マルチリンガル医師のよもやま話

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【検証】コロナ10年前から予言?

先日アメリカのFOX newsでも扱われた内容で、新型コロナについて2010年に予言されていたという内容のものです。あまりに現在の状況を表していることから、コロナは10年前から計画されていたものではないか?という陰謀論があります。

このネタはネット上ではわずかに見られますが、日本ではそんなに言われてないですね。

検証してみた上で、陰謀論がいかにして作られるのかを学んでみましょう。

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新型コロナの予言

以前ご紹介したように、アメリカの大統領首席医療顧問であるファウチ博士は、2017年1月、トランプ政権が発足する直前のフォーラムでパンデミックの予言をしていました。

疑惑のファウチ博士

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トランプ政権発足前に、「次期政権は確実に感染症危機を迎える」ことを断言したこともあり、「まさか前から存在を知ってたの?」と疑惑も出ているのです。

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ファウチ博士の予言

ファウチ博士と武漢ウイルス研究所の関係については過去記事ご参照ください。

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しかし、今回ご紹介する予言はこれとは別のものです。「2010年の段階で予言されていた」とされるものです。その元となるのはロックフェラー財団がまとめた未来のシナリオです。

急に都市伝説とか陰謀論チックになってきましたね。(笑)

未来のシナリオ①

それでは噂のロックフェラー財団の資料を覗いていきましょう。

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パンデミックの到来

感染症対策に最も力を入れている国々”というのがどこを指すのかも議論はありそうですが、例えばアメリカにはCDC(疾病対策予防センター)という専門機関があるのは有名ですね。

そういう意味では、アメリカやドイツを含む医療先進国であっても大打撃を食らいました。こう読むこともできますね。

そして後半部分、『国際的な人流も物流も停止し、観光業は壊滅状態で、店や会社から人がいなくなった』という部分は世界的にロックダウンテレワークなどまさに今回の状況を表していますね。

未来のシナリオ②

続きに行きます。

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中国は早急な復興を果たす

ほうほう、たしかに中国は初期に武漢の都市封鎖を行ったり、その後も大量なPCR検査と徹底的な(物理的に)封じ込めを行い、現在、数字上は”ゼロコロナ”と宣言していますね。

中国の”経済V字回復”という記事も何度も目にしましたね~。なるほどこれも現在のコロナの状況に酷似ですな~。

未来のシナリオ③

つづき

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パンデミックが終わってからも

世界中で私権を制限するような対策が取られましたが、自由民主主義の中でも感染を抑えるためにと受け入れられました。

コロナ禍でも世界中でマスク着用の義務化や検温の実施が行われていますね。日本では『要請』ですが(笑)、ま、それはさておき。

重要なのはこの後半部、日本語訳では水色の部分です。パンデミックに際して国民の監視などを強める権限を得た国々は、パンデミックの後もさらに強い国民監視を行うことになったと書いてあります。

ネット界の陰謀論では、国はコロナを利用して国民監視を強め、管理社会を作り上げようとしているというわけです。

国民を監視します!

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検証①

このストーリーをまとめると次のようになります。

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予言のまとめ

現在の世界人口は約78億人*1ですので、その20%と言えば、16億人くらい

です。2021年6月17日現在、つまりコロナが始まって18ヶ月で全世界の感染者数は約1億7600万人*2ですので、大きく違いますね。(笑)

続いて死者数も、コロナ開始18ヶ月の今で世界での死者数は約370万人で、これも7ヶ月で800万人と言う予想とは大きくズレています。

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数字は全然違う!

しかし、人数は対策を講じたりによって違うだろうし、信者からは『本質はそこじゃない!』と怒られそうですね。(笑)

そう、おそらくこの話題を挙げる人たちは、後半部分のパンデミック後にも私権制限や国民監視につながることを主張しています。つまり、パンデミックは国が国民を統制するために作られたのだと。そして、それを計画したのはロックフェラー財団だというのです。

検証②

だいたい、こういう話をするとき、不都合な部分は省略されます。たとえば本文の一番最初にある記述はこれです。

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2012年に新型インフルエンザ

はい、2012年と明記しており、しかも新型インフルエンザによるパンデミックを想定しています。陰謀論ではこのような”明白な記載”は当然省かれます。(笑)

さらに、最後の方にもこのような記載があります。

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人々は社会主義的支配に嫌気が差す

人々はトップダウン方式の国からの監視、管理に嫌気が差し、国によってはクーデターが起こると書かれています。また、一番最後にはこのようにあります。

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いずれ人々の力で自由を取り戻す

はい、このシナリオは何も国民を管理するためにパンデミックを計画したというものではありません。パンデミックにより国が一時的に強権を持つことになり、国はその後もその強権を利用しようとするが、いずれはそれに人々の嫌気が差し、作られた『秩序』は結局崩されることになるだろうとまとめられているのです。

なぜ作られた?

さて、ロックフェラー財団はなぜこのような未来のシナリオをまとめたのでしょうか。本文にはこのように説明がありました。

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Rockefeller Foundationらの未来シナリオ

年々、進歩する科学技術により、また新たな問題が出てくるのは間違いなく、そのときの判断力や決断力を養うためにはあらゆるものの可能性について深く知る必要があると言っています。

実はこの資料を作ったのはロックフェラー財団GBN*3というコンサルティング会社です。つまりは、ビジネスにおいてリスクをいかに予想し、対処するかというスキルを学ぶために作られたシナリオということです。

さいごに

”コロナ予言”とされるこのシナリオのタイトルは LOCK STEPですが、実はこれ以外にもハッキングなど3つのシナリオが載せられています。

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用意された4つのシナリオ

2010年の段階で科学技術に起こりうる未来、また科学技術により変わる世界を予想したシナリオだそうです。パンデミックにより、科学技術も国に統括され、発展が止まってしまう可能性について書かれたものだったわけですね。当然、コロナの予言なんかではありません!

そして、陰謀論と言うのは、ある程度似ているものがあれば、その都合の悪い部分を削ってストーリーをまとめて作られているというのがよくわかりましたね。

では、また(^.^)ノ

*1:2021年現在

*2:https://coronavirus.jhu.edu/

*3:Global Business Network