日本の女性の社会進出は遅れているというのはよく耳にします。実際、ジェンダーギャップ指数という指標を用いてランク付けすると日本は153か国中121位(2019年)というとんでもなく下の方にいます。
これの理由として挙げられるのは日本で長くあった家父長制というものの影響が今も残っているというのが大きいです。要は男が稼ぎ、女は家を守るという考えです。
▼家父長制については▼
”伝統”を守るのはもちろん重要ですが、時代にそぐわないときは変えざるを得ない場合もあります。今回は、近年よく耳にする”女系天皇”問題についてサラッと学んでみましょう。
単なる【女性の立場】うんぬんの問題ではありません。
王朝と男系
まず最初にこれを知っておくとわかりやすいです。
世界史とか学んでいると同じ国でも〇〇朝と言うのがいくつも出てきますね。支配している一族が滅んでまた新しい一族が権力を取った、これを繰り返しているいうことです。
陸続きのヨーロッパや中東などでは近隣の国からの侵略もあり、容易に想像がつきますね。
一方で、島国の日本はどうでしょうか?初代天皇は実在しないのではとも言われますが、神武天皇ですね。これが紀元前660年と言われていますので、以降、神武天皇と血がつながっている天皇が2700年近く続けて君臨してきたわけです。(※南北朝時代などは今回スルーです。)
今までの天皇の父方の血筋をたどっていくと、必ず神武天皇に行きつきます。これを男系天皇といいます。
Y染色体
これらの話題でよくキーワードで出てくるのがY染色体です。これはヒトの性染色体のことで、女性はXX、男性はXYとなっています。
まれに性染色体異常でXXYとなるクラインフェルター症候群*1などと言うものもあります。Y染色体があるので、男なのですが、Xが多くあり女性的要素が強く出て、無精子症や女性化乳房などになることがあります。
本題に戻って、男系の血筋と言うのはつまり、神武天皇のY染色体をずっと受け継いでいるという意味です。
つまり、男系天皇がよいとされる伝統(万世一系という)は、”神武天皇のY染色体”を受け継いでいるという伝統であり、いわば王朝が滅亡することなく続いてきたということなのです。
現在の
皇室典範の第1章の第1条に「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」とあります。
女系天皇と女性天皇
続いて女系天皇ですが、これは言葉だけが知られており、誤解が生じている根本原因です。女系天皇と女性天皇は違うものです。ココを少し見ていきましょう。
女性天皇と言うのは、単に女性が天皇になることです。これは過去に推古天皇や持統天皇などが即位しました。ただし、現在は、先ほど述べたように皇室典範で男系男子のみ天皇になれますので女性天皇は現段階では無理です。
一方、案として出ている女系天皇というのは、天皇陛下の娘様が天皇となると、まずこの女性天皇陛下は神武天皇の血筋でありますので、男系の女性天皇ですね。上図の左側のXXです。
問題となるのは次の世代のときです。外部の男性との間に子孫を残すことになりますので、神武天皇からのY遺伝子が受け継がれなくなります。今後が外部からのY遺伝子を子孫に残すことになります。これが女系天皇の問題です。
側室の存在
過去にいた女性天皇のときは問題はなかったのでしょうか?
まず、女性天皇第一号の推古天皇(33代)は聖徳太子の叔母さん?らしいです。推古天皇の後を継いだのは兄の孫にあたる舒明天皇(34代)でした。つまり、男系を保っています。
また、持統天皇(41代)は天武天皇(40代)の后であると同時に、天武天皇の姪でもあるのです。そして持統天皇の後を継いだのは天武天皇の孫でした。こちらも男系で皇位継承をしています。
この時代と今の大きな違いはというと側室と言う制度です。
昔は乳幼児の死亡率も高かったため、側室を持つことで一人の天皇が何人も子供を作れていました。また、当時は血縁結婚と言って、皇室外から后を迎えることはなく、異母兄弟での結婚も認められていました。
つまり、側室制度により天皇家のY遺伝子を必ず残せるようにしていたことと、血縁結婚により外部のY遺伝子を入れないようにしていたことで男系の後継者に困ることはなかったのです。
現代の問題
現在の皇室典範では男性天皇しか認められていません。
現行の皇位継承順位で行くと、秋篠宮親王⇒悠仁親王となるのが自然ではあります。しかし、これも今後必ずしも男性皇族に男の子が生まれるという保証はありません。昔のような側室なんて時代的にも無理です。
そこで、そろそろ見直しをしたらどうかなと議論になっているわけです。ここ最近ではなく何十年も前からこの話は議論されています。
女系天皇の問題
そうしたなかで、出てきたのが女系天皇を容認するのはどうかという点です。
これをするには、まず皇室典範にある”男系男子が皇位を継承”する部分を変更する必要があります。女性天皇をまず認めなければいけません。
それに関しては過去にも例(推古天皇や持統天皇ら)があることからそれほど反対はないでしょう。ただしその次の世代、つまりそのお子様が皇位を継ぐと、その方は女系天皇になるのでしたね。(下図 XX が女性天皇⇒その子供ら以降が女系天皇となる)
こうすると、日本が2700年近く守って来た神武天皇の血筋(Y染色体)を絶ってしまうことになります。外部のY遺伝子が入る(=王朝が変わってしまう)ことが大きく問題とされているわけです。
天皇制廃止をもくろむ政党もありますね。名前は出しませんが。そこからすると”一歩前進”と喜ぶわけです。
女性宮家の問題
女性宮家と言う言葉もよく耳にするようになりました。通常、皇族である女性も結婚すると皇族を離れます。これは皇室内に外部からのY遺伝子を入れないためです。
しかし、側室のない現在となっては、残った皇族の公務の負担や将来的な皇位継承を考えると女性皇族がどんどん減るのは望ましくなく、結婚しても皇族に残れるように宮家を設置しようということが議論されています。
さらにはこの女性宮家にも皇位継承権を与えようとする動きもあります。これは結局は女系天皇につながるわけです。
女性天皇をOKとして女性宮家を創設すると、眞子様、佳子様、愛子様も皇位継承権に入ります。そしてその結婚相手も皇族になるわけです。
最近、眞子様の結婚問題が騒がれている原因の一部はコレですね。女性宮家が設置されたら旦那も皇族になりますからね。皇族にふさわしい、ふさわしくない問題ですね。
まとめ
天皇は日本国民の象徴です。そして天皇家は2600年以上続く男系の血筋で継承されてきました。これは世界に誇れる長い歴史です。
しかし、昔とは違って、側室制度などはなく、血縁結婚も不可能ですのでこの男系天皇を維持し続けるのは結構ハードルが高いわけです。
しかしながら、女系天皇を容認してしまうと、天皇家が別の家系に主座が移るとも言えます。また、一部の政党らから天皇制を無くそうとする動きも便乗して出てくる可能性もあります。
このような記事よくありますが、もう皆さんは大丈夫ですね、この印象操作に負けてはいけません。あたかも、問題は”女性天皇を認めさせること”とすり替えて国民の世論形成をしています。
そう、大部分の国民は女性天皇と女系天皇を知らないからです。左派メディアはなんとしても女系天皇を作り、最終的には皇室を・・・(つづく)
実はこれほどに大きな、繊細な問題であったのでした。
では、また(^.^)ノ
*1:日本では1000人に1人程度ほど