コロナ禍では、「日本は今もFAXでやり取りしてるのか!」とか「印鑑押すために出社ってwww」などと世界からIT後進国として笑われました。
訪日外国人、いわゆるインバウンドが増える中、「日本ではカードが使えない店が多い」などと言った不満の声をよく耳にするのものです。
今回は、経済産業省のデータ*1をもとに日本のキャッシュレスがどう進んだのか学びましょう。
進むキャッシュレス化
日本は偽札が出回っていないことから、信頼度が高く、現金主義の人が多くいました。
さて、10年前の2015年の時点で、日本でのキャッシュレス支払いの割合は20%以下と世界的に見てかなり低い数値でした。
これでは現金を持っていないと生活できない状況です。
その後、paypayや楽天payなどのQR決済の普及とともに、コロナ禍での”接触を避ける傾向”から日本でもこの10年でキャッシュレス決済は増えました。
2024年では42.8%のところでまで増えています。
上のグラフを見るとおもしろいことがわかります。
QRコード決済は2019年以降、急増している一方で、電子マネーの方は10年前から微増にとどまっているのもわかります。
また、キャッシュレス決済のうち、8割以上がクレジットカードだということもわかります。
タッチ決済
さて、ここから少し歴史を振り返っていきましょう。
電子マネーは、タッチするだけのタッチ決済で、「手軽さ」重視の人にとって最高のツールであります。
日本では2001年にEdyとSuicaが国内初の電子マネー決済として登場しました。
2007年になり、nanacoやWAONも登場し、公共料金や税金払いにも対応するなど、電子マネー時代の幕開けでした。
このタッチ決済は手軽さから活躍の場を広げていきました。
そして、携帯電話にその機能が搭載されたり、いまではスマートウォッチにもタッチ決済ができるようになっています。
電子マネーが天下を取る時代が来るか・・・
と思われましたが・・・
初期費用が安い
中国や東南アジアでは、QRコード決済が急速に普及しました。
これらの国ではクレジットカードの整備が遅れているという背景があり広がりました。
例えば、中国では、紙幣の最高額が100元(約2000円)であり、経済発展中でインフレのある中国では、紙幣で高い買い物がしにくいです。
また、偽札が出回っている関係で、安全性と便宜性からQRコード決済に人々が走ったのです。
こうした経緯から、「クレジットカード整備されている日本ではQR決済は広がらない」という意見が強かったようです。
日本人のクレジットカード保有率は非常に高いですが、使えない店がまだ多いという現実があります。
そういう意味で、QRコード決済が広がる余地はまだあったのです。
さらに、クレジットカードや電子マネーを導入するよりも、QRコード決済を導入する方が初期費用が安いため、ハードルが低いというのも後押ししました。
こうして、電子マネーが広がる中で、QRコード決済がさらなる勢いで増え始めました。
上限額の引き上げ
大幅な還元などのキャンペーンもあり、勢いのあるQRコード決済がクレジットカードをとってかわるかと思われましたが、そんなことはありませんでした。
QRコード決済は上限額が低く、高い買い物はやはりクレジットカードなのです。
2024年11月にPayPayは、上限額を100万円に引き上げ*2、クレジットカードに対抗することとなりました。
これで、クレジットカード決済からQRコード決済へのシフトが今後 幾分か増えるでしょう。高齢者はどうかな・・・
ちなみに、楽天payもd払いも、上限額が50万円です。
やはり、まだまだ高額決済はクレジットカード優位というのは変わっていません。
クレカの進化
クレジットカードは、上限額で優位に立っているので高額決済は不動の地位を築いています。
また、海外からの観光客もクレジットカードを日本で使用できます。
こうした強みは健在なのです。
しかし、古株・大御所のクレジットカードさんも同じく進化しているのです。
電子マネーの手軽さ”タッチ決済”を装備しはじめたことです。
実は、日本の電子マネーに使われているソニーのFelicaという技術は基本的に日本のみで使われるようになっており、ガラパゴス化しています。
一方、クレジットカードに使われるタッチ決済の方式は、Felicaではなく、世界的に主流であるNFCのType-Bというものが使われています。
インバウンド観光客のキャッシュレスの受け皿は、当然クレジットカードで、それらに対応する店が増えれば、日本人でも手軽なクレジットカードのタッチ決済利用がまた伸びることが予想されます。
韓国での普及率
さいごに、お隣の国、韓国でのキャッシュレス事情を見ておきましょう。
キャッシュレス決済率90%以上という世界一キャッシュレスな国なのです。
1997年のアジア通貨危機でデフォルト寸前までいった、韓国の経済立て直し政策の中の一環でキャッシュレスが使われました。
▼アジア通貨危機とは▼
要は、今お金がなくても、クレジットカードで買える(後で支払)ので、自転車操業がしやすいので、買いやすくなるからです。
そして、カード利用額の20%は所得控除するなど、政府も優遇策を行うとともに、小さな個人店でもクレジットカード利用を義務付けました。
これは、個人店では収支の把握が難しく、税金を確実に取れないのですが、クレジットカードにすることで、明白に店の収入がわかるので、税をしっかり取れるという意味もあります。
そして、中国と同じ高額紙幣の事情もあります。
現在最大の紙幣は5万ウォン(5000円くらい)です。つまり200万ウォン(20万円)の買い物なども、紙幣でするには40枚などで支払うことになり難しいのです。
あと、硬貨を作るのが結構お金がかかるのでキャッシュレスが進み、硬貨の流通が減ればその費用も減らせますね。
こうしたこともあり、クレジットカードは一気に普及しました。
さいごに
いかがでしたか?
この10年の間に、電子マネーの登場・拡大、QRコード決済の登場、そしてコロナ禍を通してキャッシュレス化は進みました。
それでも、いまでも日本での支払いの半分以上は現金で行われています。
隣の韓国ではなぜキャッシュレス化が進んでいるのかについても見ていきました。
日本はお年玉とかご祝儀とか香典などの文化があり、これまでキャッシュレス化されると、なんか変な感じになりそうですな。将来どうなるか。
では、また(^^♪