マルチリンガル医師のよもやま話

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『コロナ公表』の裏に大きな問題?

2022年の5月になって”初めて”コロナ感染者が発生したと公表した北朝鮮ですが、収束どころか、”終息”間近のようです。

ま、もちろん、発表のすべてが『事実』ならばですが・・・

今回はその続報です。

ゼロコロナ国

北朝鮮は世界がコロナ禍で苦しんでいる中、早急に国境を封鎖し、唯一の『ゼロコロナ国』でした(公式的には)。

コロナ疑い⇒銃殺

実際は、初期の頃は、コロナが疑われると銃殺されて、感染が拡大しないようにしていたことも韓国の報道*1からわかっています。

そして、WHOが何度かワクチン支援(主にアストラゼネカ製)を提案しましたが拒否しました。

ファイザーorモデルナをちょーだい

ならばと、中国が自国製のワクチンを提案しますが、それも拒否*2しました。

ファイザー製 or モデルナ製のワクチンを希望していた*3ようですが、超低温管理がとてもできないということで話は流れました。

愛の不死薬

ところが、2022年4月以降、原因不明の発熱者が急増し、ワクチンを選り好みしている場合でなくなったのです。

将軍様の『愛の不死薬』注入

ついに北朝鮮は、将軍様の”愛の不死薬”としてワクチン接種に踏み出しました。もちろん、中国からのワクチン提供です。

しかし、実際はワクチンを打ったのは、軍人だけのようです。

ワクチンは軍人のみ

大多数の庶民は接種なし。さらに、経済制裁による困窮で国民の栄養状態は非常に悪いです。相当な死者が想定されていました。

北朝鮮でコロナ発生

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発熱者は急減

北朝鮮では5月15日に最大約40万人の『発熱者』を出していましたが、それ以降は奇跡のようにどんどんと減少していき、7月に入ってからは3000人台と少なくなっています。

のべ480万人ほどの『発熱者』を出しましたが、死者数は累計で73人なのです。単純計算で致死率 0.0015%という世界でもダントツの低さ!(ま、信じる人はいないですが)

韓国の未接種者と合わせて考えると

参考までに、同じ朝鮮民族である韓国の”未接種”の人たちのオミクロン株流行期の致死率は0.6%*4です。常識で考えれば、医療体制や健康状態からこれより悪くなるはずですね。

今回の北朝鮮のコロナ公表のニュースはさらに深く考える必要があるようです。

脱北医師の解説

先日CNNに面白い記事*5がありました。

北朝鮮は何かを隠している?

記事に登場するのは、2011年まで北朝鮮で感染症を専門とした崔(チェ) 医師です。

崔医師はSARSのときのことを振り返りました。インフルエンザのような症状から何百人もの人が、彼の前で亡くなりました。

検査できないから『感染者0』

崔医師や同僚は当然SARSを疑っていましたが、北朝鮮では検査体制も整っておらず、公式感染者は0人だったのです。

それ以降も幾度となく襲った感染症も同じでした。そんな彼からすれば、今回のコロナも同じです。

検査などできる状況でない

医療器具も不足し、マスク・手袋などの感染予防セットも十分にない状況で検査はできません。そして、一生懸命統計を取ったところで、数字は党の都合で改竄されるのです。

何かを隠している?

世界中の人たちが、5月の北朝鮮のコロナ認定に驚きました。

そして、発表された数字から世界とは大きくかけ離れた致死率の低さ。(実際はかなり高齢者と飢餓の子供たちが死んでいます)

何か裏がありそう・・・

こういったことから、何か大きな問題を隠そうとしているのではという憶測が飛んでいます。

確かに、簡単に捏造できるならいつまでも強がって『ゼロコロナ』もできるはずです。

要は、コロナの問題を大々的に報じて、国内のより大きな問題から目をそらさせようということです。

飢饉の問題

記事によると、脱北者が北朝鮮に残った家族と連絡をとって現在の状況を聞いたところ、北の民衆が一番恐れているのはコロナではなく飢餓でした。

苦難の行軍以上の深刻さ

『苦難の行軍』とは、ソ連崩壊により北朝鮮経済も大きく打撃を食らい、1990年代に相当な飢餓に襲われたことです。現在はそれ以上の深刻さだと言います。

コロナ禍での国境封鎖、経済制裁の影響が大きく、国民が苦しんでいるわけです。この不満を逸らす目的での公表と考えられます。

新たな変異株

また、北朝鮮でのコロナ大流行は他国にも重要な意味があります。

大規模な感染者を出すと、ウイルスの複製ミスにより変異株が出現しやすくなるからです。

新たな変異株の出現も

今までの、厄介な変異株は、南アフリカなど接種率の低い国で発生*6しています。(デルタ株は接種開始前のインド)

韓国やアメリカ、ドイツでも大規模な感染爆発がありましたが、変異株の問題は確かにありませんでしたね。

私たちも傍観できない

そして、検査ができず、ウイルスの型や遺伝子の変異を確認できないので、他国に情報共有もできません。そうすれば他国への影響も出るのです。

さいごに

北朝鮮は、長引く経済制裁とコロナ禍の国境封鎖による物資不足が非常に厳しくなっています。食糧事情もかなり深刻な中で、バンバンとミサイルを打っていて、国民の不満は高まるばかり。

そこで、コロナの感染爆発を使って、国民の目をそらし、世界と比べて圧倒的に死者は少なく、『愛の不死薬』でこの危機を乗り切ったとして求心力を高めようとしているのではないかといったところでした。

ただ、怖いのは未接種ばかりの北朝鮮での感染爆発による、新たな変異株などが出てくると私たちにも大きな影響が出てきます。

では、また(^.^)ノ