マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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"規制"と"帰省"の陰性証明書

イギリスで見つかった新型コロナの変異種が国内でも発見され、それがTVのニュース速報で流れるほど大騒ぎになっている年末です。

政府はイギリスからの入国を24日から、南アフリカからの入国を26日から停止していますが、その他の海外からの入国も28日から一時停止することに決めました。

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オリンピックに向けて

日本政府は2021年に延期となった東京オリンピックをコロナ禍で損なわれた経済のV字回復につなげたいという思いもあり、海外からの観客を受け入れを是が非でもしたいんです。

しかし来年夏にいきなり「海外からのお客さん入国どうぞ!お・も・て・な・し」とか言うてもいろんなとこから大反発が予想されますね。

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なので、それまでに海外からの受け入れの実績を作る必要があります。それで、日本は段階的に海外からの客を受け入れるようにしました。この夏に、感染状況が比較的落ち着いている中国・韓国・台湾・ベトナムなどの11の国と地域からのビジネス往来から再開することに決めました。

 

ビジネス客の対応

さて、これらの海外からのビジネス客の対応はどうだったのでしょうか?一般には14日間の自己隔離が知られていますね。

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ビジネス客への対応

日本の駐在員や技能実習生などの中長期に日本に滞在する予定の人に対しては、新型コロナウイルスの最大の潜伏期とされる14日間の自己隔離*1を要請しています。しかし、出張などで日本に来る短期滞在者は14日も日本で隔離できないです。

そこで、これらの短期滞在者には"特例"を作ったのです。例えば中国との間での取り決め、ファストトラックでは出発前72時間以内に行われたPCR検査の陰性証明書の提出により14日間の自己隔離を免除します。韓国との間にもビジネストラックと言ってほぼ同様の取り決めがなされました。日本の空港での検査なしです。

こうしてビジネス客の交流は一部国で再開されました。

※ちなみにこれらの国からの入国は12月28日以降も引き続き同様の手続きで継続となっています。

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その他の入国

10月から、ビジネス以外の外国人も中長期滞在を中心に入国を許可しました。中長期滞在なので当然14日間の自己隔離が要請されます。(監視・罰則なし)

この規制緩和もあり、10月の日本への入国者数が約2万7000人、11月は約5万7000人と発表されました。

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日本と韓国の"感染"の流行

以前の記事でも書きましたが、日本と韓国は、特に"第3波"の開始のタイミングも然り、山が似た形になっていてます。もちろん低温・低湿度の気候が主な原因だと思っていますが、上図の11月と書かれた部分らへんから短期間ビジネス客の緩和、ビジネス以外の中長期滞在者の緩和がなされていることにも注目しなければなりません。

これらの規制緩和も第3波の一因となっているのではないかと言われています。可能性はあると思っています。

 

意外だった抜け穴

イギリスで見つかった変異種が日本で確認された中に、パイロットがイギリスから帰ってきた後に咳などの症状が出現して、変異種への感染が判明したということです。

実は、パイロットは空港での検査免除なんだそうです。基本的には海外での行動制限と体調の自己モニタリングの報告のみになっています。

ついつい、海外からの流入というと、外国からの入国者に目が行ってしまいますが、パイロットからというのも十分可能性があるわけですね。

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陰性証明書

先ほどのパイロットの検査免除は話が違いますが、日本への入国時の検査免除の条件は、指定された国からの直行便での入国で陰性証明書の提出でした。

一時は「全国民にPCR検査を」とかアホなこと連日言うているコメンテーター、コロナ芸人がいましたが(笑)、PCR検査の結果は、検査のタイミングによって大きく精度は違うし、陰性であってもそれは「その時は!」の話です。

陰性証明書は72時間以内ならOKなわけで、その後に「感染」して、気づかないような微症状で熱もなければそのままフリー入国です。入国時の検査も免除ですもんね。

少なくとも海外との移動は検疫を厳しくしてもいいと思うのですが。唾液の抗原検査なんてすぐ結果出るわけですし。

 

自費検査の普及

ここ最近は唾液PCR検査が増えており、相当ハードルが下がりました。また抗原検査も行われていますので、20分ほどで結果を得ることができます。(抗原検査はPCR検査より精度はやや劣るとされますが、スクリーニングには簡便でよい)

さて、CMでよく見るようになった、いわゆる”自費検査”について少し考えてみましょう。今、年末年始の”帰省”のために自費検査を受けようとする人が多いそうな。

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東京都医師会 理事発言

これは東京都医師会の理事が記者会見した内容です。自費検査の3つのポイントだそうです。(笑)

そもそも 1)信頼できる業者を選ぶ。儲かると分かれば詐欺まがいの業者もどんどん出てきますからね。検査キット自体ピンキリと言われています。そんなもん誰が事前に判別できますの!笑

2)PCR検査の精度は100%ではない。つまり陰性でも、「陽性かも」で行動してくださいということです。だったら帰省できませんよね陰性でも。

3)陽性とわかっても逃げないで。無症状でも陽性と出たときに、同僚や友人にも迷惑がかかるからと保健所には報告しない人がそれなりにいることを指摘しています。

 

どうですか?これを聞いて受ける必要感じますか?僕は自費PCRなんか必要性一切感じません。

最近はクリニックでもPCR検査受け放題のサービスをやったりしているところもありますが、、お金に余裕ある方は好きなだけやってください(笑)

もちろん留学などの海外渡航などの場合は陰性証明書が必須とされますからやらないと行けませんのでやるしかないですがね(医療機関でやってください)。

 

PCR検査の感度

90%と主張する研究もありますが、おおむね70%くらいが一般とされています。裏を返せば残りの30%は偽陰性*2です。

精度にバラつきがあるのは、うまく検体が取れていない場合や、感染後の日数によっても体内でウイルス量が増えていなければ陰性となってしまうからです。

結局は、PCR検査というのは診断補助の目的なのです。通常は、熱などの症状があって、インフルやコロナを疑ったときに診断の補助の目的に使うべきものです。

濃厚接触者でもない無症状の人が検査を受けるのは、自費なので別に自由ですが。。(以後省略)

 

さいごに

いかがでしたか。一部の国からのビジネス入国の際は、出発前の1回の検査での陰性証明だけで「どうぞお入りください~」な"規制" 緩めた日本で、「年末地元帰るために」という"帰省" の為の自費PCR検査が増えているという。

たしかに「東京のやつが帰ってくんな!」と言われた時に「や、僕陰性なんで」という目的だと思います。この見えない圧力で国内の帰省に規制をかける生きづらい世の中ですね。

 

では、また(^^)/

*1:公共交通機関も使用禁止など

*2:本当は陽性なのに陰性の結果