いよいよオリンピックが始まります。開会式より一足先にソフトボールが始まりましたね。色々議論はありましたが、実際始まってみると国を代表して戦っている選手の姿を見ていると自然と応援したくなるものです!
さて、海外から来た選手団は日本を見てどう思ったでしょうか?「感染対策ユルユルやん!」など*1と不満の声も出てましたね。「なんでこんなユルユルで死者少ないんだ?」と感じてることでしょう。
そう、今回は日本人の”ファクターX”について、ちょっと違った角度で見ていきましょう。
ファクターX
新型コロナが世界で感染拡大をしたのは2020年でした。ダイアモンド・プリンセス号での対応は世界から大ブーイングを食らった日本でした。(日本の医師でもワーワーと騒いでる方々もいましたが・・・)
▼ダイアモンド・プリンセス号▼
しかし、その後、批判しまくっていたアメリカなどでコロナが広がると、瞬く間に感染者数、死亡者数が急上昇しました。ふたを開けてみたらバカにしていた日本の方が感染者数(正確には陽性者数)、死亡者数とも圧倒的に少ないのです。
そんな中で、日本の被害が少ないのは、ファクターXによるものだという流れになりました。
最初は日本人の衛生意識が高く、冬になればみんながマスクをつけるから~、とか色々言われてましたね。
また、BCG接種国では比較的被害が少ないことなども言われていますが、160か国のメタ解析*2では、関連性を証明できずにいます。
▼医学論文について▼
結局わからない
結局1年以上たった今も日本やアジアで被害が少ない理由がわかっていません。
例えば、イギリスではアジア人は致死リスクが高いと報告*3されていましたね。なので、アジア人の遺伝子がコロナにかかりにくく、死ににくいかというとそうではないのでしょう。
アジアに住んでいるアジア人が感染しにくいとなれば、過去にアジアで流行った”かぜ”に対する免疫が新型コロナにも有効という交差免疫説が有力?なのかもしれません。
で、今回は、そのファクターXを追求するわけではなく!笑
その1つの候補とされた”日本人の特徴”についてのお話です~ 前置き長いな~(^^;;
ルース・ベネディクト
みなさんはルース・ベネディクトという人をご存じでしょうか?
昔のアメリカの文化人類学者です。この人は、ある書物を書いたことで、日本人でもごく一部の人の間では有名人といえます。
その本が『菊と刀』という日本人について書いた著書です。
実はこれは、アメリカが日本と戦争するにあたり、日本人の特徴や生活などについてまとめるように、ルース・ベネディクトに指示して作らせた報告書がもとになっています。
ちなみにベネディクトは日本に来たことはありません!!日本に来ずにして日本についてかなり精密な報告を作りました。
菊と刀
ベネディクトは、夏目漱石の英訳小説を読んだり、日本の新聞や、日系アメリカ人との交流から日本人について考察し報告書を作りました。
さて、この菊と刀という本の中に書かれた日本人に関するキーワードはたくさんあります。例えば、ヒエラルキー(≒絶対的縦社会)という言葉もありました。
そんな中で一番?有名なものが『恥の文化』です。
この『恥』という言葉が日本社会、ひいては日本人の心に宿る重要なマインドであるというのです。
恥の文化
昔の漫画やアニメに出てきそうな頑固おやじの言葉ですね(笑)
ベネディクト曰く、この『恥』というものは江戸時代からある封建制度に由来しているといいます。要は、士農工商の身分があって、武士の子供は武士になるといった身分制度などです。
また昔からある、男は働いて稼いできて、女は家事をするという、家庭内でもしっかりと役割というか、”身分”というものが存在しており、生まれた瞬間からその身分が決まっています。
そういえば、貧しい家庭から成功してお金持ちになるアメリカンドリームはいい意味ですが、日本語で成金というのはネガティブな響きですね。
日本の社会では、身分に応じて”あるべき姿”があり、それに反すると非難されるのです。こうして他人から笑われるというのが『恥』となるわけです。
恥をかかないために、身分相応の行動をとらなければならない。これが日本人の心の奥にあるものだといいます。
恩は返すもの
他にも日本人の持つ『恩』というものは返すべきものであるといいます。
恩を返せないと『恥』となります。何かをしてもらったときに”すみません”という謝罪の言葉を使うのは、今その恩を返せる手立てがないから自分を恥じて謝っているのです。
親はあなたを産み、大人になるまで育ててくれた恩人です。その恩を返すのが当たり前、それが親孝行なのです。
だからこそ親の老後を見ないなどの親不孝は日本では『恥』となるのです。なるほど他人には言えませんね。
罪の分化
ここまで日本人の『恥の文化』を見てきました。
ベネディクトはアメリカ人ですから、アメリカ人との対比もしています。
彼女曰く、欧米はキリスト教の影響もあり、『罪の文化』なのだそうです。わかりやすく言うと罪悪感です。欧米人を動かすものは自分の中に宿る罪悪感です。
日本の恥の文化は他人からの目を意識して行動し、欧米人の罪の文化は自分の内面にある罪悪感を意識して行動をします。
キリスト教では自分の”罪”は神に”告白”することで許されます。教会で牧師に”懺悔”をするシーンなど映画で見おぼえありますね?
一方、恥の文化では、他人に話すことは大恥をかくので、このような懺悔は成り立たないといいます。
さいごに
いかがでしたか。
かなりザックリまとめたのですが、もし興味を持たれたら一度原書を読まれてみるのもいいでしょう。
恥の文化と罪の文化という対比は非常に面白いし、さらに現代でも日本人の道徳には恥の文化が残っているのだな~と感心しました。
日本人が他人の目を気にして、法的拘束力がなくても”自粛”や”マスク”をしていたのもこれがあるのでしょうね。
では、また(^^ノ