陰謀論と言うのは昔からあって、NASAの月面着陸は捏造だとか、イルミナティー(秘密結社)が世界を陰で動かしている、とかいうものは有名ですね。
こういった話はエンターテイメントとしては面白いもので、日本では『都市伝説』というカジュアルな名前で人気でしたね。しかしコロナ禍では、この”陰謀論”がかなり大きくなりました。
今回はコロナ禍でなぜ陰謀論が広がっているのかについて、見ていきましょう。
コロナの陰謀論
新型コロナウイルスにまつわる陰謀論は多岐にわたります。そりゃ、これだけ世界中に影響する出来事ですから次から次に出てきます。
まぁ、注射針の穴見てマイクロチップ入ると思う人いないでしょうが(笑)いずれにしても、大きな権力を持つ人たちが人類を管理しようとしているという考えが根底にあるようです。
特にコロナ禍という、人々の『不安』に乗じてこういった陰謀論が広められるのですが、なぜ人は陰謀論にハマるのでしょうか?
紹介されている話をまとめてご紹介します。
カール・ポッパー
『陰謀論』という言葉をもっとも初期に使ったのはイギリスの哲学者、カール・ポッパーだと*1言われています。
ポッパーの説明では、大きな災害や事件が起きたとき人々は受け入れがたく、その理由を知ろうとします。多く、こういった出来事に理由はみつかりませんが、そんなときに昔は『神のおぼしめし』『神の与えた試練』などと解釈されてきました。
しかし、宗教の影響力が低下した近代以降は、その神の役割を果たすのが、”権力者による陰謀”という説明でした。
政治観との融合
また政治的思想が陰謀論と結びついており、例えばアメリカでは保守の共和党支持者に陰謀論者が多い*2こともわかっています。
アメリカの教育は州に任されており、共和党が強い州と民主党が強い州で隔たりがあります。その結果、州ごとに陰謀論を信じる人の割合も違い、『コロナは存在しない』⇒『ワクチン不要』となり、接種率にも大きな差が出ています。
要は、白人至上主義とか、他民族排除という思想では『こっち』と『あっち』、社会を2つの括りに分けた見方が陰謀論に繋がります。
日本でも保守派に陰謀論者や反ワクチンが多い印象はありますね。同じ同じ。
陰謀論者の特徴
心理学者:クリスチャン・ジャレットがBBCに寄稿したもの*3を紹介します。
アムステルダム大学の研究によると、陰謀論を信じる人は、人の顔のように見える雲やら岩やら虫やらを見つける確率が高く、つまりは無関係の2つのものに『関連性』を見つけ出す傾向が強いといいます。
もっと平たく言えば、『霊感が強い』とかそういう系ですな。
また、陰謀論を語る人はクリティカルシンキングの教育・訓練を受けておらず*4、自己の主張を振り返って明白な誤りなどに気づかない傾向があることもわかりました。
要は自分のことは棚に上げちゃうタイプってことですな。
さらに、陰謀論者は自分が知的で能力が高いと自信過剰だけど、本質的には『無知・無学』であり、その合わせ技で根拠のない信念を保持している*5といいます。
めちゃ同意します。それにしても、遠慮なくボロクソ書いてますね(笑)
『自分は特別』
さて、そんな自信過剰な陰謀論者が、なかなか抜け出せなくなるのは『自分は特別』と信じたい感情*6です。
たしかにヤフコメ見てても『気づく』とかいう言葉頻発ですよね(笑)自分たちだけ進んだ人間で後の人らは遅れてると思ってるということですな。
そして、何より本当は心の奥にある寂しさ*7から、同じ意見をもつグループで集まり交流するため、ますます抜け出せなくなるのです。
これ、新興宗教が上京した若者で広がるのと同じカラクリですね。
リスクがあるのは、実は情弱ではなく、普段から情報収集している情報通の人で、真偽のわからない情報を信じ込んで『自分は特別』という快感を得てしまうとハマると。
ワクチンデモの違い
どこの国でもワクチンに反対するデモなどがあります。
例えば、今カナダで大規模なデモがありますね。これは、米国へ入るトラック運転手に対する『接種義務化』に対するデモですね。
海外のワクチン反対デモと日本のデモは大きく違います。これについては、東洋経済の記事*8を見てみましょう。
海外でのデモは”義務化”という人権侵害に対するデモなので、一般の人たちも加わることが多いです。一方で、日本では接種は任意なので、一般の人たちがわざわざ参加することもまれで、『コロナは存在しない』などの陰謀論者が主だということです。
反ワクチンは金儲け
ま、有名な話ですが、反ワクチンは金のなる木です。
ワクチンは『製薬会社が儲けるためにどんどん打たしている!』と主張するくせに、反ワクチン団体が数百人だけで年間41億円の収入があることはダンマリです。
構図は簡単です。ビジネスとしてボロ儲けしている集団がトップにいて、それに便乗した人ら(医師などの肩書ある人ならなおよし)が書籍で広めて儲ける、多数の何も知らない人が巻き込まれる。
『コロナワクチンの正体』とかそんなタイトルの本はそそられますもんね。
結局、儲けて得をするのは上の3層だけ、下の2層は儲けることもなく、”ただの被害者”なわけです。
▼ファイザー副社長なんて大ウソ▼
▼イベルメクチン騒動の闇▼
さいごに
いかがでしたか?
コロナ禍で世界的に陰謀論が席巻したのは、不安や恐怖という感情が原因です。説明のつかない事象は大昔は『神』による試練でしたが、現代では陰謀論がその役割を担っています。
陰謀論にハマりやすい人は、情弱ではなく、むしろ『ネット民』でした。
そして、ワクチン接種が任意の日本では、反ワクチンが陰謀論と結びついています。反ワクチンはビジネスで莫大な利益を生み出しています。
重要なのはそのビジネスの被害者は一番数の多い『一般人』だということです。
・・・って書いてるこの私も、誰かに操られているのかもしれませんな。
信じるか信じないかはあなた次第です(笑)
では、また(^^♪
*1:https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckculture/20211101-OYT8T50120/
*2:https://www.washingtonpost.com/politics/2021/07/19/conspiracy-theories-are-common-right-but-few-republicans-adhere-all-them/
*3:https://www.sciencefocus.com/the-human-body/conspiracy-theories-belief/
*4:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/acp.3790
*5:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jopy.12588
*6:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ejsp.2265