マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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世界は『共生』、それでも『封城』

世界的に新型コロナとの共生、いわゆる "with コロナ"の流れになっており、日本でもついに感染者の自宅療養期間の短縮が決定しました。

さて、そんな中、今もゼロコロナを継続する中国では、また複数の都市で”封城”(中国語でロックダウン)が行われています。

四川省で都市封鎖

時事通信*1によると、中国・四川省の成都で"封城"が行われています。

成都で都市封鎖

成都は人口が約2100万人ですが、1日の新規感染者数がたった157人”封城”しています。生活用品の買い物に行くことは許可されていますが、24時間以内の陰性証明の提示が必要です。また、市内からも基本的には出れません。

欧米なら暴動起こってるでしょうね(笑)

中国内6500万人に影響

Bloombergの記事*2によれば、中国内の33の都市で”封城”が行われており、6500万人に影響がでているそうです。

すごい、強権力ですねー。

これについて、海外ではどのようにみられているのでしょうか?

習近平への忠誠

CNNの記事*3をかいつまんでご紹介します。

習近平への忠誠

タイトルは上のようになっています。過去記事で似た内容をご紹介しました。

www.multilingual-doctor.com

復習ですが、中国政府の試算によれば、ゼロコロナ政策により100万人の死亡を防いだというはっきりした『効果』があるから続けているのでしたね。

中国の田舎では医療体制が貧弱で感染拡大は死者急増に繋がります。

そして、今年の秋には共産党の党大会があります。そんな中での感染爆発は国家の威信にかかわる問題なのです。ということで、物理的に人の動きを抑え込んで、感染コントロールをしています。

党大会を目前に

独裁体制を築き上げた習近平に逆らうことはできませんし、感染状況が悪くなるとクビになります。

クラスターが出たら罷免!

そんなリスクがあるので、各都市の幹部はヒヤヒヤもんです。

習近平への忠誠心

 

地方幹部がゼロコロナの為に封城することは、習近平に対する忠誠の証明であり、党大会前に大規模な感染が出ると、自らのキャリアに響くので自己保身の意味もあります。

そんな中で出される数字には信ぴょう性あるんでしょうかね?

党大会を前に”感染撲滅”にやっき

10月の党大会で、習近平体制は3期目に入ることになります。目前に控え、これからますます封城が増えると予想されています。

欧米より優れている

ゼロコロナに固執している根幹の理由があります。それは敵対するアメリカなどの民主主義国家です。

中国の行う積極的に人の動きを止めるやり方は、私権を厳しく制限するため民主主義では続けられません。

西洋の民主主義よりも優れている

この社会主義的な制限が、西洋の民主主義より優れているということこそ、中国共産党が永続する基礎になります。

疑問の声も

しかし、グローバルの時代、世界を知る中国人も増えています。

中には、コロナ禍で繰り返される私権の制限に疑問を唱える人たちも出ています。

『ゼロコロナ批判は許すまじ』

2か月に及ぶ上海の都市封鎖で、反発する市民の声などが上がりました。しかし、これに対し、習近平は強い警告声明を出しました。

習近平による共産党独裁体制維持に、このゼロコロナ政策は使われています。

間違えた方向に

これはどこの国でもある程度はそうなのですが、コロナ対策は科学的に正しいことと、経済的・政治的に正しいことがぶつかり合います。

最終判断は政治ですから、どの程度科学的見地を取り入れるかが国によって変わります。中国でのゼロコロナ政策は科学的見地を逸脱しています。

科学的見地から脱線

中国でのコロナに対する姿勢*4について少し見ていきましょう。

北朝鮮の報道も検閲対象に

北朝鮮でコロナ爆発したときに、国内向けの公衆衛生ビデオがありました。中では、オミクロン株は順調に経過すれば軽症で終わり自宅療養可能、呼吸苦などひどい症状あれば病院へ受診するように説明していました。

このビデオが閲覧禁止になったのです。

この北朝鮮の解説するオミクロン株の臨床経過については、世界中で共通の認識ですが、中国でこれが伝わると困るのです。"封城"をするには『恐怖のウイルス』でないといけないのです。でなきゃ、国民爆発しますからね。

『北朝鮮の方が科学的』

北朝鮮との国境に近い丹東市も2か月近くに及ぶ”封城”がありました。そんな中でもある動画が物議を呼びました。

北朝鮮からの風を測定・監視

国境を流れる鴨緑江付近で、何やら測定器らしきものが設置され、住民には窓を閉めるように指示をしたのです。北朝鮮からの風がコロナを運び込むとやら。

新型コロナのメインは飛沫感染で、換気の悪いような密閉された場所では空気感染することもあるというのは世界共通の認識ですが、窓を閉めろというのはまさに逆行ですね(笑)

『北朝鮮の方がよっぽど科学的』

これには、中国ネット民も、北朝鮮の方がよっぽど科学的であると嘲笑しています。

さいごに

いかがでしたか?

中国が固持するゼロコロナ政策は、今秋の党大会に向けて、習近平の統率力を示すために必要で、地方の官僚たちも、『忠誠心』と『自己保身』のために続けています。

科学的見地を無視してでも、党による国民管理を重視する姿勢がこのゼロコロナ政策にはあるようです。

では、また(^^♪