が動きにくく家に籠もってあと50年も生きるというのは、それはそれで大きな苦痛なような気もします。

 

では、また(^o^)ノ