マルチリンガル医師のよもやま話

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不払いは『2倍割増請求』します!

新年度が始まりまして、まもなく1週間になります。

この4月からの変化といえば、自転車のヘルメット着用の努力義務がまず思い浮かびます。そして、もう一つ密かに変わったのがNHKの受信料のルールです。

契約せず支払いをしていなければ、2倍割増の受信料が請求されるという・・・

今回はこの問題について背景を学んでいきましょう♪

NHKは公共放送

まず、NHKは国営放送ではなく、公共放送です。

国が”直接”運営しているものが、国営放送であり、アメリカのVOAや中国のCCTV(中国中央電視台)などがそうです。

NHKは公共放送

公共放送は、国営ではないので、国の予算とともに、受信料を徴収して”公的な機関”が運営をしています。

イギリスのBBCや韓国のKBSは公共放送になります。

受信料のはじまり

戦前は、日本放送協会はラジオの”聴取料”として、月1円(今で2000円?)を徴収しており、国が管理していました。

戦後、GHQの指導により民間の放送事業者の参入が進みました。

このときに、日本放送協会も政府からの圧力を受けないために受信料を取って運営することを存続させました。

政府と距離を置くための受信料

日本でテレビ放送が始まったのは1953年からです。その後、一般家庭でも白黒テレビが一気に普及していきます。

すると、日本放送協会は1967年にラジオの受信料を廃止し、TVの受信料のみを取ることにしました。

受信料を取る理由

さて、他の民間の放送事業者は、受信料はありません。

CMを流し、企業からの広告費で運営しています。しかし、これはこれで問題で、スポンサーの顔色を伺うことにつながります。

受信料を取る理由

公共放送を自負するNHKは、政府から距離を置くために、そして広告主に忖度しないように、”独立性”を重視し受信料を取っているとのことです。

もう一つ重要な点は、「視聴率に左右されない」点です。スポンサーがあれば視聴率は非常に大事ですが、それを気にする必要がないので、教育番組や育児・介護の番組などが作れるのも受信料徴収によるものです。

受信料の支払いについては放送法で定められています。

放送法 第64条

とりあえずTVを持っていたらNHKと契約を結び受信料を払わなければならないのです。例外としては、教育施設や、生活保護世帯、重度障害者かつ低所得世帯などです。

また受信料の月額については放送法第70条によると国会の収支予算で決められることとなっています。

ただし、払わなくても罰則がない*1ので払っていない人たちもいます。

地域格差

ところで、受信料はどのくらいの人が払っているのでしょうか?

2021年のデータ*2では、秋田県では約98%、岩手県で94.6%、福井県で88.5%と地方では高い傾向にあります。

地域格差について

逆に、大都市や両端の県では非常に低くなっており、東京都では67.3%、最下位の沖縄で49.5%でした。

沖縄は本土復帰後に初めて受信料徴収が始まったから一番低いのだということらしいですが・・・本当にそれだけですかね?(-_-;;)

ま、いずれにせよ全国平均は75~80%くらいのようです。

となると、私を含め、きちんと支払っている人たちは不満を持つのは当たり前ですよね?

対立を招きかねない

逆に払っていない側からすれば「なんで払わないといけないの」となります。

この不公平感が、受信料支払いの問題を大きくしています。

スクランブル放送

現在のやり方では、まじめに払った人が損をし、無視した人は得をするという最悪のパターンです。

これの対策としてはスクランブル放送というものが議論がされています。

つまり、払っていない人の家ではNHKを映らなくするってことです。見ないのなら解約すればいいですしね。

てか、そもそもCS放送とか、huluとかでもそうですけど見たい人がお金を払って楽しむのがあるべき姿ですよね。

スクランブル放送

しかし、NHK側はこれは『公共放送』という理念に合わないと否定的な立場を示しています。

ん~、『理念』や『性格』『概念』という抽象的な”魔法の言葉”を使ってごまかしている感じですか?

いずれにしても今のところ実現性は低そうな。

受信料支払い義務化

さて、スクランブル放送なくして、不公平感をなくすにはいっそ『義務化』しかない!というのが次に出てくる考えです。

例えば納税は国民の”義務”で、脱税したら罰もありますね。それと同じように『不公平感』をなくそうというわけです。

そして、2022年 改正放送法・電波法が可決されました。

2022 改正放送法・電波法

実はNHK受信料収入は十分にあって、毎年繰越金がかなりあります*3。そのため、この改正法で、NHK受信料を値下げすることが決まりました。今年の秋から1割下がります

それと引き換えに、未払い者に対して割増で受信料を請求できるようになりました。これがこの4月からスタートしました。

2倍の割増料金請求

ま、だからといって、未払い家庭が一律に『2倍割増』請求が来るわけではないでしょう。実際はそんな変わらないような・・・

この文言を変えておいて、『不公平』をなくそうとしてますよアピールなだけ?かもしれません。ま、知らんけど(笑)

海外では?

最初に公共放送は英国のBBCや韓国のKBSも同じだと言いました。その2国はどうしているのでしょうか?

まずBBCは、受信料と広告料で運営しています。で、受信料の徴収率は98%ほどあるそうです。

BBCの受信料

TVを買うときに「許可証」を買う必要があり、それを毎年更新することで受信料を支払うシステムになっています。

またBBCには徴収しに行く強力な権限も与えられています。

前のボリス・ジョンソン首相がこの受信料廃止をほのめかしており、現在『凍結』状態にある*4ようです。

KBSの受信料は安い

韓国のKBSも受信料と広告費で成り立っていますが、受信料の徴収率は100%です。

理由は電気代に上乗せして徴収しているため取りそびれないそうです。 

ただ、受信料は月額2500ウォンなので、250円くらいですね。安い。

さいごに

いかがでしたか?

NHKの受信料について学びなおしてみました。

政府から距離を取り、広告主に忖度しないための受信料は、全国的には徴収率75~80%くらいです。これでも十分な額があるため、2022年の改正放送法・電波法で受信料の値下げが決まりました。

同時に、『不公平』をなくすために、未払い世帯には『2倍割増徴収』が可能となるように法律が変わりました。

 

では、また(^^♪