日本と言えば、少子高齢化の問題があるのは誰もが知っています。
裏を返せば、医療レベルが向上しているという事実が大きいです。寿命が延びても、体は間違いなく老いていきます。血管も、そして脳も・・・
というわけで、今回は最近の認知症の状況*1についてを見ていきましょう♪
認知症減少?
日本ほどではないにしても、アメリカでも少子高齢化が進んでいます。
高齢者が増えると、当然、がん患者が増えたり、血管系の病気も増え、さらには認知症も増える・・・はずですね。
ところが、最近の研究*2を見ると面白いことがわかります。
実は認知症は減少中で、2000年と2016年で65歳以上の認知症患者の割合を見ると、30%も減少しているのです。
そして、同じことが日本でも言われています。
東京大学の研究*3によると、高齢化社会真っただ中の日本で、今から20-30年後は認知症患者が減っているのです。
この予測結果は、今まで厚生労働省が出してきた『認知症患者は将来どんどん増える』という予測と真逆になるわけです。
「原因はわからん」
高齢化社会が進む中で、なぜ認知症患者は減るのでしょうか?
はっきりした原因はわかりませんが、社会にとって『いいこと』であることは間違いありません。
また、認知症患者が減少しているだけでなく、もう一つ面白い変化が見られます。
認知症は女性の方がなりやすいですが、その男女差も徐々に縮まってきているのです。
男女ともに減ってきているのですが、特に女性の認知症の減少が大きいのです。
これらの傾向は他の先進国でも見られるものです。
(ま、女性の方が長生きだから、女性に認知症患者が必然的に多くなるとも言われています。)
医療の発達?
そういった背景から、認知症減少の原因の仮説があります。
まずですね、喫煙率の低下と高血圧の治療の充実。これは、医者視点で非常に納得です。脳血管性認知症というものがありまして、これは脳梗塞や脳出血後に認知症になるものです。
これらのリスク因子としては当然高血圧があります。ここを抑えると脳血管性の認知症は減ります。
では、教育水準うんぬんはどうでしょうか?
この図を見れば45年前と比べると、特に女性で高等教育機会の上昇が著しいですね。
これが女性で認知症が大きく減少する理由なんでしょうか??
大学進学率と認知症
面白いことに、大学進学率と認知症の減少について研究されており、関連があると言われています。
これについては過去に他にもたくさん研究がなされており、教育歴と認知症の関連はほぼ確実視されています。
たとえば、アルツハイマー型認知症に関するsystematic review*4を見てみましょう。
そんなこんなで、過去50年位での大学進学率の上昇が現在~将来の認知症患者減少につながるという予測はこういったものから来ています。
なぜ、進学率が高いと認知症になりにくいのか・・・
1つは、健康に関する知識を得る機会があることで、タバコはよくないとか、血圧はこのくらいにしましょうという知識を得ることです。
そしてもう一つは新たなことを学び脳を刺激する機会が多いと認知症が減るのです。
脳を刺激しよう
大学に行くことがいいことではなく、常に脳を刺激することがいいのです。
なので、よく認知症予防に料理をするなどが言われます。献立を考えてそれに必要な材料を買う計画を立てるのに脳を使うからです。
新たなことを学ぶことも脳への大きな刺激になります。バイリンガルの人は認知症の発症を遅らせる*5なんて研究もあります。
では、また(^^♪