3月9日に閣議決定されたプラスチック資源循環促進法案で、プラスチックスプーンやフォークの有料化が早ければ来年の春から実施される見込みです。昨年の7月から始まったレジ袋有料化も含めて、かの”セクシー担当大臣”はヤル気満々です。
さて、レジ袋有料化について少し考えてみましょう。
レジ袋の歴史
1970年以前は紙袋が主流だったのですが、現在のようなポリエチレン製の袋の登場で、その耐久性と雨で濡れても大丈夫なことから一気に広まりました。
ペットボトルのPETというのはポリエチレンテレフタレートの略なのはご存じですかね?そう、なので、ペットボトルとも親戚なんですね。他にもポリエチレンはフリースなどの衣料や写真のフィルムにも使われています。
話は戻って、コンビニやスーパーのレジ袋は物を入れて運ぶだけの機能ではありません。もう一つ重要な機能があります。無地のレジ袋ってまれでほとんどがお店の名前が入っていますよね?
そうです、広告代わりなんです!!これあとで重要なので覚えておいてください。高級ブランドの紙袋がメルカリなどでたくさん売られているのもご存じですね?ただの紙袋に名前が載っているだけで宣伝という価値ができているのです。
エコバッグ運動
近年は環境問題が重視され、世間でもエコバッグ運動が行なわれています。
そもそもはレジ袋を燃やすと二酸化炭素などの温室効果ガスが発生し地球温暖化に影響を与えることからこれらの抑制と、また、レジ袋製造時の原油の使用量を減らす目的(=資源保護)で始まりました。
エコバッグは合成繊維から作られ、合成繊維の原材料はナフサです。つまりエコバッグを作るのにも原油が使われます。では何回再利用すればレジ袋より環境負荷が小さいでしょうか?
この計算は世界中で色々な人たちが行なっていますが、結果はマチマチです。そう、コロナ禍のデータもそうですが、結局前提条件がみんな違うから結果が違ってくるのです。
ある研究では50~100回再利用できればレジ袋よりも環境に優しいという結果がありますが、他の研究では150回以上の再使用が必要とも言われています。エコバッグの再使用には洗濯されるから、その洗剤の環境負荷も考える必要があるからだそうです。(笑)
他にも、極論ですがエコバッグが1か月で破れてしまい買い換えると、結局原油使用量は増加するなども考えられ、本当にエコかという考え方もあります。
ゴミの削減
では、仮に「150回も繰り返して使わなければいけないのならばさほどメリットを感じない!」と主張すればどうでしょう?エコバッグ推進派はどういう答えをするでしょうか?
よく写真などで見せられる、海洋ゴミの問題ですね。ウミガメがレジ袋を誤って食べて窒息するなど衝撃的な話を聞いたことがあるかと思います。
ふむ、これを聞くと、たしかにウミガメや他の生物のためにもレジ袋などのゴミを減らそう!とそれらしい話になりますね(笑)
いい話ですが、よく考えてください。このウミガメの窒息の原因は何ですか?レジ袋の使用のせいですか?いいえ、それを海に捨てる低俗な人間のせいです。頑張ってレジ袋を減らしても、ゴミを海に捨てる人はこれからも捨てます。これらの破片がマイクロプラスチックとして海洋で生物に影響を与えます。そちらを強化すべきですね。
あと、日本海沿岸での海洋プラスチック問題についても知りましょう。不法投棄によるプラスチックゴミの漂流は年々増えています。ノリの養殖の消毒に使用される過酸化水素水のポリタンクが大量に流れてきています。ハングル表記のポリタンクだそうです。僕もそのごま油のきいた海苔をたまに食べますが・・ さて、国はご想像にお任せします。
要はこういった部分を厳しく取り締まらないと、海洋プラスチックの問題は解決できません。
レジ袋有料化
レジ袋有料化は実は世界でも行なわれており、環境意識の高いヨーロッパでは2000年頃より多くの国で導入されており、アジアでも韓国・中国・台湾などが導入しています。さらにはアメリカ・カナダの一部やフランスでは禁止にすらなっています。
ですので、日本もこういう世界の潮流に乗らざるを得ない一面もあったのでしょう。だから、東京オリンピック前に、”セクシー”環境大臣が指揮を執り、2020年7月からレジ袋有料化となったわけです。
中には紙袋も有料にしている便乗商法もありますが、ま、それはお店の自由です。(笑)
逆にレジ袋のお金を取らないところもあります。これは法律で制定されてますから本来は取らないといけないけど、店側が取らないだけというパターンともう一つあります。
バイオマス素材でできたレジ袋です。これらはサトウキビやトウモロコシのデンプンから作られており、二酸化炭素発生させないことから環境に負荷を与えないため、有料化の対象外です。
環境税ではない
コンビニなどで「レジ袋代3円いただきます」という言葉、何百回も聞きました。この3円はどうなるか知っていますか?環境税として国に納められるのでしょうか?
答えはNOです。お店の収益になります。笑
そうなんです、いままでは無料で配っていた分をお店が料金を設定して取ることになりました。もちろんそれにも消費税はかかるので全額ではありませんが店に入ります。
お店の袋はお店の”宣伝”としても使われてきました。ロゴマークがしっかり入っていますね。広告費は誰が支払うべきでしょうか?お店ですか?客ですか?
こう考えると少し腑に落ちないモノですが。笑
エコバッグにまつわる問題
日本では1990年代からじわじわと広がり始めました。その理由は、エコバッグ客は値引きやポイント還元がされたからです。2008年頃からメディアでも取り上げられブームとなりました。
そしてレジ袋有料化に伴い、一気に市民権を得たエコバッグでした。同時にエコバッグ持参により万引きが増加しました。ここで詳細は書けませんが、エコバッグをカートに掛けて人目に付かないところで・・・(-_-;)
エコバッグを持参することによって、これを逆手に取った万引きが増えているという残念な状況もあるのです。
環境だけが理由じゃない
このエコバッグ推進に傾いているのは『環境保全』だけが目的ではありません。実は店側としてもこうしたい事情があるのです。
上でも書きましたが、レジ袋の材質であるポリエチレンの原料はナフサと言って石油から作られます。中東の情勢などによって石油の価格は上下するのはご存じでしょう。
原油価格が上昇が続き、レジ袋の価格も上がってきていたのです。今までは無料でジャナジャンと提供していた”備品”のコストが嵩み、見過ごせなくなってきました。
こういった事情もあり、店側もマイバッグを推奨してきたわけです。
今のところレジ袋有料化の効果などについては一切検証されていません。レジ袋は便利でゴミ袋に使用したり、ちょっとした持ち運びする人は多く、100均などでまとめ買いする人が増えたそうです。環境問題だけで言えばこれじゃ本末転倒ですよね。
まとめ
レジ袋有料化は世界に遅れを取っている日本の環境保全をアピールするためにオリンピック前に開始されました。
有料化したレジ袋代は環境税ではなく、お店の収益になります。いままでは広告費としてもお店が準備してきたモノを客が払うようになりました。
有料化に伴い、さらに活発化したエコバッグ運動ではありますが、それに伴う万引きの増加などの問題を引き起こしています。
実際レジ袋有料化だけでの環境への効果は微々たるモノです。こういったことへ意識付けを行なうことが主な目的なのでしょう。(とちょっとフォローしておきます。)
では、また(^O^)ノ
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