マルチリンガル医師のよもやま話

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日本人の英語力、ヤバかった!

「日本人は英語が話せない」なんてよく言われましたが、時代が変わりいまや・・・

と言いたいところですが、実際今も変わっていないようです。

たしかに韓国や中国に行くと、若者の多くは、ウマい or ヘタ 関わらず英語を使っているのをよく目にします。

今回は、「日本人の英語力」について考えていきましょう。

日韓の英語力の差

日本経済新聞で、日本人の英語力が低いことを嘆く記事*1が出ていました。

記事の中では、韓国の状況と対比していました。

日韓の英語力を比較(日本経済新聞)

海外の大学・大学院への留学者数は韓国が3倍以上です。ちなみに韓国の人口は日本の半分以下ということを考慮すれば差は歴然としています。

また、小学校での英語の授業時間も韓国の方が約2倍と多いことがわかります。

韓国では1997年から小学校で英語の授業を開始しており、日本より20年ほど早いスタートです。

TOEIC平均点は100点以上の差

さらにTOEIC平均点でいえば、日本は韓国より100点以上も低い!

英語教育では韓国に『完敗』した日本、、、といった内容の記事でした。

このような日本凋落を書いた記事は当然韓国でも報じられるわけで、引用記事*2的な形で韓国の中央日報が出しています。

TOEICについて

さて、日本人になじみの深いTOEICについておさらいしましょう。

1977年、来るべき国際化社会を見据え、日本でも英語コミュニケーション能力を測るテストが必要だとなりました。そこでアメリカのETSという機関に依頼し作ってもらったのが、このTOEICです。

日本発・アメリカ製

日本の大手企業などの昇進基準に採用されたりし、日本国内では一気に有名な試験となっています。

TOEICは世界150か国、年間700万人が受ける世界共通試験と謳っています。

しかし実情は、そのうち日本で240万人、韓国で200万人、つまりこの2国だけで全受験者の65%を占めている*3のです。

実際、留学などで海外に行く人が受けるのはTOEFLというものですね。これはアメリカのETSがしているもので、そちらの方が一般的です。

日韓の差はさらに浮き彫りに

TOEIC受験者のほとんどが日本人と韓国人という事実は、より日韓の英語力の差(平均100点差)を語っています。残念。。

ほかの指標は?

EF英語能力指数*4を見てみましょう。世界111の国(英語が母国語でない)での試験からのランキングです。

EF英語能力指数ランキング

韓国は36位、中国が62位、日本は80位という情けない結果になっています。

ところで、なんで日本人はここまで英語ができないのでしょうか?

日本語で高等教育

これはめちゃくちゃ有名な話ですね。

日本は明治時代に西洋に追いつけ!と蘭学などが発展し西洋文化をどんどん取り入れました。

すると、日本にはない概念がたくさんあり、それを学ぶために対応する日本語を作りました

日本語ですべて表す

こうすることで、一般庶民でも西洋の文化を日本語で学べる下地ができたのです。

大学での専門の講義を思い返してください。

私たちも、すべて日本語の医学教科書で生理学、解剖学、内科、整形外科、婦人科・・・学びました。

アジアの多くの国では、高等学問や専門学の教科書は基本的に英語です。

韓国では、日本統治時代があり、日本語を韓国語読みするものが多いので少し例外になりますが、それでも医学書などは英語のものが多いと聞きます。

母国語で高等教育を受ける

個人の語学力によらず、母国語で高等教育を受けられるというこんな恩恵を受けていることを、私たち日本人は先代の努力に感謝しなければいけませんね。

就職率の差

ほかにも注目点があります。それは大卒後の就職率の差です。

日本での大学新卒の就職率は令和4年は95%*5でした。短大や専門学校も含めたものでは96.1%という高さです。

ちなみにコロナ禍の影響で2年連続低下していてこの数値*6です。

就職率の差

一方で、韓国の大学新卒の就職率は65~67%程度で推移*7しています。

韓国の3大大学 ”SKY”以外からは給料の高い大手企業にはほとんど就職できません。また就活時に留学経験などが『ものさし』に使われます。

では就職率が低く、厳しい学歴社会で、就職するにはどうするか?当然、海外に出るという選択肢ですね。生活が懸かっているので語学も必死です。

日本で就職目指す韓国人は多い

近年では、習得のしやすさから日本語を学び日本に就職する韓国人が増えています*8

あぐらをかくな

ここまで見てくると、日本人は日本語だけで、高等教育を受けることができ、さらには国内での就職率も低くないとなると、わざわざ必死で英語の勉強をする人たちが少ないのもうなずけます。

しかし、これは先人たちが積み上げてきた「おこぼれ」に甘えているだけです。

日本は今後も少子化が進み、ゆくゆくは人口がどんどん減っていきます。人口が減るということは『内需』が減り、市場規模が縮小します。

すると大手はどうするでしょうか?人口の多いところでないと大きく儲からないですから海外を視野に入れるでしょう。

日本人も海外で働くというのが普通の時代が来るかもしれません。

今の子供たちは選択肢を増やすためにも英語はしっかりとやるべきだと思います。

では、また(^^♪

 

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