マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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喉元過ぎれば熱さ忘れる

緊急事態宣言が39の県で解除になり初めての週末を迎えました。多くの都市で人出が増えており、経済面ではうれしいニュースですが第2波を恐れる声も多数聞かれます。バランスは難しいですね。

今回のテーマは喉元過ぎれば熱さ忘れるです。

 

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韓国の第2波

この言葉で真っ先に頭に浮かぶのは韓国の梨泰院(イテウォン)のクラブでのクラスター発生でしょう。5月16日付で162名の検査陽性が確認されています。

なんと、4次感染者まで出ています。つまり、クラブに行った人がその家族や友人に移し、その人がカラオケでさらに友人に・・・

いかにこのウイルスが感染力が強いかを物語っています。やはり引き続き3密は避ける必要があるということです。

いくら外の気温が上がって湿度が上がって紫外線が増えてコロナウイルスが生きにくくても、感染者が空調の効いた密な室内に入ればアウトということです。

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当然満員電車も理論上はハイリスクですが、韓国の地下鉄からクラスターの話は出てきてませんね?しゃべらないからでしょう。クラブやカラオケのようにツバを飛ばすようなことがないからと、各駅でドアが開く(換気)ことが大きいかもしれません。

 

北海道の第2波

札幌を中心に北海道も第2波が言われています。なぜ、北海道で?という疑問が出ますよね?たしかにGW中の自粛期間中、携帯会社のデータでは札幌でも人出は例年の80%減と、自粛していることがうかがえましたが。

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考えてみるといくつか理由は思いつきます。まず、札幌は世界で有名な観光地であり、この冬も中国をはじめとしたくさんの人が訪れていました。

そして、道内の人たちが大きなイベントの度に札幌に多く訪れ、地方に感染を持ち帰るという形になっているようです。

 いままた第2波があるというのについても、気温がまだ低いことが関係ありそうです。5月中旬ながら最高気温が15℃でした。僕が5年前5月に行ったときは雪が降る日もありました。ウイルスは屋外でもまだ活発なようです。

そして、何より寒い北海道では家の窓が2重構造になっていたりと、かなりの気密構造なのです。冬は屋内にいがちです。せっかくstay homeしても家が気密構造となると感染者がいれば。。。

他にも理由はあるでしょうが、思いつくところではこんなもんですかね。

新コロがなぜこんなに厄介か

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超過死亡

超過死亡という概念をTVで聞いたことがあるのではないでしょうか?これは、もともとインフルエンザによる死者数を見るために使われていました。

実はそんなに難しい概念ではなく、例年の同時期と比べてどのくらい超過して死亡したかという計算です。この人数がその時期に流行っていた感染症により亡くなったものだと考えるわけですね。

 

日本政府は検査を絞り感染者数を少なくしている

日本の実際の死亡者は10倍くらいいる

などなど陰謀論ありましたが、この超過死亡を見ることである程度その辺の真偽もわかるのです。アメリカのBloombergが記事を書いていました。それを見てみましょう。

 あ、よくある【週刊〇〇】とかで扱ってあるのはスルーしてください。記事見ましたがひどかったです。生物系の教授の名前出してきて、日本は隠された死者数がもっといる”可能性がある”という結論ありきでむちゃくちゃな論拠です。(笑)

 

Bloombergの記事

Bloombergの記事では日本の2月、3月の超過死亡を取り上げています。

はい、せっかくなので原文の一部を見てみましょう。

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Bloombergより引用(原文ママ)

東京都の超過死亡は昨年と比較して、2月では -1200人、3月で + 428人です。これから「感染拡大の中で超過死亡の急増は見られない」とまとめています。

残念ながら4月のデータがまだ出ていないようで、まだ結論付けるのは少し早いですが、少なくとも明らかに発表されているデータより多いことはないと言えます。

むしろ国民の予防意識が高まり今年はインフルエンザも早く終息し、2-3月では東京都で800人弱も死者が少なかったというのは重要なことです。

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東京都超過死亡(国立感染症研究所より引用)

上の図(国立感染症研究所より)の5~8週が2月、9~12週が3月に相当します。ピンクの線より上か下か見てもらえばいいです。これで見るとBloombergの記事とは数字は異なりそうですが、2月は少なく、3月は多かったというのは同じですね。

 

正確な感染者数はわからない

よく立憲民〇党議員とかメディアたちが「日本はPCR検査をしていないから本当の感染者数はわからない!」と批判しておられます、国会でもねー。

それ言うたら世界も同じですよ。どの国も正確な感染者数なんてわかりません。だって無症状が多いですから。全員が捕捉できているわけではありません。

で、コメンテーターとかよく言うてる「希望者全員に検査を」っていうのは論外です。例えば、日本の人口の1/4の3000万人がPCR希望したら、1日1万5000件検査できるとしても、2000日かかります。(笑)さらに感度の低さも。

検査のために病院に押し寄せて、そこでクラスター発生したら本末転倒です。

しかも、PCRは基本的にその時点の感染しかわかりません。陰性だった人が1週間後にカラオケや飲み会で感染するかもしれません。

PCR検査は全数ではなく、当然対象を絞るべきです。ただし少なくとも怪しいと医師が診察し判断した人は検査ができるように今後のために体制を整えては欲しいです。

 

喉元過ぎれば...

喉元過ぎれば熱さ忘れる

緊急事態宣言が多くの県で解除になりました。昔の人が残したことわざって時代を超えても「真である」というのはすごいと思います。逆に言うと人間の本質は、いつの時代も変わらないとも言えますね。

このことをよく覚えておき、引き続きコロナの感染対策は個人・会社レベルでも続けて行かないといけません。効果のある治療薬、ワクチンができるまでは継続です。

新コロの治療薬

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検察庁法改正案

喉元過ぎれば…でもう一つ思ったのは、コロナが少し落ち着き始めると、メディアは面白くないのか次は検察庁法改正案で盛り上がってますね(笑)

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これら(↑)は、野党国会議員の発言です。たしかにコロナで大変な時に取って湧いてきたようにも思える、”火事場泥棒” に思う人もいるかもしれません。ただ、これはもっと前から話があったことです。

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そもそも検察官も公務員ではありますが、独立性が重要なため、国家公務員法の特別法にあたる検察庁法で規定されています。

世の中では長生きに伴い定年を65歳になってきています。それに倣い公務員も65歳定年にしようという考えは2008年、すなわち12年も前からあるのです。

そして今回の話は2018年になってやっと本格的に動き出し、2019年12月に国家公務員法の改正案を2020年の通常国会に提出することまで決まっています。火事場泥棒じゃないですね。

となると、同じ公務員である検察も足並みを揃えて定年延長しないと、平等でないです。そこで今その検察庁法の改正を行っている段階です。

 

ゴチャマゼになった情報

黒川検事長の定年延長とこの検察庁法改正案を一緒ごたにして批判しているメディアや芸能人(ま、焚きつけられただけでしょうが)がたくさんいます。

黒川検事長の定年延長は「6か月」です。これはゴーン氏の事件やIR事業関連で自民党議員の逮捕などに関わっており1月に法務省の事務方側から要請しました(官邸談)。

ゴーン氏の騒動はコチラ

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それと、今回の検察庁法の改正の施行日は2022年の4月1日からです。まったく関係ないですね。

またツイッターもトレンド入りしてた #検察庁法改正に抗議します はよくある、夜中のツイートが少ない時間帯に同じハッシュタグで大量投稿ですね。それはいまバレてスパム投稿アカウントがBANされてます。

 

さいごに

あれだけPCRしろ、医療崩壊する!政府の対応が悪いから2週間後にはニューヨークみたいになる!と騒ぎ続けたメディアエセ専門家たち。今度は、有名人を利用しての政府批判。次から次と忙しいことですね。

「コロナ禍に国会で議論する内容でない」とか言うて、コロナ禍に森友問題せいぜいやってた一部野党さんはダブルスタンダードすぎるように思います。

ただし「議事録がない」とかそういう点は森友問題でもそうでしたが、役人・政治家としてどうなのかとは思います。この件は個人的にもまだ勉強不足なのでもう少し勉強します。

 

ではまた(^^