ご飯やパスタなどの炭水化物を抜くダイエットは、多くの人に認知されております。しかし、このダイエット法についてはかねてより『危険視』する声が多かったのです。
今回は、最新の研究結果とともに、低・炭水化物食について考えてみましょう。
炭水化物と糖質
まずはおさらいからしておきましょう。
炭水化物というものは食物繊維と糖質のことです。食物繊維が多く含まれるものは葉っぱ系の野菜や海藻や穀物をイメージしてください。
食物繊維は腸管で吸収されにくく排泄され体内には残りません。また血糖値の急上昇を抑える役割もあるので食物繊維はしっかり取りましょう。
なので、ダイエットする人は、厳密には”糖質制限”のことですね。ま、一般的にはゴッチャにされています。
では、糖質を制限するとなぜ痩せるのでしょうか?
体内への糖分の摂取が少ないと、生きるためのエネルギーとして、筋肉を使い始めます。筋肉は水分を多く含みますので、筋肉が減ると水分も減り体重が減るのです。
同じ体積では筋肉は脂肪より1.2倍重いです。逆に言うと、重さが同じならば、筋肉の方が17%程体積が小さくなるわけです。(つまり引き締まって見える)
糖質制限により筋肉がまず減り、それに伴い体重は減ります。しかし、筋肉が減ると代謝が落ちるので、その後は痩せにくい体になります。
要は、糖質制限は短期的に体重を落としたいというのには向いていますね。
メタボになりやすい?
さて、いよいよ最近の研究を見ていきます。
アメリカ・オハイオ州立大学からの研究*1です。
今回は低・炭水化物食の話になります。一般の人たちの普段の食事に関する回答を基にした研究なので、厳密に糖質制限だけではなく、大まかに低炭水化物食として調べているのかな~と思います。
一般的なアメリカ人で、炭水化物の摂取量が少ない成人と、推奨摂取量の成人を比較したものです。
妊娠中、授乳中はエネルギー代謝が大きく違うので、そういった人たちは含まれておりません。
結論から言うと、炭水化物の摂取割合が低い群では、推奨された摂取割合の群と比べ1.067倍メタボになりやすい(p<0.001)ことがわかりました。
ま、当然、炭水化物の”割合が低い”ということは、代わりに他の物を多く摂っているわけです。
そこで詳しい解析をすると、低炭水化物群で脂質の摂取が多い人たちほど、メタボになりやすい、という、誰もが予想できる結果がわかりました。
また、炭水化物摂取割合の低い群では、アルコールの占める割合が高いことがわかりました。アルコールの摂取が多いとメタボになりやすい*2ということが示唆されています。
炭水化物を制限すれば、あとは何も制限する必要がない!という魔法のような言葉を信じて低炭水化物に走れば、このような結果になるのは自明ですね。
日本人の研究
もう一つ最近の研究をご紹介します。名古屋大学らの共同研究*3です。
どうしても食事関連のものは、人種、食文化の違いの影響を受けます。こちらは日本人を対象としたものです。
早速結論に行きましょう。
衝撃なのが、炭水化物の摂取が少ない群では全死亡リスク(死因問わず)が1.59倍と有意に高いことがわかりました。
ザックリと、炭水化物を制限しすぎたら死にやすい??
しかし、この研究の面白いところはここから先です。
女性だけを見てみると、炭水化物の摂取が多い群の方が、全死亡リスク1.71倍高いということが分かったのです。
一方で、脂質を多めに摂る女性では全死亡リスクが下がるのです。
頭がこんがらがりますが、つまり、女性は炭水化物は少なめで、脂質はやや多めの方がいいようです。
一方で、日本人男性では、炭水化物が少ないと全死亡リスクが上がり、脂質の摂取が多いとがん死亡リスクが高くなることがわかりました。
つまりは、男性は炭水化物はしっかり摂って、脂質を抑えるのがよいということです。
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さいごに
いかがでしたか?低炭水化物ダイエット関連の最新の知見を紹介いたしました。
アメリカの研究では、低炭水化物食の人はメタボになりやすいことが示されました。その背景には炭水化物を抑える反面、脂質やアルコールの摂取が多くなるということがあるようです。
日本人を対象にした研究では、低炭水化物食では全死亡リスクが1.59倍になります。
しかし、男女を分けて考えると大きく結果が異なっていました。
この研究結果からは男性は炭水化物を制限せずに脂質を抑えるのがよく、女性は炭水化物を少なめにして脂質を少し多めに摂るのがよさそうです。
では、また(^^♪
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