マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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誰も教えてくれない”感染者”が減っている理由

昨日の東京の陽性者数が178人だったとの報道があり、安堵の声があったり、「リバウンド」という知事の言葉を引用するメディアがあったり色々ですね。こちら関西では緊急事態宣言解除の話し合いに入っています。

さて、今回も患者さんからもらった質問2つから話を広げていきます。

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花粉症特集

コロナ禍の花粉症

この時期目のかゆみとくしゃみ…毎年花粉症に悩まされる人たちにとっては辛いシーズンです。

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コロナ禍の花粉症に悩む妊婦さん

コロナ禍を1年過ごしているうちに、常時換気が日常生活の一部になっています。電車もクーラーや暖房をつけながら窓を開けるというエネルギー浪費をしたり、極寒の中、お店もドアを開けて換気している光景はもうおなじみですね。

当然、ドアを開けていれば、花粉も屋内に入り込みますので、例年以上に耳鼻科が大儲け・・・(というのは不謹慎すぎるか。笑 )

冗談はさておき、コロナ禍の花粉症で妊婦となると相当条件が悪いですね~。薬は飲まないようにされている方も多いようです。

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花粉症について

花粉症は花粉に対するアレルギー反応でヒスタミンなどの化学物質が放出されます。それによりさまざまな症状が出てくるわけです。治療薬はヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬がメインになります。アレグラとかアレジオンとかですね。

 

妊婦・授乳中の花粉症薬

通常は、薬を処方してもらうか、めんどくさけりゃドラッグストアで買って飲めばOKです。ところが妊婦さんはためらいますよね。

薬を飲んだら胎盤を通じて赤ちゃんに影響があるのでは?というのが理由です。

実は欧米では昔からつわりの治療に抗ヒスタミン薬が使われており、よく効いていたようです。しかし、60年ほど前に、抗ヒスタミン薬に催奇形性があるかもしれないと報告があり、一気に使われなくなりました。その後つわりでの入院が増えたそうです。

実際は、抗ヒスタミン薬と催奇形性の関連性は認められていませんし、否定する報告も多いです。

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妊娠中の花粉症治療

妊娠中でも基本的には抗ヒスタミン薬を内服しても問題ないとされています。それでも心配という方はまずは点眼薬や点鼻薬を使用するとよいでしょう。ただし点鼻薬は子宮収縮作用があるものがあるので、必ず医師に相談してください。

症状が強いならば内服を考慮になりますが、器官形成が終わった後で妊娠5か月以降なら奇形は怒らないとされています。

また、妊婦、授乳中の方に推奨されている薬は複数ありますが、クラリチン(ロラタジン)とザイザル、アレグラなどを覚えておけばいいです。

 

新型コロナ現況

なんで減ってるの?

つづいて別の患者さんからもらった質問です。

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なんで減って来てるの?

同じような質問を他の方からもされました。結論は理由は1つじゃない!です。

この答えセコいですけど、これがすべてなんですよね。(笑)

前々から言っている通り、新型コロナは季節性があります。インフルエンザや風邪と同じで冬の低温・低湿度が広がりやすいです。実際に北半球では冬が終わりだしコロナの状況は大幅に改善されています。

コロナも季節性だよ

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AFP通信によると1月~2月の1か月で世界の新規感染者数は45%減です。アメリカも冬が終わりに向かい大幅に減ってきています。やはり一番の要因は季節ですね。

そして、国によってはロックダウンもある程度の効果を出したでしょう、例えばポルトガル(54%減)やイスラエル(39%減)などがわかりやすい例ですね。イスラエルはファイザー製のワクチンを昨年末から開始しており、既に人口の半数が1回目接種済みです。

なんと発症を約90%減らせる高い”予防効果”と、死亡を99%減らす効果があると報道されました。(; ・`д・´)スゴ  (英国の発表では85%の感染リスク低下)

日本の減少について

ところで、先ほどの患者さんが聞きたいのは、おそらく「日本のこと」でしょう。1番の理由は先ほど述べた季節性です。そしてユルユルの緊急事態宣言、これも効果はもちろん0ではないでしょう。

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過去の感染ルートから多かったのが会食だったことがわかってますので、酔っぱらいが大声でツバを飛ばす夜の会食を中心に抑え込みにかかったわけです。でもね、宣言対象外の地域でも下がってるんですよ!(笑)

さて、そんなことよりももう少し重要なことがあります。検査対象の見直しと、検査方法の見直しです。

まず、無症状濃厚接触者の検査を縮小しています。これは「本末転倒だ」などといった意見もあるでしょうが、保健所はパンクしてるので無理ですね。どうせすべての隠れ陽性者を見つけるのはできませんからね。

作られすぎた偽”感染者”

コレは去年からずっと言ってますが、PCR信者が作り出したコロナ騒動みたいなもんです。「全国民にPCRを」とか寝ぼけたこと言ってる専門家?とか番組もありましたが。(笑)

この1年でPCRという言葉は多くの人が知ることになりましたが、中身を知らない人たちがPCR信者になってしまったのが大きな問題ですね。

PCRを不必要にやりすぎるデメリットがあります。

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むやみやたらとPCR

日本は今までPCR検査のCt値を40-45サイクルとしていました。1サイクルでウイルス量が2倍ですから、40サイクルするとウイルス量は1兆倍に増やされます。この段階で判定するということですね。

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PCR検査のCT値について

コロナ抑え込みに成功している台湾は32-35サイクルですから日本よりも最大10サイクルほど少ないわけで、つまり判定時のウイルス量が1000倍ほど少ないわけです。

Ct値が高ければ高いほど元々のウイルス検体量が少ない、つまり感染力も少なくなります。そんな感染力の少ない人たちを”患者”に仕立て上げてきたということですね。

厚労省も方向転換

実は1月22日付で厚生労働省が通達を出しました。

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1月22日 厚生労働省の通達内容

この内容は主に2つ。まず検査体制の逼迫もあり、世界的に進められているプール方式を採用するというものです。5人分の唾液サンプルを混ぜて1検体として検査します。

これで陰性であれば5人とも陰性、陽性と出れば、1人ずつ再検査し誰が陽性か調べるというものです。

この方式はそもそも陽性となる可能性が低い、無症状者には適した方法で、これにより全体の検査数増加に対応できるわけです。

そしてもう一つがCt値を30-35サイクルに引き下げるというものです。これにより現在より10サイクル低く陽性判定をすることになりますので、およそ1/32のウイルス量で判定するということです。さらに5人分のプール方式で行うと、唾液で5倍に希釈されるのでザックリ言うと今までの1/160のウイルス量で陽性判定をすることになります。

こうして作り出された”偽患者”を減らしています。

台湾やニュージーランド

でも、これだけ感度を低めて本当に大丈夫なの?と心配になるかもしれません。先ほども述べましたが、これは過去に世界中で研究された上で、35サイクル以上のCt値は無駄に患者を作るだけになるとわかっているからこそです。

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絶対出てくるであろうコメント

もしこの対応が日本だけならば、上の図のようなことも言えますが、違いますよね。今回の変更に伴う制度は台湾やニュージーランドなど「コロナ対応に成功した国」と同じくらいの基準にするということです。

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台湾の抗体検査からわかるもの

過去の記事でも解説しましたが、例えば台湾の抗体検査から推定すると昨年の7月末までに1万1000人が感染しいていたことになりますが、報告されたのは472例だけでした。この差は検査の感度を低めているからですね。多くの人は気づかずに感染して終わっていたということです。

しかし、これで台湾は困っていますか?ニュージーランドは困ってますか?全然困っていませんよね。要はこのくらいの値で問題ないということです。

抗体検査から見る”感染者数”のカラクリ

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まとめ

日本で新型コロナ感染者が減ってきている一番の理由は季節変化。

そして、1月末から無症状者の検査方法を変えたこと。

また濃厚接触者の検査の規模を縮小したこと。

ただし、検査の感度を低めたことはちゃんとした根拠があってのこと。

というか、やっと実態に検査基準を合わせた。(少なくともアジアでは)

 

では、また(^^♪