マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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ワクチンとウクライナ侵攻の関係

定説を否定して真逆のことを言う、いわゆる”逆張り”をすると、一時的に世間の関心を集めることができます。特に、人々が注目するようなパンデミックや戦争、不況、災害などでは効果覿面です。

今回は、コロナ禍とウクライナ侵攻にかかわるお話を学んでいきましょう。

反ワクチンは儲かる

地球温暖化は存在しない!とか、ワクチンは人口削減策だ!とかいう科学を無視する主張を”あえて”する理由は『注目』を得るためです。そうすれば、本を書けば売れて、儲かるのです。

昔から反ワクチンは金の成る木です。

反ワクチンは儲かる

構図は簡単です。ビジネスとしてボロ儲けしている集団がトップにいて、それに便乗した人ら(医師などの肩書ある人ならなおよし)が書籍で広めて儲ける、多数の何も知らない人が巻き込まれる

反ワクチンビジネスの構図

結局、儲けて得をするのは上の3層だけ、下の2層は儲けることもなく、”ただの被害者”なわけです。

さらに詳しくは過去記事をご参照ください。↓↓

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見事なまでの親和性

反ワクチンの人たちは、世界を裏で支配する勢力 Deep State の陰謀であると主張します。当然、この逆張りの思考回路で行くと、現在のウクライナ侵攻も、世間とは違った主張となります。

見事なまでの親和性

1つの国家に急に侵略戦争を起こしたロシアを世界中が非難している状況の中で、「悪いのはロシアでなくウクライナ」という逆張りをしています*1

ところで、どのような人たちが反ワクチン(さっきのピラミッドの下層で、儲けない人たち)に陥るのでしょうか?

反ワクチンの特徴に関する研究

反ワクチンの特徴について、2022年に論文で報告*2されたものがあります。

その内容としては、親の児童虐待アルコール依存症などの悲惨な過去を持っていることが多いということもわかっています。

また別の大規模な研究*3でもネガティブな幼少期の経験が反ワクチンなど陰謀論に繋がることを示しています。

ロシアの反ワクチン

さて、今回のパンデミックでの反ワクチンは少し特殊な流れがありました。

新型コロナウイルスのワクチンは中国やロシアで不活化ワクチンが作られ、自国で打たれていた後に、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンが出てくると・・・

ロシアによるネガキャン

ロシア勢力はmRNAワクチンのネガキャンを開始し、何千ものSNSアカウントを用いて陰謀論を広めました*4

もちろん、他国にもいる反ワクチン勢力もこれに便乗しました。『ファイザー・元副社長』動画とか覚えてますでしょうか(笑)

『副社長』動画の真相

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自らの首をしめる

しかし、ロシアによる行き過ぎたmRNAワクチン叩きは自らの首を絞めてしまいます。

自らの首を絞めてしまう

最初はmRNAワクチンはやべぇぞ~、あんなんあかん!自国のん打てば安心・安全!とやってたら、行き過ぎてロシア国民はワクチン自体を忌避するようになったのです。

その結果、接種率がなかなか進まず、40%にも及びませんでした。やっとこさ、伸びてきて2022年4月で約55%*5まできました。

すると、自称”目覚めた”人たちはこう言うでしょう。

目覚めた人たちの意見

たしかに、ロシアもウクライナもマスクもしてないし、コロナを恐れている雰囲気はありませんな。

これはどうでしょうか?

現実を見ると

そもそも、もし「ワクチン不要」が正しいならば、ロシアが接種率低いことを憂うはずないですね。笑

ま、一応、ちゃんとしたデータを見ましょう。(Our World in Dataより)

ロシアの超過死亡はスゴい

たしかに、ロシアの感染者数や死亡者数は米英よりは少ないですが、超過死亡がズバ抜けています。これは南アフリカと同じですね。南アフリカでは実際は死にまくっていたのです。(下記過去記事参照)

つまり、検査を受けないまま(or受けれず)亡くなって『コロナ死者』に反映されない人たちが多いのです。だからこそ、ロシア政府も接種率が低いことを憂えているのです。

南アフリカのコロナ

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ウクライナにも影響

先ほど書いたようにロシア政府がmRNAワクチンのネガキャンをかなりやったことは事実で、その狙いは別にもありました。

旧ソ連の国々でその情報を広めることです。

反ワクチンを【反西側諸国】に利用した

つまり、NATO加盟を希望する東欧の国々をターゲットに、mRNAワクチンの陰謀論を流し、西側の信頼を失墜させようという企みでした。

実際、効果はあり、ウクライナでは接種率は35%にとどまりました。ロシアとしては、もっと致死率の高いウイルスであればよかったのでしょうが・・

ロシアの狙い・・・?

接種率の低いウクライナでコロナによる死者がどんどん増えていれば、ロシアの侵略はもっと容易だったでしょう。

鞍替え開始

2年以上に及ぶパンデミックの間に、活動してきた反ワクチン集団。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからは、新たな”活躍の場”ができました。

豪州でも反ワクチン→親ロシア

そう、逆張りで注目を浴びたい人は、ホットな話題が必要ですからね。東日本大震災の時は「放射能で住めなくなく」「2年後に癌が激増」だった人たちが、「ワクチン打てば2年後に全員死亡」→「いや、5年後に死亡」・・・笑笑

これは、日本だけでなく世界共通です。

世界中でワクチン接種が進み、行き場を失いかけてた彼らに新たな場所を与えたのはロシアでした。

さいごに

いかがでしたか?

ロシアがワクチン陰謀論で、旧ソビエト連邦諸国に対して、西側への不信を高めようとし、さらには侵攻する気だったウクライナで接種率を低くさせました。

しかしながら、新型コロナウイルスは徐々に致死率が下がっており、少し予想と違っていたようです。

また、行き過ぎたmRNAワクチンのネガキャンで、自国での接種率も伸び悩み、超過死亡がスゴいことになっているロシア。

行き場がだんだんと失われてきた逆張り反ワクチン集団は、待ちに待った新たな活躍の場を得て、親ロシアの主張を行っているのでした。

では、また(^^ノ