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賞味期限と消費期限 ~フードロスを考える~

あっという間に2月も後半に入りました。ついこないだ節分だと思ったら・・・

そう、節分と言えば恵方巻ですが、毎年コンビニやスーパーで節分に向けて大量の恵方巻が作られては売れ残り最終的に廃棄するというもったいないことを行っています。

これは俗にいう「食品ロス問題」または「フードロス」と言われます。

今回はこの食品ロス問題について考えてみたいと思います。

 

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食品ロスとは

食品ロスとは捨てられたり食べられなかった食料のことです。世界中での食品ロスはなんと生産される量の1/3~1/2と言われています。日本での食品ロスは1年間で643万トン(2016年)にも上るそうです。多い原因は食べ残し賞味期限切れなどでの廃棄です。

さきほど冒頭でお話した恵方巻については後者の賞味期限切れでの廃棄となるわけですね。この賞味期限について少し詳しく学んでみましょう。

 

賞味期限ができた理由

日本の加工食品はもともとは製造年月日を記載していました。そして製造後〇日までに食べてくださいという表示をしていました。

ところが、納豆やヨーグルトなどの発酵製品などは特に製造年月日というのは明確に決めにくいです。また、世界的には賞味期限表示が一般的でした。

以上の背景から日本でも1995年より賞味期限表記の方式に切り替えました。

今では品質保持が製造後5日未満のものは消費期限、それ以外のものは賞味期限を表記することになっています。

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1/3ルール

1/3ルール

日本の食品業界では独自のルール「1/3ルール」 と言うものがあります。例えば上の図で賞味期限が12日としましょう。すると、最初の1/3の4日目までに、小売店に納品し、次の1/3の日つまり8日目までに売れなかった場合は返品となる制度です。

つまり、上の商品では8日目の時点で売れなければ残り4日の期限をもったまま販売スペースから消え去るのです。かなり勿体ないですね。

 

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食品ロスの問題点

  1. 日本は食品自給率が低く、世界最大の食品輸入国です。つまり、日本で食品ロスを減らすと食品自給率は上がるわけです。
  2. また、食品ロスは食品だけでなく、製造・流通に利用された資源・エネルギーもまた浪費されたことになります。
  3. 廃棄された食料品は焼却されますので、温室効果ガスや二酸化炭素の排出につながります。

 

食品残渣飼料

フードロスの対策で始まっているものをご紹介します。

まずは食品残渣飼料といって、食べ残しや廃棄された食料を原料として加工処理されたリサイクル飼料のことで、エコフィードとも呼ばれます。例えば豚の餌などでは、パンくずやコンビニ弁当の残り、規格外の野菜などを使って飼料を作っています。このエコフィードは、豚農家のコスト削減にも一躍買っています。しかしながら、加熱処理が中途半端であった場合は伝染性の感染症などにつながる危険性も孕んでいます。現に2019年末に沖縄で発生した豚コレラはエコフィードの加熱処理が不十分だったためとされています。

豚コレラの記事はコチラ

www.multilingual-doctor.com

 

フードバンク

フードバンクとは食品の品質には問題はないけれども、包装が傷んでいたりで、商品にならないものをNGOやNPOの市民団体を通じて無償で生活困窮者に供給するシステムです。アメリカでは1980年代から始まっており、日本では2002年に元アメリカ海軍の軍人が日本の大学へ留学した際に団体を設立して開始しました。その後、全国的に広がっており、現在では80以上の団体が日本に存在しています。

 

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持ち帰り箱

ドギーバッグ

doggie bag とは「犬のために持ち帰るための入れ物」という意味ですが、実際は日本語の「持ち帰り容器」のことで当然持ち帰って人間が食べます。(笑)

この名称になった理由は諸説ありますが、お店の『責任逃れ』説もあります(笑)

要するに、店側からしたら、お店で提供したものを持ち帰って時間が経ってから食べて食中毒になられては風評上も困るわけです。アメリカは訴訟大国ですし当然ですね。

ですので、「おうちのワンちゃん用にどうぞ」というスタイルで、時間をおいて食べるのは自己責任でヨロシクといったところでしょうか。アメリカのレストランでは多くのお店で置いています。

日本では、この文化を広げようとしており、日本での愛称を今募集しているようですね。2月14日に小泉環境大臣がやってましたね。

 

賞味期限の見直しやそのほかの対策

上で述べた1/3ルールを見直す動きが進んでおり、賞味期限の表記について安全性を再評価したうえで変化が起きています。例えば、2014年からカップ麺は5→6か月に、袋入りのインスタント麺では6→8か月にそれぞれ賞味期限を変更しました。

他にも、コンビニのおでん問題に関しても、今年(2020年)初めにファミリーマートがパック入りのおでんを注文ごとに電子レンジで温めて提供する方法に変更したことも記憶に新しいですね。

 

 

ドギーバッグの愛称、考えてみようかな・・・

みなさんもいい案があれば教えてくださいね