日本人で多いがんといえば、肺がん、大腸がん、胃がん、乳がんが挙げられます。
皆さんの周りもこれらのがんを患っていた(or 患っている)人はいると思います。
一方で、稀ながんもあります。脳腫瘍や小腸がん、皮膚がんなどたくさんあります。
今回はそんな”希少がん”で急増しているものに関して学んでみましょう。*1
30ー40代のがん
過去に何度も記事にしたとおり、ここ30年くらいで若年性のがんが増えています。
大腸がんや乳がんや膵がんなどで顕著に見られています。
原因については、いくつか仮説があり、食物繊維の少ない食事や超加工食品の大量摂取、大気汚染(PM2.5)、PFASや農薬などと運動不足など生活習慣による複合的なものとされます。
偏食による腸内細菌の変化は自分たちでリスクを減らすことができます。
赤身の肉を少なめにして、食物繊維を多く摂り、定期的な運動を意識しましょう。
若年性のがんが増えていると言っても、当然高齢者のがんと比べると圧倒的に少ないです。
あまり不安にならないようにしましょう。
▼若年性大腸癌急増▼
虫垂がん増加
虫垂がん(盲腸がんとも)という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
これは相当な希少がんで、全がんのうち1%未満です。
研究者らは、虫垂は大腸の一部なので、若年性大腸がんが増えているならば、若年性虫垂がんも増えているはずだと考えました。
そして、アメリカのここ45年ほどのがん患者のビッグデータを入念に調べると、この稀な虫垂がんも年々増加していることがわかりました*2。しかも、若い世代(特に40代)で。
1945年(前後)生まれの人たちと比較して、1980年(前後)生まれでは3倍、1985年(前後)生まれでは4倍と虫垂がんの発生率が多くなっているのです。
この増加に関しては、1945年以降ずーっと増え続けています。
虫垂がん自体のリスクファクターはよくわかっていませんが、若年性大腸がんと同じように、肥満者の割合の増加や環境因子など複合的な要因だろうと研究者らはまとめています。
日本での虫垂がん
さて、やはり気になるのは日本での状況です。
虫垂がん自体非常に稀で、1年間の発生頻度は人口100 万人あたり0.12人というデータがあります。
これを今の人口に当てはめると、国内では年間15人くらいですが、別の報告では年間50−60例くらいというのもあります。
いずれにしてもめちゃくちゃ稀です
ちなみにアメリカは100万人あたり1〜2人*3というデータが有り、日本の2〜10倍高い割合です。
食の欧米化や超加工食品摂取、環境汚染は日本でも起きています。
これから日本でも若年性大腸がんや若年性虫垂がんも増えてくる( or すでに増えていて、遅れてデータとして確認される?)ことも十分に想定されます。
虫垂炎のあと
ところで、虫垂は大腸の一部だと言いましたが、それではなぜわざわざ分けて虫垂がんと呼ぶのでしょうか?
理由は簡単で、一般的な大腸がんとは性質が異なるからです。
神経内分泌腫瘍や低分化型がんといって、タチの悪いものが多いので、発見時にすでに進行していることが多いからです。
右下腹部痛と発熱で虫垂炎と思っていたら、虫垂がんだったということもあります。
虫垂炎を繰り返していて、毎回抗生剤で”散らして”いる場合は一度精密検査を受けるべきと考えられています。
また、虫垂炎になったあと1年以内(特に6か月以内)に大腸がんの診断が大幅に増える*4という報告があります。
虫垂炎が大腸がんを急速に促すのか、それとも虫垂炎自体が大腸がんの症状の1つなのか、まだまだわからないことが多いです。
いずれにしても、虫垂炎のあと1年くらいは注意が必要ということになります。
虫垂炎は梅雨のあと夏に多いです、これからの時期ですね。
さいごに
いかがでしたか?
虫垂がんは非常にまれながんです。しかし、アメリカでは虫垂がんが特にいまの40代で急増しています。
この流れはおそらく今後日本や他の国でも見られることでしょう。
虫垂がんは早期発見が困難で、進行がんとして見つかることが多いです。
虫垂炎と思っていたら「実はがんだった」パターンや、虫垂炎後に虫垂がんを含む大腸がんが見つかることが多いことも頭に入れておきましょう。
知識を持って少しでも早い状態で見つかるように。。。
▼簡単ながんリスク低減法▼
また、若年性大腸がんと同様に急増ということから、原因についても同じように考えられており、食物繊維の摂取が少ないため、腸内悪玉菌が増え、慢性炎症を起こし、がん化していると考えられます。
リスクを減らすには、食物繊維をたくさん摂って、糖を少し減らし、定期的な運動をしましょう。
では、また(^o^)ノ