マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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"コロ" ばぬ先の杖 ~情報は力なり~

転ばぬ先の杖とは「万が一のために準備をしておくこと」という意味ですが、コロナウイルス感染症(COVID-19)第二波に向けていま「杖」を準備しているといったところです。

東京では2日連続100人を超える感染確認者が報告され、第二波につながらないか心配されています。

今回も英字記事を使って、英語の勉強と時事問題を効率よく学んでいきましょう。

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東京都で100人超え

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Japan Times より一部引用

黄色下線部for the second straight day というのは『2日連続で』という決まり文句です。second の代わりに普通に two を使っても構いません。

東京では2日連続で100人を超え、大阪も11人と2桁に乗りました。

 

若い人が多い

今増加している感染者の7割が20-30代ということが分かっています。この点は、3月ー4月とは状況が大きく違います。基本的に若い人は軽症が多く、死亡者も少なかったですね。

記事の続きを見てみましょう。

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Japan Times より一部引用

今日の東京の124名のうち、大部分が20-30代と『夜の街』を訪れた人たちで、残りの多くが asymptomatic だと言っています。 a- は「無」という接頭語ですから symptom(症状)がないんですね。

この記事のいいところは、124人と言う数字だけでなく、内訳もちゃんと書いてあり重症者がいないということまでわかるという点です。人数だけ報道するのは無意味です。

『速報:東京都で新たに○○名』は無意味

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東京都の感染者の多くが若い人と言うのはここ最近よく報じられています。だからいいということは決してなく、そこから高齢者や持病のある方に移すと春と同じ状況になります。

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7月1日 読売新聞記事データより作成

約4割がキャバクラやホストクラブなどの「夜の街」関連の感染者とわかっています。

この人たちはなぜ春は話題にならなかったのでしょうか?恐らくほぼみんな無症状で検査されてないからでしょう。

いまは比較的検査体制が整ったので、そういったお店の若い従業員たちも無症状の濃厚接触者を調べたらたまたま陽性と出たと考えれば納得がいきますね。

こういう報道から私たちはどういうところがハイリスクなのか、自分たちはどうしたらいいのかを考えればいいですね。

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解除が早すぎた?東京

大阪は5月21日、東京など首都圏は25日に緊急事態宣言を解除しました。現在の新規感染者の数を見てもこの2都府の間に大きな隔たりがあります。

東京都の人口(約1400万人)は、大阪府(約880万人)のおよそ1.6倍であることを加味しても感染者数に圧倒的な差があります。

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宣言解除した前後の2都府の”陽性者数” と "7日平均陽性者数" を表にしてみました。7日平均は、曜日による偏りをなくすために前後1週間の平均を見る方法ですね。

では、その数値をグラフにしてみましょう。(急ぎで作ったので表とグラフの色が対応してません。)

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解除のタイミングでの7日平均陽性者数は大阪府は1.9人(実行再生産数 0.47)、東京都は9.0人(実行再生産数 0.57)です。解除前から少しずつ東京都は右肩上がりだったこともこのグラフから読み取れます。

経済抜きで言えば、指摘されているように東京都の緊急事態宣言の ”解除のタイミングが早かった”のかもしれません。

しかし、未知のウイルスであり、『正解』なんてありません。経済を止め続けるわけにもいきません。すべてはバランスです。

バランスを取るのは難しい▼ 

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重要なことはこのようなデータを分析し、7日平均が何人くらいだったら宣言を解除しても増加に転じなかったのかなどを知ることも今後に役立つことでしょう。

とりあえず、同じ失敗をしないことがこれから求められていることです。

 

医療体制の強化①

最初、日本で感染者が増えたときに問題となったのはベッドの問題です。指定感染症になっていたことで、陽性患者は全員が入院という決まりがあったのです。

そのため、無症状や軽症が多いとされるこの感染症で、軽症の陽性患者でベッドをどんどん埋めると後で重症者が来ても受け入れできず、死者が増えることが予想されました。

そこで、PCR検査の受ける基準を厳しく設定しました。色々と批判はありましたが、死者を少なく食い止めるためにはあの時は必要な措置でした。

今は軽症者は看護師常駐のホテル宿泊などを行うようになり、ベッドの確保が改善しています。

 

医療体制の強化②

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NHK world より一部引用

この記事の内容としては、コロナ禍での人手不足に対して、看護協会が退職した看護師にもう一度現場に戻る要請を行ったところ約1000人の看護師が復帰したと。

退職した看護師さんと聞いてベテランのおばさんをイメージしましたか?笑

実際は、若いうちに休職する人も結構多いんです。結婚を機に辞める人もいます。顔出しOKで取材受けていた若い復職ナースもいましたね。 

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NHK world より一部引用

as of ~ はぜひ覚えてください。『いついつ現在』という表現になります。

一番最後の文ですが、復職した約1000人の看護師の4割が軽症者が宿泊するホテルなどに配属されたと書いています。

 

中国では都市封鎖

東京都では1日の新規感染者数が100人を超えたというニュースをしている中で、中国では、また都市封鎖が行われています。

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BBCより一部引用

北京から150kmほど離れた安新県40万人を対象に都市封鎖をしたのです。感染者数はなんと、18人。。。

広がる前に終わらせるということでしょうか。

記事の黄色下線部に注目です。医師や公共労働者、いわゆるエッセンシャルワーカー以外の人は1家庭につき1人だけが1日に1回買い物などの外出が許されると。

中国はさすが統制されていますね。ちょっと住みたくはないですが

 

新型豚インフルエンザ

週末なので、がんばってもう1ついっときましょう!CNNから。

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CNNより一部引用

中国の研究者らが発表した内容です。中国で新型豚インフルエンザが見つかっており、今後パンデミックを起こす可能性があるという発表内容でした。

2009年に流行したタイプと遺伝子が似ているそうですが、それならば豚から人への感染も当然あるわけで、やや心配ですね。

中国外務省は「数も少ないし、大きな心配はない」的なことを言っていますが、新コロの初期対応とよく似ているので警戒はしておいた方がよいかもですね。

 

まとめ

新コロちゃんの対策について、専門家たちがこの数か月のデータをしっかりと解析して、”コロばぬ先の杖” を準備することでしょう。それはそちらに任せて、私たち一般人にできる ”コロばぬ先の杖” は何でしょうか。

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もう一度確認を

自分の身は自分で守るしかありません。自分にできることをしましょう。

基本的なことですが、social distance をしっかり(1m以上)と取ることで80%以上感染リスクが下がることが報告されています。最初は2mとされていましたが、1m 以上で十分効果があることがわかっています。

石鹸を使った手洗いはこまめにしましょう。石鹸や液体ソープで洗うことで手からウイルスが落ちやすくなります。

あとは、マスク着用!この時期は暑いので、屋外で1m以上の距離が確保できる場合は外してもよいと厚生労働省も推奨しています。そしてクラスターをよく出している場所に近寄らないことでリスクは下げれますね。

こまめに情報を update することが重要です。しかし、情報を見極める力も鍛えましょう。

 

では、また(^^♪