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【サク読み】インフルエンザ復活の兆し

コロナ禍に入ってインフルエンザの流行が2年連続ありませんでした。日本だけでなく、海外も同じ現象が起きています。

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世界では、コロナとの共存に舵を切っており、規制を撤廃するようになっておりますが、そんな中、インフルエンザが復活の兆しを見せています。

インフルエンザ流行なし

こないだの冬もインフルエンザの流行はなく終えました。

感染対策の効果

手洗い、マスク、社会的距離の基本感染症対策がインフルエンザをほぼ広がらないものとしたというのが一般的な見解です。

また、ウイルス干渉の可能性もあります。ザックリ言えば あるウイルスが蔓延しているときは他のウイルスによる感染症が広がらないというものです。

ウイルス干渉のメカニズムは完全には解明されていません*1が、経験則として知られています。

同時流行は起こりうる

一方で、2021年の長崎大学の研究*2では、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスは臓器ではウイルス干渉しないという結果がでており、コロナ禍での感染対策によりインフルエンザが激減していたと考えるのが自然です。

ま、よく考えてみれば、2020年なんて日本でコロナそんなに蔓延してませんでしたよね?抗体保有率見ればすぐわかります。2021年の冬も日本では第5波が収束している状況でしたね。ウイルス干渉で説明つけるのは難しいです。

豪州でインフルエンザ復活

今回の話題に入りましょう。

豪州では、日本と季節は反対で、これから寒くなり冬になっていくタイミングです。

豪州でも過去2年連続でインフルエンザの流行はありませんでしたが、今年は流行しそうです。ガーディアン紙の記事*3から学びます。

記事のタイトル

記事のタイトルは、インフルエンザワクチンを無償提供するように専門家が推奨していることがわかります。要は、自費であれば打たない層の人たちにも打ってほしいからです。

コロナと同時流行

実は、豪州で新型コロナウイルス感染症と同時に、今、インフルエンザの感染が増えているのです。

新型コロナとインフルエンザの同時発生

インフルエンザでも、特に高齢者では一定の割合で重症化し、生命にかかわることがあるわけで、コロナとの同時流行は医療崩壊の懸念が出てくるからです。

では、まず豪州の新型コロナの状況を見てみましょう。

豪州の新型コロナの状況 (Reutersより)

2回ワクチン接種率は結構高い*4ですね。

で、オーストラリアやニュージーランドと言えば、コロナ初期に早くから海外からの入国を停止し、島国の強さを十分に発揮していたのを思い出しますね。

その甲斐あって、2021年末まで大きな流行はなかったことがグラフから読み取れますね。

12月から状況一転

先ほどのグラフを見れば昨年の12月から状況が一転していますね。

実は11月から海外からの留学生や技術者らから入国を再開したのです。その後も段階的に規制を緩和し、今年の2月21日からすべての国からの旅行者をワクチン接種を条件に受け入れています。

コロナ清浄国への流入

今の時代、いつまでも国境閉鎖をしているわけにはいきません。日本も6月から海外からの旅行客を受け入れいる*5ように動いています。

いまやノーマスクの海外から、ノーマスクの外国人が入って来た時のイザコザを避けるため?かどうか知りませんが、最近メディアで異常なまでに『マスク外そう』ってな流れですね。(笑)

入院患者が増えている

クイーンズランド州では既にインフルワクチンの無償化を決めました。その理由は、インフルエンザと新型コロナ患者で救急要請が急増し、医療機関がパンクしつつあるから*6です。

医療がパンク寸前

豪州でのインフルエンザのピークは通常8月なのですが、今年は1-2ヶ月早そうです。

WHOのBarr副長官は、次のようにコメントしています。

2年間インフルエンザに曝露していない

2020年・2021年とインフルエンザに曝露していない為、多くの人がインフルエンザに対する免疫が弱まっており、今回大流行となれば、死者が増えるということです。さらに、コロナも流行しており医療崩壊となる恐れがあります。

そのためにもインフルエンザのワクチンを多くの人が接種すべきであるとしています。

インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンを打つのはインフルエンザの予防、重症化予防だけが目的ではないといいます。

Nature誌に掲載された研究*7によると、インフルエンザワクチン接種はある程度、新型コロナの予防効果もあることが分かっています。

新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンの両方の接種により、この迫りくる大きな危機を乗り越えようということです。

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さいごに

いかがでしたか?

インフルエンザと新型コロナの同時流行は今まで見られませんでした。

世界中で、ウィズコロナに向かい、規制を撤廃すると、やはりインフルエンザは出てきました。豪州では明らかに増えてきています*8

豪州でインフルエンザ大流行の兆し

日本もこれから、段階的に規制を緩和するでしょうし、6月からは海外からの観光客も受け入れます。

豪州のこの状況は十分に参考になるのではないでしょうか。

では、また(^.^)ノ