新しい物事を勉強するときに僕はいつも「比較」を使います。自分のすでに知っているものと比較で覚える方法はなににしろ有効な方法です。
さて、外国語を勉強すると日本語の特殊性なども見えてくるわけですね~
たとえば、「主語を省きがち」とか「語順が比較的自由」だとか・・・
▼言語の語順の秘密はコチラ▼
さて、今回はその中で日本人がほとんど知らない「ん」の秘密についてお話します。これは僕が英語、韓国語の勉強を通してかなり意識したポイントです。
「ん」の音は大きく分けて3種類
我々日本人は「ん」の音を大きく3つに分けて使い分けていることをご存知でしょうか?
中には知ってるよ!って方もいるでしょうが・・・
ピンとこない人の為にヒントを出します。「みんな」「昆布(こんぶ)」「あんこ」この3つを発音してみてください。すべて発音が違います・・・
どうですか?気づきましたか?
みんなの「ん」
みんなの「ん」は 発音記号では”n” で表されます。「ナ」と言ってみてください。このとき舌は歯茎の裏に当たりますよね?これが n の音です。
日本語では次の音が タ行・ダ行・ナ行・ラ行(t, d, ch, n, r, ts)のように歯茎に舌を当てる音が来るときに、その前の「ん」は "n" になります。
要は発音しやすいために変化していると考えてください。
昆布の「ん」
昆布の「ん」は "m" です。「マ」と言うてみてください。最初に口を閉じますよね?この音が m の音です。世界共通で赤ちゃんが母親をママと呼ぶのも、閉じた口から音を出すとマ行の音になる一番簡単な音だからだといわれています。
同じように最初に閉じて発音する子音はp, b です。なので、パパも同じ理由で発音しやすいから赤ちゃんが最初に覚える言葉なのでしょう。
mのときよりpの発音をする方が、唇に少し緊張を持たせる必要があるので、パパよりママを先に覚えるのではないかと、これは完全に僕の持論なので確証はありません(笑)
本題に戻って、次の音が、パ行・バ行・マ行(p, b, m)のように口を閉じる音が続く場合、その前の「ん」はmで発音されます。これも発音しやすさの為です。
たしかに大阪の難波(なんば)もローマ字で”Namba”と書かれますね。
あんこの「ん」
あんこの「ん」は発音記号で書くと”ŋ”になります。これは -ng の音が一つになったものです。king(王)の発音記号は【kiŋ】です。
この ŋ の音は言語学では軟口蓋鼻音と呼ばれます。舌はどこにも当たらず息は鼻から抜けるイメージです。
次の音がカ・ガ行(k, g)の場合「ん」は ŋ になります。
この ŋ は鼻音化といって鼻から抜ける音になります。その親戚が 'N' 'ã' などになりますが、これらを細かく知る必要はありませんので、とりあえずはŋだけ抑えればいいでしょう。
外国語での注意
外国語を学ぶときに注意しなければいけないことがあります。日本語では次の音によって”発音がしやすいように” 「ん」の音を "n" "m" ”ŋ” と区別しているのでしたね。
しかし、外国語はその【日本語ルール】は当てはまりませんので、意識しないと間違えて発音します。
上海って英語で書くと Shanghai、香港は英語で Hong Kong と書かれますね。この2つは「ん」の次の音がそれぞれ h と k なので日本式に発音しても”ŋ” なので問題になりません。
では青島(チンタオ)はどうでしょうか?英語では Qingdao と書きます。「ん」の次の音が d なので日本語式発音をすると "n"になりますね?
しかし、正しく発音するにはどこにも舌をつけない ”ŋ” で発音しなければいけません。やってみてください。意外と難しいですよ(笑)
発音が難しい江南
韓国のソウルにある江南(かんなむ)は日本人にもなじみある地名でしょう。この江南は韓国語で表記すると 강남(Gang-nam)となります。韓国語では最初の文字は濁らないのでガンナムと書いても日本人的には「カンナム」に聞こえます。
▼最初の文字は濁らいない韓国語はコチラ▼
いずれにせよ日本語的にカンナムと発音してしまうと、この「ン」は "n" になることがわかると思います。
しかし、正しい韓国語で発音しようとすると Ga”ŋ”nam となります。 舌をどこにもつけない「ん」で発音しましょう!慣れるまで意識しないとできません。
僕もいまだに韓国語を話すときにときどき、日本語式になってしまい、注意されることがあります。
最後に
いかがでしたか?普段は「ん」という1文字だけで表されていますが、実は私たち日本人も3つの音を使い分けていたんですね。
しかし、日本語は次の音によって3つの「ん」を使い分けていますが、これは日本語特有なので、外国語を勉強するときは注意しましょうね。