マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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中国のシングルマザーの苦労

昔は、母子家庭と呼ばれていたものは、最近ではシングルマザーとか、ひとり親世帯と呼び方が定着してきました。

中国でのシングルマザーの置かれた状況は、かなり厳しいようです。

日本のシングルマザー

まずは日本の状況も知っておきましょう。

厚生労働省によると、日本ではおよそ120万人のシングルマザーと15万人ほどのシングルファーザーがいます*1

その内訳をみると、およそ80%は離婚、5%が死別です。

残りは、結婚していないパターンです。

シングルマザーは増えている

ひとり親世帯は、1983年から2011年までの30年間で急増しており、特にシングルマザーは1.7倍となっています。

女性の社会進出により離婚のハードルが下がったとも言われますが、男女給与格差があるのは明白です。

シングルマザーの平均年収は272万円で、シングルファーザーの平均年収は518万円と大きな開きがあることもわかります。

家計は結構キツい

シングルファーザーの方は、子供の年齢が高いことも関係しており、フルで働きやすいというのもあるようです。

また、離婚後の養育費に関しても、受けているシングルマザーは4人に1人だけで、額も月に平均5万円ほどです。

このように、理由はどうであれシングルマザーは、決して楽ではないというのは数字でも明らかです。

上海のシンマ

さて、今回のメインである中国の方に話を移しましょう。BBCの記事*2より学びます。

記事では上海に住むシングルマザーの生活を紹介しています。

祖母が子供の世話をする

このシンマの方、元々は河南省の田舎出身でしたが、大都会・上海に引っ越してきて正解だと考えています。

というのも、地方では非常に古い考え方が今も残っているからです。

田舎では古い価値観が残る

片親の子供は生まれてくるべきでないという価値観が残っており、差別されるのです。

ま、日本でも田舎ほど古い価値観が残っているのは同じですね。

めちゃくちゃ大変だった

彼女がシンマになった理由は離婚ではありません。最初から結婚していないのです。

相手の家族が認めなかった

子供ができたのですが、相手の親が彼女が身分的に釣り合わないからと、結婚に反対したことが理由でした。

彼女は両親と相談しました。河南省の田舎で婚外子を育てるのがいかに大変か。

友達も誰一人賛成しなかった

そして、彼女の友達にも相談しますが、誰一人として子供を産むことに賛成を示す人はいませんでした。『今後の結婚のチャンスを逃す』とか『父親のいない子供を育てるのはよくない』と。

田舎で近所からの冷たい目線、友達からも応援されず、上海に引っ越すことに決めたのでした。

周りの目だけじゃない

産婦人科に通っている時は、夫のいる女性をうらやんだりもしました。

でも決めた以上は強くならなきゃ!そう思って前に進みました。

しかし、中国での婚外子の問題は周囲の目線だけでありません。

婚外子を認めない

つい最近まで、中国では婚外子を認められていませんでした。両親の婚姻証明があって初めてこどもに出生証明が発行されていたのです。

また、両親がはっきりと証明されないままでは、戸口(フコウ)という戸籍も発行されず、その子は学校にも行けませんし、医療も受けられません。

以前は『中絶』しかなかった

戸籍がないまま暮らすのは、非常に厳しいです。

黒孩子(ヘイハイツー)と呼ばれ、一人っ子政策の中で、2人目・3人目が同じ境遇でした。

一人っ子政策

www.multilingual-doctor.com

少子・高齢化社会

中国では長く、一人っ子政策を敷いてきました。

その影響で、異常なほどの少子高齢化が進み、政府は手のひらを返しました。

しかし、国民は経済的事情もあり、そう簡単に子供を増やしません。

一人っ子政策による少子化

そこで、省によっては補助金を出すことで子供の数を増やそうとしていますが、そのような補助金でもシンマは対象外にされています。

また、シンマは産休・育休が受けられません、つまりその間は無給です。

ここでも、昔ながらの考え方が残っています。

シンマは対象外

長年続いてきた価値観はそう簡単には変わりません。

政府中枢部の人間も、婚外子を受け入れない人たちが多くいるのです。

やっと・・・

中国でも一部の省では新たな動きが見られ始めました。

やはり、少子化の問題です。奨励しても金銭的事情でなかなか二人目・三人目を作らない家庭が多い中、今までなら中絶していたような人たちに目を向け始めました。

婚外子への制限撤廃

一部の地域だけではありますが、婚外子でも不利益を被らないように、制度を変え始めています。

ただし、社会の大半はまだついていっていないのが実情で、会社のトップが古い人間だと、こういったシンマに産休や育休を認めず、クビにするところもまだまだあります。

さいごに

いかがでしたか?

シングルマザーは、一部の高給取りを覗いては、一般的に金銭面で苦しいです。

これは、日本だけでなく中国も同じことが言えます。

そんな中、中国では『婚外子』はタブー的なものであり、特に田舎では風当たりが厳しいのです。また、社会システム上も、戸籍が取れず医療・教育を受けられなかったり、産休や育休が与えられず無給になったり・・・

しかし、長く続いた一人っ子政策で、極度の少子高齢化の問題に直面した中国は、子供を産んでもらうためについにタブー視していた婚外子にも、他の人たちと同じような権利を与え始めました。

 

想像していたより、中国のシンマが大変なことを知りました。。。。

 

では、また(^^♪