東京・上野動物園で生まれたジャイアントパンダの香香は2023年2月に中国に返還されました。
その他にも、和歌山のアドベンチャーワールドの永明、桜浜、桃浜の3匹も返還され、年末には神戸・王子動物園のタンタンも中国に返還される予定です。
今回はこの”パンダ外交”について学んでいきましょう。
パンダについて
ま、少し予習しておきましょう。
パンダは大きく2種類あって、1つはみなさんのイメージ通りの”パンダ”であるジャイアントパンダと、もう一つはレッサーパンダです。
元々のパンダは、実はレッサーパンダの方だったのです。中国語でパンダが熊猫(シュウマオ)と言いますが、この『猫』はレッサーパンダを見るとガッテンがいきますね。
後に、白黒のパンダが発見され、区別するために大きいのでジャイアントパンダ、そして小さい(lesser)パンダということでレッサーパンダと区別するようになりました。
その後、研究が進み、ジャイアントパンダとレッサーパンダは親戚ではないことがわかり、それぞれクマ科とレッサーパンダ科に振り分けられています。
ちなみにパンダは笹をバクバク食べるイメージですが、実はアレは竹らしいです。主食が竹で1日に15-40kgくらい食べているんだとか。
ジャイアントパンダ
今回の主役はジャイアントパンダ(以降、パンダと呼びます)です。
古くは中国・ベトナム・ミャンマーなどに生息していたと考えられていますが、現代では中国の限られた地域でのみ生息が確認されています。よく聞くのが四川省ですね。
つまり、パンダと言えば、中国なんです!
で、なぜパンダが貴重かというと、絶滅危惧種だからです。
では、なぜ絶滅危機かというと・・・
パンダは群れでは行動せず、1匹で行動します。で、メスのパンダの発情期が2-3年に1度しか来ない上に、期間が短いのです。
その稀なタイミングにオスと出会わなければ子孫ができないのです。
また、中国の発展とともに、竹が豊富な生息地が奪われていっていることもあり、絶滅危機なようです。
パンダ外交
さて、本題に入ります。
中国にしか生息しないし、なかなか繁殖しない貴重なパンダ。これを外交ツールに利用することにしました。
アルジャジーラの記事*1を中心に学びましょう。
中国にはおよそ1800匹のパンダが生息しているとされ、少なくとも65匹は20以上の国に貸出されています。
なんと、パンダを外交に使うのは1000年以上前の唐の時代からの伝統だそうです。
第二次世界大戦後、冷戦を迎えた中で、友好の印として中国はソ連、アメリカ、イギリスなどにパンダを贈っています。
アメリカとの関係を築きたい中国は、ファーストレディーが動物好きなことからアメリカにパンダを贈り、関係を深めることに成功しました。
同年、日本も日中共同声明を出し、日本もパンダが送られ、大人気でした。
そういえば、楽天のお買い物パンダも登場から10周年、LINEスタンプも大人気*2なそうな。日本人、パンダ好きアルね~。
レンタルに変更
先進国との接近で、自分たちもいずれ先進国になるぞ!
そのためにも中国は先進国の加盟する様々な条約などに加盟するようになりました。
1981年に中国がワシントン条約に加盟しました。これにより絶滅危惧種の売買や譲渡ができなくなりました。
すると、中国はいいことを思いつきました。
絶滅危惧種で稀少、さらにかわいくて世界中で人気のパンダを”研究目的”としてレンタルしたらお金になるじゃん!
そして、各地で研究して繁殖させて、生まれた子供は中国のモノ!という条件を付けることで将来も無限レンタルができる!天才!
研究目的で貸し出されるパンダのレンタルには、1匹当たり年間100万ドル(約1億4500万円)かかります。(別のソースでは2匹で100万ドル+エサ代などなど)
契約延長やめ
レンタルは2年とか10年毎で期間を終えるのですが、契約延長ができます。
いままでは、日本、アメリカ、イギリスを始め、多くの国でレンタル延長されてきましたが、コロナ禍で来園者の激減によりとてもじゃないけどレンタル料を払えないという動物園が急増したのです。
日本は少子化の影響もあり、動物園の経営も厳しく、神戸の王子動物園では3億円の公費が使われている状態*3です。これでは、パンダレンタル継続すれば、税金がどんどんつぎ込まれるということになりますね。
大きなお金が中国にお金が流れるので、当然近年の情勢を考えればアメリカやその同盟国はこの状況を好ましいとは思いません。
こうして、ついにアメリカ、イギリスから中国のパンダはいなくなった・・・
はずでした。(笑)
友情パンダ
11月14日にAPECの会議がサンフランシスコで開かれ、そこに習近平国家主席も参加し、15日にバイデン大統領と首脳会談を行いました。
両国の緊張した関係改善を狙うものです。
そして、このタイミングで、”パンダ外交”を投入。
バイデン大統領との会談後に、「新しいパンダを貸したげてもいいよ」と言いました。もちろん、レンタル収入も入りますし、愛らしいパンダを通じてアメリカ国民の”親中”感情を作り上げたいでしょう。
トランプ政権以降、ファーウェイの締め出しや、中国に対する制裁が続いていることも、パンダ愛に溺れたアメリカが軟化するのを狙っている?のかもしれません、まぁ、知らんけど。(笑)
では、また(^^♪