マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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インドのコロナ対策から見えること

子供のときは阪神ファン、とくに新庄の熱狂ファンだった僕には、昨日のトライアウトは本当に夢のようでした。新庄が引退してからは野球を見なくなり、ラグビーだけ見てましたが、もし新庄がプロ野球に復帰したらまた見に行きたいな~

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マクロとミクロ

ニュースを見るときの心構えは『マクロか?ミクロか?』です。基本的には、広い目で、つまりマクロで見ると全体像をつかめます。番組内での”特集”というものはミクロです。例えば一つの病院の中で起こっていることだけを伝えることなど。

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マクロとミクロ

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マクロとミクロ

マクロとミクロについては

www.multilingual-doctor.com

例えばたくさんの病院があってもコロナ患者の受け入れの数は全然違います。重症ばかりの病院や主に軽症のみを扱う病院。それらの密着取材や特集は、実態が見れて面白いし、「実際こんな風になっているんだ」というメッセージ性が強いです。

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特集はミクロだ

ただし、見る側として注意しなければいけないのは、特集というミクロは個体差が大きいんです。これを一般化してはいけないということです。

もちろん、ミクロにもメリットがあって、その地域や、その人に合った何かを提供するオーダーメイドにはマクロより優れていますね。

TV局は視聴率がすべてです。ひどい現状を見せれると数字が稼げるので、ミクロでひどいところを押してきます。それを見て不安な気持ちが高まってしまいます。

なので、私たちにできることは、ニュースを判別することです。この話はマクロの話か、それともミクロの話か。しつこいですが、物事をつかむにはマクロで見ることが重要です。一般人はこれだけです!!(もちろんどこまでマクロ?という問題もあるが、人種差があるのは間違いないので新型コロナに関しては『国単位』でよいかと)

行政で、地域ごとの現状を集めるならミクロで「〇〇市では・・・」と見て、それに対応策を行っていきます。

 

今日のニュース

さて、話は変わって、いつものように英字ニュースから話を広げていきます。今回はCNNの記事からです。少しずつ慣れていけば、CNNもBBCも全然ビビらず読めますので('ω')ノ

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CNN newsより一部引用

どうでしょう。医療の専門語がありますが、それ以外は特に難なく読めたのではないでしょうか。

世の中は新型コロナの話でもちきりですが、インドで原因不明の疾患で300人が入院しているというニュースですね。

すくなくとも今のところ原因となるウイルスは見つかっていません。また全員が新型コロナ陰性だったようです。

症状が、意識消失や痙攣、嘔吐とあります。消化器系の症状だけでなく神経系にも影響があるようです。恐ろしいですね。まぁ一番に考えるのは水とかの食中毒ですけどね~(笑)

 

さて、ここからはインドのコロナから学んでいきましょう。

インドとコロナ

インドの人口は13億人以上と日本の10倍以上ですね。10年以内に中国の人口14億人を抜くといわれています。ちなみに3位のアメリカで3億3000万人位なので、この2国が圧倒的です。

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インドでコロナが大流行

インドでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染爆発は起きており、累計は1000万人ちかくになっています、日本の60倍です。上図の右下のグラフを見てみましょう。インドでコロナが流行り始めたのは、6月以降ですね。

インドの気候は3月から5月が夏で、6月からモンスーンの雨季になります。通常のウイルス感染は気温が低く、湿度が低いと活発化するのはもういいですね?冬に風邪やインフルになりやすいのはもう一つ理由があります。寒くて換気のされない室内にいる時間が増えるからです。

雨季のモンスーンの時期は外出が減る時期で増え始めたのかな~という考察ができますね。

 

インドの季節

さて、モンスーンで外出が減り、室内で過ごすことが増え始めた6月以降、コロナさんが増え始めたというのは何となく納得いきます。その後はどうなんでしょうか?

9月以降急増しているのは気温が下がったからなのでしょうか?インドって1年中暑そうですが。。。

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気象庁データ 一部改変

上図は気象庁が公開している2013-2014年のインド・ニューデリーの気温と降水量のグラフです。薄黄色の楕円の部分に注目して、9月から12月の気温を見てみましょう。青色の折れ線グラフは最低気温で、これは12~20℃くらいに涼しくなるんですね、この時期。

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Weather Spark より引用

インドの湿度も見てみましょう。10月以降は赤やピンクが一気に無くなり、湿度も下がり過ごしやすくなるんですね。つまり、インドのコロナ感染はモンスーンの雨季が終わって増え始め、湿度が下がるにつれて急増しているといえます。

ちなみにインドの冬は1-2月なのでその時期までは感染が高止まりすることが想定されます。あと感染症の重要なファクターは衛生環境医療設備です。この2つは、いわずもがなで日本などに比べると大幅に劣っている為、広がりやすいのもあるでしょう。

 

史上最大の封鎖

いままではインドの気候のみで語ってきましたが、次は政策・対策の面から見ていきましょう。もう一度先ほどのグラフを見てみましょう。

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インドとコロナ

気候的にはモンスーンの時期が終わったあとに増えたのは間違いありませんし、理にもかなっていますね。実は、このグラフではほぼ0に見えている3月からインド内で感染者が出ていました。1日に数百人レベルです。

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インドのコロナ政策

世界中でコロナの流行がわかりだし、インドのモディ―首相はまず日韓国籍保有者のビザを停止し、最終的にはすべての外国籍のビザを停止にしました。

さらに、3月25日に、「史上最大のロックダウン」とも称される全土封鎖を行うこととしました。それは厳しい罰則付きの外出禁止令でした。最初は3週間の全土封鎖でコロナを根絶できると予想していましたが、その後も収まることなく増えていき、結局6月まで続いたのです。

しかし、このままでは経済がもたないと判断され、史上最大の国土封鎖は解除されたわけです。言い換えれば失敗に終わりました。

 

失敗した?封鎖

封鎖を解除したのが6月でそれ以降、感染者のグラフは少し右肩上がりが進んでいますね。さらに9月以降は、さきほど述べた気候の影響もあり、さらに急増となったわけです。

強硬な全土封鎖は初めのうちはかなり効果を持っていましたが、ウイルス完全消失まではいかなかったため、解除すると増えるわけです。つまり、ロックダウンは急速な増加をある程度抑えることができるので、医療へのひっ迫を軽減するなどの一時しのぎはできるけど、それで新型コロナを封じ込めないということです。

インドで4か月以上に及んだ全土封鎖は、長期に及んだため経済的に危うくなってしまいました。中でも、何百万人もの出稼ぎ労働者が、農村への仕事も求めて、地方へ大移動したことで地方への感染も広がったと考えられています。

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まとめ

ロックダウンは一時的に抑制効果はあるため、爆増中には減速する効果はあるが新型コロナを完全に消し去ることは難しい。

インドを見てもやはり季節による影響はかなり大きい。

経済と感染症対策のバランスを取るのは困難、どちらが正解と言うものはない。

 

なかなか厄介なウイルスですね

ではまた(^^♪