マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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『葬儀屋のCM多すぎない?』

ここ最近、葬儀社のCMが非常に多いと感じるのは私だけでしょうか?

しかも、それらは『家族葬』などの小規模の葬儀を宣伝しています。

今回はこの辺、少し学んでいきましょう♪

葬儀の縮小化

昔は、「ご近所づきあい」というものが非常に重要でしたが、核家族化が進んでいき、特に都市部では、近所づきあいも希薄化していきました。

また、職場の人間関係も変わったことも指摘されています。

かつては職場の同僚も参列

時代とともに、転職も増えていき、かつてのように『同じ会社≒家族』という考えも薄れていっている*1のです。

終身雇用と日本

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このように、仕事関係の人たちを呼ばなくなると、必然的に葬儀の規模は小さくなっていきます。

また、香典返しがめんどくさいので香典を受け取らないスタイルも増えてきました。

時代の流れとともに、葬儀に対する考え方も変わり、どんどん縮小に進んでいます。

終活ブーム

ご存じの通り、日本は超高齢化社会で、また少子化の問題があります。

そんな中で、誰もが必ず死ぬため、”多死社会”を迎えた日本では、”終活”が新たなビジネスになりました。

多死社会では儲かるビジネス

参列者の数が減って規模が縮小し、下がった葬儀単価を上げるチャンスです。

『団塊の世代』がいるのでここから20~30年は、死者は増え続けるはずです。

実際、葬儀社の売上高も2003年から2017年の14年間で約1.7倍に増加*2しています。もちろん、死者が1.7倍になったわけではありません。

ブームのおかげで、様々なオプションがつくから単価も上がるわけです。

終活ブームで単価が上がる

前もって、自身の最期の時を準備するわけです。

なるべくたくさんの人に見送ってもらいたい、自分らしさを出したい、などそういったことを考える時間があるので、気が付けば料金は上がりがちです。

家族葬の拡大

何とか、時代の変化に対応し、多死社会でウハウハのはずだった葬儀社業界ですが、例の厄介なウイルスが日本にも到来しました。

社会ではソーシャルディスタンスとともに、密を避けようという風潮になりました。しかし、人の死というのは、待ってくれません。「コロナが落ち着いたらお葬式」というわけにもいきません。

新型コロナの到来

そうして、いまや頻繁に目にする『家族葬』というのが当たり前になってきました。

葬儀社からすれば、家族葬となれば、お通夜での収入なし、香典返しがないのでその差益もなし・・・葬儀の単価がまた下がるわけです。

こうなると、なんとしてもその”家族葬”のクオリティーを高めて、単価を上げるしかないのです。

これが今、CMでよく見るやつですね。

一寸先は闇?

コロナ禍初期に比べ、日常の制限は大幅になくなりましたが、一度定着した新しい生活様式は完全には戻りません。それはお葬式の様式もそうです。

そんな中、葬儀社がさらに恐れていることが裏で進んでいるのです。

それは”直葬”です。葬儀自体せずにそのまま火葬です。

全日本仏教会ら調査より引用

全日本仏教会らの調査*3によれば、『直葬をしたことがある』と答えた人は7.4%、『今後も直葬でいい』が35.6%、さらに『葬儀不要』が31.5%もいるというのです。

直葬が普及するかも??

費用は家族葬の1/3で済むこともあり、今後普及していくと、葬儀社は窮地に立たされてしまうのです。

すでに、直葬サービスを提供する葬儀社もたくさんあります。お部屋を貸して、火葬までの間、家族に時間を提供するものです。

死者が多い地域では火葬まで数日待つこともあり、そういった人向けの『遺体ホテル』という新たなビジネスもできています。

さいごに

いかがでしたか?

やたら最近見かける、葬儀屋のCM。

時代とともに葬儀の規模の縮小化に伴う単価の低下、さらにはコロナ禍で大きく広まった家族葬などでのさらなる単価の低下。

希望となるのは終活ブームで、オリジナルの家族葬で単価を上げる方策でした。

また、直葬という、葬儀自体行わない人たちも増えており、遺体ホテルなど新たなサービスが出始めています。

世の中の流れにうまく合わせていく人たちが生き残るのでしょう。

では、また(^^♪