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再浮上『コロナ生物兵器説』?

新型コロナウイルスは、現在は『自然発生説』と『研究室流出説』の2つで意見が分かれています。

ところで、最近急にまた『生物兵器説』が海外ニュースで出てきています。今回これについて見ていきましょう。

『生物兵器でない』

先日、アメリカの複数の情報機関がまとめた新型コロナウイルスの起源に関するレポート*1が公開されましたが、そこでは、『生物兵器ではない』としています。僕もそう思います。

米情報機関『生物兵器でない』

そして、起源については、あらゆる動物を通じて変異した『自然発生説』と、研究所から事故での『流出説』が可能性として考えられています。

当ブログでは何度もこれについては記事にしており、流出説が強いとみています。

SARSウイルスを意図的に変異させて人に感染しやすくなるもの、致死率が高くなるものについて研究していたものが、杜撰な管理で流出したのだと考えています。

ま、これも『将来のパンデミックのための研究』なのか『バイオテロに使うため』なのかはわかりませんがアメリカも資金提供していることから前者と信じたいところではありますね。笑

新型コロナは研究所流出

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ところで、コロナ初期の頃から、「中国の作った生物兵器だ」という見解がありました。主には保守派極右トランプ氏の支持者らが盛んに主張しました。

閻 麗夢博士の主張

保守のFOX news では、香港のウイルス研究者でアメリカに亡命した閻霊夢(えんれいむ)博士を独占インタビューし、『中国が作ったウイルス』だと報道しました。

『コロナは中国が作った』

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バイデン大統領になってから、彼女を見ることはなくなりましたが、今どこで何をしているのでしょうか?はて。

いずれにしても、この説は『中国憎し』の人たちの間で非常に好まれる説なのは間違いありません。

元・研究者登場

一度は消え、アメリカの情報機関らも否定しているこの生物兵器説ですが、ここ最近急にまた出てきたのです。

今回はCNBCの記事*2を選びました。CNBCは”ちょっと左”なのですが、この内容を扱うのは興味深い。

武漢ウイルス研究所・元研究者

ANI(後で解説)のインタビューでは、武漢ウイルス研究所の元研究者であるチャオ・シャオ氏が研究内容を説明しています。

上司から4種類のウイルスを渡されてその中でどれが一番(人に)感染し広がりやすいかを調べたと。

『新型コロナは生物兵器』

さらに、チャオ・シャオ氏は、新型コロナウイルスのことを『生物兵器』だと説明しました。

わざと世界に拡散

そして、彼の同僚の研究者が急に何人もいなくなったと言います。

研究者が次々と失踪

新型コロナが見つかる少し前、2019年10月に武漢で世界軍人運動会という兵士のオリンピック的なものがありました。

これについても過去記事解説していますが、そのときに体調不良者が続出しています。

世界軍人運動会で謎の病気

ま、このときから武漢で新型コロナは流行していたのでしょう。

で、チャオ・シャオ氏が、後に、失踪した同僚から聞いた話では、軍人運動会に動員されており、各国の兵士らの健康チェックなどをさせられていたといいます。

ウイルスを各国に持ち帰らせる

そもそも軍人の健康チェックや衛生管理をなぜ医師でなくウイルス学者がするのか?

チャオ・シャオ氏は、研究者が派遣された理由は、各国軍人に接して新型コロナに感染させ、それを国へ持ち帰らせるためだと言います。

ウイグルにも

さらに、チャオ・シャオ氏はウイグル族についても言及します。

ウイグル族で実験

2020年4月に新疆に送られたチャオ・シャオ氏は、ウイグル族を捕まえて中国人化する”再教育収容所”で、ウイルスを広げ、人間での感染の状況を調査したといいます。

これが事実ならとんでもないことです。

新疆ウイグル自治区

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冷静に分析しよう

こういった、『暴露』とか『告発』系ってみんなの興味を引くのにうってつけです。

しかし、重要なのはそれを冷静に見ることです。

『元・副社長告発』のウソ

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まず、他の記事で扱われているか調べました。すると、関連記事が見つかります。

ほとんどインドからの記事

最近の記事を見ると、今回扱っているCNBC以外はほとんどすべてインドのニュースサイトばかりです。

そもそも、最初に出てきた『ANIのインタビュー』ですが、ANI*3もインドのニュースです。

ご存じの通り、インドと中国は国境紛争があったり、人口の世界一を争っていたり、ライバルなんです。

インドとパキスタン

歴史的にもインドからパキスタンが独立して紛争がありましたが、パキスタンは中国と非常に親しくしてますので、インドからすれば中国も敵ですね。

普段からインドでは中国とコロナ関連のニュースが出ています。

2020年のインタビューだった

さらにもう一つ重要な点があります。チャオ・シャオさんの取材は2020年に行われています。なぜ今頃になってこれが出てきたのでしょう。

取材をしたのは中国出身の人権活動家のゼンさんで、記事にしたのはインドです。

人権活動家は当然ウイグル族など少数民族の中国での扱いを常に問題視していますね。

つまり、このインタビューは、「中国憎し」という人たちが作ったものです。

残念ながらどこまで真実かは定かではありません。

さいごに

いかがでしたか?

新型コロナが広がりだして世界が絶望的となっている時、どうしても『悪』を仕立て上げる必要がありました。真珠湾攻撃のように。

2020年「中国の生物兵器説」の信ぴょう性を増すために、中国の学者の告発という形で大々的に宣伝しました。これには明らかに政治的意図がかかわっています。

そして、今、報道されている元・武漢ウイルス研究所の研究者のインタビューも、人権活動家が行い、ウイグルの話も出てきて、それをなぜかインドがニュースを広める。しかも、3年前のインタビュー・・・

さて、あなたはどう見ますか??

 

では、また(^^♪