12月に入ってから寒くなっていますね。寒くなってくると、例年インフルエンザやら風邪やらで騒がしくなりますが、今年は全然です。
先週1週間は全国でインフルエンザの報告数が63件だったそうです。去年の同時期は4万7000件。1/800ですね。ウイルス干渉によるものと考えて良さそうです。
インフルエンザが少ない
冒頭でも述べたように、例年に比べてインフルエンザが圧倒的に少ないんです。これは先月の記事でもご紹介したウイルス干渉と考えられます。
▼ウイルス干渉について▼
あるウイルスの感染症が広がっていると他のウイルスの感染症が起こりにくいとされる現象です。新型コロナは実際は数字以上にもっと広がっていると考えていいのでしょう。弱毒ゆえの無症状感染が多いですからそうでしょうね。
ウイルス干渉のメカニズムははっきりとわかっていません。南半球のオーストラリアやニュージーランドでこの冬(8月末で終了)はインフルエンザの流行は見られなかったと報告がありましたね。これも同じです。
今日のニュース
さて、今回の英字記事を見ていきましょうBBCから引用です。
どうでしょう?vow という単語はニュースでよく見かけますが『誓う』という意味です。文構造は難しくありませんね。BBCやCNNも怖くないですよ~
さて、この内容を簡単にまとめると、韓国では12/12土曜日に過去最多となる1日で950人の陽性者を記録し、検査と追跡を強化するという内容です。
最後の黄色下線部ですが、ソウルと周囲のエリアだけで韓国人口の半分が住んでいる、かなりの人口密度ですね。
韓国のコロナ対策
韓国のコロナ対策については夏くらいに何度か記事にしました。当時は、日本のメディアは安倍政権批判のために連日「韓国を見習え」報道をしてましたね。
▼韓国のコロナ対策▼
簡単に復習しましょう。韓国には兵役があります。しかし、医師は代わりに公衆保険医、つまり、3年間医師の少ない地方で働くということもできます。これで兵役免除なら僕もいきますな。(笑)
この公衆保険医をフル活用して家庭訪問でのPCR検査などもしていました。
さらに、韓国はいまも一応は北朝鮮と戦争中です。(ま、だから兵役があるワケで・・・)なので、スパイを見つけるために色々と手が打ってあります。住民登録番号といって日本のマイナンバー制度に銀行口座や携帯電話などあらゆるものが紐付けされているのです。
そうすると、小さな食堂すらクレジットカード払いが普通の韓国では、誰がいつどこで何を買ったとか、携帯電話の位置情報から誰がいつどこにいたかというのはすぐに割り出せるわけです。
日本や西洋はプライバシーが大きく叫ばれるのでこれはマネできない方法です。また、韓国は営業禁止命令ができます。日本ではお願いだけです。
これらの方法と、MERS(2015)で痛い目に遭った経験を糧に、韓国はコロナを抑え込んでいましたね。
日本と韓国を比較して
韓国では9月に第2波があり、それも一旦は下火になりましたが連日100人-150人ほどの報告がずっと続いていました。その後11月にまた増加し始め12月に加速し、12月13日は過去最多の1030人の陽性が報告されました。
少し比較してみましょう。日本の人口は韓国の2.4倍です。つまり、各項目が2.4倍より大きければ、日本の方が韓国より状況が悪いということになります。
いかがでしょう。ま、予想通りですが、累積陽性者数と死亡者数はともに4倍以上であるので 2.4倍よりもはるかに高いですね。1日当たりの陽性者数では韓国も増えたといえど、日本の方が 3.2倍(> 2.4倍)なので日本の方が状況は悪いことがわかります。
ちなみに致死率を計算すると日本が1.5%くらい韓国が1.4%くらいとともに低いことがわかります。アメリカも1.9%くらい、世界平均が2.2%です。
わかりやすい標的
いま、日本では『わかりやすい標的』としてGo To トラベルがやり玉に挙げられています。実は韓国でも経済回復のために、似たような国内旅行の割引クーポンを行ないました。しかし、日本よりだいぶショボく最大4万ウォン(≒4000円)の割引ですが、国内旅行者は去年同時期より増えました。
いいなと思った点は、クーポンを取った当日と翌日のみ使えるということで、感染状況が悪くなればすぐにやめられるとこです!
ところで Go to トラベルが始まったのは、 7月22日でした。上のグラフで言うと第2波の増加傾向の時ですね。その後ずーっとキャンペーンは続いています。
Go to トラベルキャンペーンの利用者はずーっと増えていってますね。もし Go to トラベルが主因ならば第2波は落ち着いてくるはずがないですよね?つまり一因ではあるけど主因ではないんです。
今回の感染症は潜伏期間も長く、100%の因果関係を証明するのはほぼ無理です。だから専門家たちも「言うた者勝ち」なんですよね。結果が出ないのわかってるから。(笑)
その他の要因
本題に戻って、韓国も今急増しているんですね。ここで、少し面白いものを見てみましょう。日本と韓国の1日当たりの陽性者数のグラフを並べてみましょう。(注意:陽性者数が4倍以上違うので、縦軸の縮尺が違います)
いかがですか、奇妙なほどにグラフの山が似てませんか?特に第3波なんてかなり近いですね。これをどう考えますか?
日本と韓国は地理的に近いので、気候も似ています。(もちろん韓国の方が冬は寒いですが。)気候は一つ要素にありそうですね。これは以前も書きました。
▼気候は重要なファクター▼
それにしても第3波が気持ち悪いくらいそろってますよね。この時期って・・・
PCR検査の精度は70-90%と言われており、100%ではありません。海外で違う型が流行していたらそれを陰性証明とともに持ち込むことも十分にあるわけです。
Go to キャンペーンだけでなく、こちらも感染を広げる可能性があるわけですよね。10月には3万人近くが入国しています。
travel という単語
スコットランドの研究で遺伝子レベルで「旅行が感染拡大の原因」とか報道が出てますね。それを根拠に go to トラベルは今すぐやめるべし!という論調。
そもそも英語の travel って単に「移動」という意味で使うことの方が多いです。日本人が勝手に原文を「旅行」って訳してるだけでしょ?そして日本語では「トラベル=旅行」と認識されているので巧みな印象操作ですね。
結局は旅行だけを特別視してやめさせても出張・出勤・帰省など ”人の移動” を完全に止めないと意味が無いんです。
なので、国としてもやるなら一斉に Go to トラベルをしばらく止める&入国も制限を同時にやらないと。
正解はない
経済と感染対策の優先度は国により千差万別でしょう。前回の記事で書いたように、史上最大のロックダウンと称されたインドの4か月に及ぶ全土封鎖を持っても感染は封じ込めず、現在爆発していますよね?
▼インドでの全土封鎖▼
つまり、この病気は完全に封じ込めるのは、台湾のように小さい土地で少ない人口で、初期の段階で完全に封鎖しないと無理なんですね。韓国のように厳しく管理をしていても増えているんです。ということはある意味「仕方ない」んです。
それがわかったのでどこの国も経済活動を再開しています。じゃないと、国が滅びます。日本の自殺が増えてるのをご存じでしょうか?10月は2000人、11月は1798人自殺しており、去年同月より10%以上増加です。
経済が死ぬと、自殺者がもっと増えることになります。管理強化でコロナによる死者が100人少なくなっても、経済苦で500人自殺が増えれば、国としては負けなのです。
当面の間はコロナと「うまくつきあう」のを探り探りやるしかいのでしょう。
ただ、個人的には 感染拡大期に限ってGo to キャンペーンの1か月ほどの一時休止は賛成です。エビデンスうんぬんはすぐにはわからないので、「国民の不安を和らげる」意味での賛成です。一度 止めちゃうと再開するのが難しいというのもありますが(笑)
まとめ
・日本より厳しい管理の韓国でも第3波が強烈
・一番の理由は冬の気候
・Go to トラベルは一因であっても主因ではない
・経済と感染のバランスが難しい
では、また(^^)ノ