マルチリンガル医師のよもやま話

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【サク読み】日本人のトロ信仰

みなさんはお寿司でどのネタが一番好きでしょうか?

僕はマグロ、サーモン、イカなどです。中でもマグロは昔から大好きです。

近年マグロの乱獲などの問題がニュースでも取り上げられています。また近大マグロのように養殖にも目を向けられてきました。

今回はこのマグロについて詳しく学んでみましょう。

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マグロという言葉

マグロの語源は「目が黒い」→目黒(めぐろ)→まぐろ となったという話は聞いたことがあります。

英語では tuna (トゥーナ)と言うのはみなさんご存じだと思いますが、tunaと言う言葉は ”マグロ族” 全般を指すことが多く、実際はカツオ(bonito)などもtunaと呼ばれることがあります。現にツナ缶にはカツオのものもありますね。とりあえず、日本語のマグロよりも広い意味だと理解ください。

日本で一般に言うマグロというのはクロマグロ(=ホンマグロ)のことだけを指すことが多いようです。

日本人とマグロの関係

古くから日本人はマグロを食べていたと考えられており、縄文土器からもマグロの骨が見つかっているそうです。江戸時代などは「シビ」と呼ばれていました。当時は今のような鮮度を保つ技術がなかったので、鮮度を保つには水槽で生かしておくことが唯一の方法でした。しかしマグロは大きすぎて水槽で生かしておけず、マグロはあまり重宝されませんでした。

 

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近代になって冷蔵技術が発達してやっと赤身を食べる文化が定着しました。

日本人のマグロ好きは事実で20年前のデータではありますが、世界で獲られるマグロの35~40%を日本で消費しています。

世界でのsushiブーム

食物連鎖を考えてみると、小さい魚は大きい魚に食べられますので、バランスを保つために数がものすごく多いです。逆に大きい魚(クジラもマグロも)は自然界で食べられることがないので、数が少ないのです。なので、マグロは絶対数が少ないのです。

そんな中でアメリカ、中国、台湾などで日本食ブームが起こり、他にも世界各国でsushi boomが起こりました。こうして、マグロの需要が世界的に増えました。

マグロを獲れば商売になるとわかれば、中国や台湾でマグロの乱獲が行われ問題となりました。そこで、世界的に「マグロ漁獲量2割減」を行うこととなり、さらに価格の高騰を招きました。

こうした乱獲によりマグロの一部の種は絶滅の危機に瀕しています。

近大マグロの登場

上記のように乱獲などでマグロの漁獲量が減っているため、養殖にも注目が集まっています。

卵から成魚になるまで養殖することを完全養殖と言いますが、マグロでは難しいとされていました。30年以上の年月をかけて2002年に近畿大学が世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功しました。この成功に大きな貢献をしたのが人工飼料の開発と言われています。

しかし、この完全養殖で十分量のマグロを出荷するのは難しいため、実際は畜養*1のマグロが大部分を占めています。

シーチキン

マグロの加工食品で一番有名なものはツナ缶でしょう。その中でも日本でのシェアの50%以上を誇る商品がシーチキン(はごろもフーズ)です。 sea chicken という日本の造語ですので英語でsea chickenと言っても通じません

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使われる魚はキハダやビンナガやカツオです、そうマグロ類(=tuna)ですね。ビンナガの身は白っぽく、ツナ缶を作ると鶏肉ササミのように見えることから「海の鶏 sea chicken」となったようです。

トロ

江戸時代まではマグロ=赤身でした。トロは脂が多く腐敗しやすいため、生食されることはなく、現代のような上等部位という認識などありませんでした。
1960年代以降に冷凍技術の発達でやっとトロも適切に管理できるようになり生食もされるようになりました。日本人も洋食に慣れ、脂の多い食事のおいしさをわかるようになったことも合わせてトロが人気となりました。

マグロでは外側の肉の方が脂が多いため、大トロは外側の肉、中トロはやや内側の肉となっています。

ちなみにトロの語源は「トロっと口に入る」だそうです。

赤身と白身

さて、マグロやカツオ(つまりtuna)は身が赤いですよね、一方で鯛やヒラメは白身魚です。この違いは実は筋肉の種類が違うんです。

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赤い筋肉は遅筋と呼ばれますが、これにはミオグロブリンというものが含まれているため赤く見えます。ミオグロブリンは有酸素運動に重要です。もうおわかりですね、有酸素運動と言えばジョギングなどの軽めで遅めの運動ですね。だから遅筋です。

一方、白い筋肉は速筋と呼ばれます。こちらは解糖系といって要するに糖(グルコース)を分解してエネルギーを作り出します。これには酸素は必要ないので、いわゆる無酸素運動で、重いものを持ち上げる瞬発力などに関係する筋肉です。

人間でも人によりこの筋肉の割合が違いますね?短距離と長距離の陸上選手の体形などもそうですよね。魚も同じで、マグロは長距離泳げるスタミナ派で、ヒラメなどは一瞬でヒョイと動ける瞬発派というわけですね。

ちなみにサーモンは?という話ですが、実はヤツは白身魚に分類されます。たしかエビとかそういうのを食べてその色素が身についたとかです。

ひとりごと

正直、天然物か養殖物か食べただけではわかりませんし、養殖技術がさらに進んでおいしくて安いマグロが食べれたらいいですね。

養殖の方が狭いところで動くからマグロの運動量が減って脂が乗りやすいという話も聞いたことがあります。トロの割合が増えればそちらも価格が下がればいいですね。

では、また(^^♪

 

*1:幼魚を捕まえて成魚にまで養殖すること