マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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ワクチン接種後の近未来

大阪府が3度目の緊急事態宣言を要請するとなり批判の嵐なわけですが、締め付ければ文句があり、緩めればまた文句があり。笑

批判する人は政策がすべて悪いかのように言いますが、誰がやってもそんなに大差ないですよ、長期的に見れば。

さて、今回はワクチン接種が進んだ国の状況から接種後の『超近未来』を覗いてみましょう。

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世界中で増加

熱心に政権批判や知事批判をしている記事をよく見ますが、はっきり言って政治でどうこうできるレベルはもう過ぎているんです。優秀に抑え込めているニュージーランドや台湾はなぜうまくいってるんですか?

それは最初の段階で国を封鎖した島国だからです。(中国に関しては謎)

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日本はナメていた?

2020年の春節でのインバウンド需要もあり、なかなか入国禁止をしなかった日本政府はコロナをナメていたとも言えますね。島国のメリットを生かせなったのは悲しいですが、もう今更時間は巻き戻せませんので、しっかりと反省して今後同じ過ちをしないことが重要です。

一度広がった新型コロナは抑えるのが難しいというのは世界も同じです。今増えているのは日本だけではありません。韓国でも日本よりは大幅に少ないものの第4波の最中です。

インドでは現在過去最多で1日に27万人以上の陽性者報告があり、世界的にも現在1日70万人以上が陽性となっているのです。

ちなみに日本も含め全世界で20-60歳での増加が著しいのも現在の変異株の特徴です。

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ポイント1

ワクチン接種が遅い

日本では2月17日に医療従事者からワクチン優先接種を開始しましたが、まだ全医療従事者の1/4しか接種が終わっていません。総接種人数も120万人程度と世界的に見て、激遅なワケです。

日本は新薬や新ワクチンには相当慎重なのです。それゆえ、自国内で治験を行って解析したものしか承認されません。4月20日時点で唯一承認されているものはファイザー製のみです。

今後、アストラゼネカ製、モデルナ製も承認される見込みです。

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ポイント2

お隣の韓国も日本と同じく、世界的にワクチン接種遅れを指摘されています。こちらはCOVAXという主に後進国向けにみんなでお金を出し合ってワクチンを融通するシステムを利用して主にアストラゼネカワクチンを、一部ファイザーワクチンを入手しています。(一応、ルール上は問題ない・・・)

COVAXワクチン▼ 

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一時期は「日本よりも早い」と勝ち誇っていましたが、今は日本の方が多いです。ま、いずれにしてもどんぐりのせいくらべ、どちらも遅いです。

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ワクチン接種遅い~NHKより引用・改変~

それはEUが輸出規制をかけているからです。実はファイザー製もアストラゼネカ製も主にはベルギーで製造されています。これはベルギーの国策でもあります。

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ベルギーでワクチン製造

そして感染状況がひどいヨーロッパではEU加盟国のワクチン接種を優先すべく、感染状況がだいぶマシな韓国や日本へは規制がかかっています。

アストラゼネカ製はインドでも製造されていますが、インドも自国がヤバいため輸出規制を行っていますね。世界中のワクチン争奪戦、結局強いのは自国の工場で作れる国です。

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ポイント3

イスラエル

さて、それではワクチン争奪戦に勝った国はどうなっているのでしょうか。まずはこの話題でしょっちゅう出てくるイスラエルから見てみましょう。

イスラエルの人口は900万人くらいで、大阪府くらいですね。ファイザーと交渉して、高めの価格で購入?する上に、比較的小さい国なので一気に接種を進め全データをファイザーに提供するとして、『実験台になるよ』と申し出ました。

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イスラエルの交渉

これによりイスラエルは最速でワクチン接種プログラムが進み、人口の半分以上の500万人が2回接種を終えています。1月には1日1万人を超えていた陽性者数がいまや34人(4月16日)となり、屋外でのマスク着用の義務がなくなりました。

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ポイント4

ワクチンパスポート

イスラエルでは、接種を2回受けてから1週間以上経過したらグリーン・パスポートが発行されます。コンサートやイベント、ジムなどでの提示を義務づけられています。

実は世界でも、同様に旅行やコンサートなどに行くときに、ワクチン接種の証明を必須とする動きがあり、ワクチンパスポートと呼ばれています。まだ議論中ですがアメリカのバイデン政権も導入しそうな報道*1がありました。

アメリカもとなると、当然日本もそうなります。今後海外旅行するにも必須になる可能性がありますね。

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ポイント5

イギリス

イギリスの人口は日本の半分ほどで約6700万人です。ワクチン接種が2回終わっている割合は約14.6%と世界でも5本の指に入るスピードです。

これに伴い、ロックダウンの規制の段階的緩和が進んでおり、屋外パブや商業施設、美容院などが再開され始めています。

尚、血栓との関連性が指摘されていることからイギリスでは、30歳未満はアストラゼネカ製以外のワクチンを接種することになっています。

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ポイント6

チリ

チリは人口1900万人の南米の国です。実は、チリ政府は相当早い段階でワクチンの契約を結び、接種のスピードも早いんです。2回接種完了率は現在イスラエルについで堂々の2位です。

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チリの接種完了率は高い~NHKより引用・改変~

それならば、イスラエルと同様にもっとモデル国家扱いを受けてもよさそうなのですが、実は、ワクチン接種は進んでいるのに感染状況が芳しくないのです。

なんと4月の第2週で1日当たりの陽性者数の最多記録*2を更新したのです。チリでは累計で110万人近くの感染者数で、約2万5000人が死亡しました。

これは予想外ですよね。イスラエルやイギリスではワクチン接種が進むにつれ陽性者数は減っているのに。これに関してはいくつか見解があります。

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チリでの感染拡大の原因

ここから学べることはワクチンの接種率が上がってきても気を緩めてはいけないこと、social distance やマスク・手洗いなどの基本感染対策を急に辞めないことなどがあります。

また、チリのワクチン接種が迅速にできたのは「種類にこだわらなかった」からです。中国のシノバックも多く使われているのですが、その有効率がブラジルの治験では50%ほどと低かったということも遠因とされています。(中国も認めている)

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ポイント7

アメリカ

アメリカでの接種完了率は25%ほどと言われ、TOP3にランキング、新規陽性者の数も大きく減ってきました。それに合わせて、飲食店や娯楽施設の規制緩和も段階的に進んでおり、学校の授業も再開されています。

アメリカ全体としてはいい流れになっています。
ところがミシガン州では異変が起きています。こちらは人口が1000万人くらいで、イスラエルや大阪府よりやや多いくらいですね。人口の4割が1回目の接種は終えていますが、なんと1日に1万人以上の陽性者が報告されているのです。(うち7割が英国変異株

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ミシガン州で急拡大

また、もう一つ新たな発見がありました。2020年の秋以前に感染した人の再感染が出始めています。また若者の感染が増えて、高齢者は減っています。

ワクチンは高齢者から優先的に打っていますので、その点では効果があったとも言われています。

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ポイント8

まとめ

ワクチン接種が進む中で、日本や韓国は感染状況が世界的に落ち着いている部類であり、輸出規制のためなかなか入ってきません。

イスラエルやイギリスのようにワクチン接種が進めば、段階的に社会生活を戻していけばよいということもわかりました。しかし、読んで気づきました?イスラエルやイギリス、アメリカの『社会活動の再開』は、実は日本では今すべて行われてますよね。(笑)

日本のこのユルユル規制でよくこの感染者数で済んだよね~と世界は思っていることでしょう。こんな状態の国に優先的にワクチンはそりゃ廻ってこないよね~というのがよくわかります。(笑)

早くマスクなしで気軽に飲みに行ける近未来が来るといいですね~ 

では、また(^.^)ノ

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