マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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ポリコレ ~政治的判断~

ポリコレ(PC)という言葉を政治の分野で耳にすることがあると思います。これはpolitically correct (政治的に正しい)の日本語略称です。

例えば、英語ではblack(黒人)と呼ぶのは避けられ、ニュースなどではAfrican American と呼ばれます。

日本語で言えば、看護婦→看護師保母→保育士と呼び方を変えたものがポリコレですね。

つまり、政治の上では、【科学的な正解】とは違った【政治的な正解】があるのです。

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配慮と忖度

元々のポリコレは、呼称等を含め、相手を傷つけない為の”配慮”で言い換え等を行うものでした。しかし、それは行き過ぎると、一部の人たちへの過剰な”忖度”になってしまうのも事実です。

過剰な忖度になると、反発が大きくなり、国民を分断させ、小さな火種から大きな衝突が起こります。例えばBLM運動やフェミニズム問題などもまさしくその一部ですね。

メディアのご都合主義

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いわゆる「右側」と呼ばれる保守的な人たちは、こういうポリコレを好みません。

分かりやすい例で、アメリカのトランプ元大統領は、大統領になる前の2015年 第1回共和党大統領討論会の演説内*1で次のように言いました。

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トランプ元大統領の発言

もっとわかりやすく言えば、「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ Poison♪」ということでしょう。(笑)

そう、彼はWHOのポリコレを無視して China Virus と呼び続けていましたね。

日本脳炎や西ナイル熱はOK、China VirusはダメというWHOのダブスタ。

WHOはいったい・・・

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科学的正解≠政治的正解

それでは、今回のコロナ禍について考えてみましょう。

この厄介な感染症を0にしたいのなら、例えば、医療の専門家たちは初期の段階でこういうでしょう。「鎖国、完全都市封鎖」

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バランスをとるのが政治

しかし、そうなっては日本の経済が完全に止まってしまいますし、インフラの仕事を止めると生活できません。また、法的根拠や補償なくして都市封鎖も出来ません。

そこで、政治家の仕事は”政治的に正しい”選択をすることです。政治と経済、うまくバランスをとって、お互いのマイナスを最小限にするのが政治的正解です。

科学的にこうあるべき!というのは政治的にこうあるべき!とは違うのです。

発生起源調査報告

前置きが長くなりました。(笑)

バイデン大統領の指示で3ヶ月の特別調査を行った情報機関による、新型コロナの発生起源調査報告一部だけ公開*2されました。

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コロナ起源調査報告 by 民主党

今回の民主党側の調査報告は3ヶ月前から実質「進展なし」ですね。

や、確かに「確定」は中国協力なしには無理です。でも、それを言うなら、3か月前からわかっていたことでは??

今回はこの報告書から民主党の ”政治的正解” を見てみましょう。

「生物兵器ではない」

全体として曖昧な結論で終わっている報告書の中で、1つだけ強く主張している部分があります。それは、生物兵器ではない

他のことに関しては中国の協力なしにはわからないとする割に・・・

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アメリカと中国の共同研究だった

何度も当ブログで扱ってますが、そもそも武漢ウイルス研究所での研究はオバマ政権バイデン氏は副大統領)でアメリカ政府下の国立衛生研究所(NIH)から370万ドルの資金提供がありました。この事実は、アメリカの国家安全保障局のサイト*3に経緯を含めて書かれています。

そして、コウモリ女こと石 正麗博士が武漢ウイルス研究所と米・ノースカロライナ大学などと共同研究でコロナウイルスの機能獲得試験をした論文*4が掲載されています。

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コウモリ女とアメリカの大学の共同研究

しかもその論文の最後に、アメリカNIHから資金提供があったことも記されています。科学論文ではお金をもらっていた場合は書くことが求められていますので、当然ですが。

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NIHからの資金提供あり

バイデン政権として一番重要なことは、ココですね。過去をたどっていったときに、中国と共同研究を、しかもアメリカ政府から資金提供していますので、新型コロナが「生物兵器」であってはならないのです!

アメリカと中国の共同研究

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曖昧な表現

さて、今回の報告書でもう一つ気になる箇所があります。

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曖昧に書かれているが・・・

最後にこのようなコメントがありました。もし今後、注目している場所(=研究所?)や職業的曝露(=研究員?)が特定される症例が出てきたら、今回の評価が変わるかもしれないと言っています。

7月に行われたアンケートではアメリカ成人の2/3ほどが研究所流出説を支持*5しており、その人たちの意見を無視できないので、「今後調査が進めば・・・」という書き方をしてお茶を濁しているのかもしれません。

同時に、この書き方からは中国への牽制とも取れますね。まだ流出説を捨てたわけじゃないぞと。

アフガン問題

アフガニスタンの米軍撤退により、タリバン政権があっという間に権力を掌握しました。これは、バイデン政権にとっては相当な打撃です。

この”名誉なき撤退”によりアフガニスタンは混沌となっており、バイデン政権には厳しい視線が向けられています。

また、アメリカの撤退により、アフガンを拠点にするイスラム国(IS-K)によるテロ行為への対応にも迫られてきました。

こんな状況で、完璧な証拠なしに”研究所流出説”で中国とやりあっている場合ではないというアメリカ政府の状況も見て取れます。

さいごに

今回のアメリカ政府の情報機関からの報告書は、実際は何も進展がないものでした。しかし、一般公開されたのは『一部』だけであったことも事実です。

今回の報告書では、自分たち(民主党政権)が2015年に武漢ウイルス研究所に資金提供した事実を踏まえ、それにより生物兵器が作られたということはあってはなりませんので、そこをしっかりと強調してきました。

アフガン情勢などもあり、今、この問題に深入りするべきでないという判断があったのかもしれません。また、深入りすると、自分たちも資金提供や共同研究のこともあり、無傷でいられないという判断もあったのかもしれません。

とりあえずは、曖昧な幕引きを図ったのでしょうが、アメリカの国民感情にも配慮して、研究所流出説の可能性は残してあります。

これが、今回のアメリカのポリコレだったのかもしれませんね~

※まとめは主観が入っているので、あくまで一意見としてとらえてください。

 

では、また(^.^)ノ