昨年9月ごろより続くラ・ニーニャ現象もそろそろ終わりを迎えています。
エル・ニーニョ(El Niño)*1とラ・ニーニャ(La Niña)*2、昔習ったけど。。。笑
ザックリ言うと、長期的な太平洋の海水温上昇がエル・ニーニョ、長期的な太平洋海水温の低下がラ・ニーニャで、ともに世界的に気候に影響を与えます。
ラ・ニーニャ現象の影響は、日本では夏は猛暑で冬は寒波というものです。まさに今回ですね。2月以降はこの影響が弱まります。
陽性者数減少
連日の報道で「感染者数〇〇人」だけの薄っぺらい情報を目にするわけですが、数字上減少しています。
政府は「緊急事態宣言の効果」としますが、あんなユルユルなものでここまでの急な現象は考えられますか?笑 普通に考えれば気候です。↓↓
以前も書きましたが、第3波の主因はGo To トラベルではなく気候です。同じタイミングで韓国でも第3波が来ました。↓↓
韓国ではその後、罰則付で5人以上の集会禁止なども行い、勢いを先に抑えています。
1月初め、イギリスでは1日7万人弱、アメリカでは1日30万人弱の陽性者が報告されていましたが、今はイギリスは1日2万人ほど、アメリカは1日10万人ほどに減りました。
あれ、イギリス変異株の影響は??1.7倍の感染力では??笑 ロックダウンが効いたから??
感染力というものは、ウイルスだけでは決まりません。なぜ風邪やインフルエンザは冬に流行るのですか?冷たくて乾いた空気が感染しやすくするからです。つまり恐れられてたイギリス変異株も寒波の影響で感染力が強まっているということです。
イギリスもスペインも寒波で大雪というニュース見ましたよね~それですな。ラニーニャ
交絡因子
交絡因子(confounder) ってご存じですか?要は、目立たないけど間接的に影響を与えるってやつです。
例えばお酒を飲む人の方が肺癌が多いのですが、それはお酒のせいと言えますか?お酒を飲む人はタバコを吸う割合も飲まない人より多いので肺癌になる可能性が高いんです。(飲酒と肺癌に関連はありません)
こんな疑問有りませんか?特にコロナとか新しく出てきたものっていうのは意見・結論が分かれやすいです。理由は交絡因子です。ま、あとは著者の『結論ありき論文』です(笑)
例えばさきほどの例、なぜ日本で今陽性者数が減っているのか?理由って1つじゃないですよね?気候の影響、緊急事態宣言、ウイルスの変異(?)・・・などなど。それぞれの影響の程度はわかりません。
もっと言えば、マスコミの煽り報道で自粛が増えたっていう可能性もありますね。こういうものすべて交絡因子です。これらをどこまで勘案するかで結論が変わるわけです。
単に、緊急事態宣言と陽性者数の時系列だけを比べて結論に導けば、「緊急事態宣言で感染低下」という短絡的なものになるわけです。
「感染減少はウソだ」?はっ?
ヤフコメとかで多いですが、減少は嘘で政府が数字を操作しているとかいうやつですね。こういうコメントにはかわいそうな目で見てあげましょう(笑)
これよく見かける主張です。東京都をはじめ、保健所がパンクした影響で濃厚接触者の検査を制限したのは事実です。当然検査数が減れば陽性者が減ります。ここまでは正しいです。
しかし、ここから"本当は感染爆発"に結びつけるのは間違いです。
無症状の濃厚接触者を調べまくると、検査数はどんどん増えます。つまり、分母が増えて、陽性率は低くなりますね。
逆に、意図的に検査を制限すると、分母の増えが少ないので、陽性率は高くなります。もし感染爆発が起こっていたなら・・・さらに陽性率は上がっているはずですね。
濃厚接触の検査を減らした東京都のグラフ(12月中旬~)です。オレンジ色の実線が陽性率です。どうですか?1月以降グラフは下がっていっていますよね?つまり実際に減少しているのです。
また、濃厚接触を制限していない県もある中、全国的に陽性者数は減っています。
どうでうすか?全国でPCR検査そんな減っていますか?そんなことないですね。
陽性者数が減っているのは事実です。そもそも、どんだけ検査拡大だけをしても感染を抑え込めないことは他国でも証明済みですね。
抗体保有率
厚生労働省が12月に行った抗体保有率の調査結果を発表しました。東京都で0.91%、大阪府で0.58%でした。12月の記事での僕の予測が、東京都で0.70~0.80%, 兵庫県で0.45-0.55%でした。東京は大きく外れましたが、大阪の隣の兵庫県は妥当かな~と。(^^;; ↓↓
東京都の人口は約1400万人ですから、推定陽性者数は抗体保有率から計算して12万7400人です。12月31日現在の東京の累積陽性者数は6万117人*3ですから、およそ半分の人は検査で見つかっているという風に考えられます。
同じように計算すると大阪府の推定陽性者数は5万1000人で、検査での捕捉率はおよそ60%となります。つまり、今報告されている数の1.6~2.0倍くらいが実際の陽性者数と考えればよいですね。
感染爆発なんて起きてませんよ~( *´艸`)
ちなみにインドでは抗体保有率が驚異の50-60%だそうです!多すぎ
無症状感染者
よく話題に出てくる無症状感染者というものですが・・・
何回もブログに書いてますが、僕は無症状感染者とやらが感染を移すなんて全く信じていません。そもそも無症状と言うのは体内でのウイルス量がかなり少ないわけですから、そんな人が本当に移しうるのだろうか?と考えています。
そんな中、有名な nature communications という雑誌に興味深い論文が発表されました。中国武漢で全市民およそ1000万人をPCR検査したものをまとめたものです。
1000万人規模のデータなんて非常に貴重です。
無症状陽性者はそもそも相当まれで、また他人に移していないという結果。
(ただし、著者も述べていますが、PCR検査の精度が70%くらいとされ、偽陰性で見逃されている無症状陽性者もいると考えられると。)
日本で無症状陽性者があまりに多いのは検査の感度を高めすぎているとも言えます。『無理やり陽性者を作っている』とも言えます。
中国の政治含め、やることには色々と思うところがありますが、社会主義の強みで一瞬で都市封鎖をやったり、全市民検査をやり遂げこのようなデータが出てきたことは素晴らしいです。自由国家ではできません。
ただ、穿った見方をすると、中国は初めのうちは無症状の陽性者はカウントしないとしており、「感染者数を少なくするためだ」という批判を交わすために政治的に作られたデータかもしれない。。。うーむ、ここまでくると陰謀論ですね(笑)
でもマスクは必要
無症状陽性者はそもそも稀で、しかも感染を移さない。となれば無症状だったらマスク不要ですか?と逮捕されたマスパセさんのような主張もできそうですが、それはまだダメですなー。社会的事情、エチケット、マナーです。
また”発症前”という考え方ですね。過去の論文で「無症状陽性者が移したと考えられる症例がある」というものがたしかにあります。
無症状陽性者と言うのは陽性だけどずーっと無症状の人。対して発症前陽性者は、濃厚接触者でPCR受けたら無症状ながら陽性、数日後に症状が出る人とかです。というか、症状がある人はみんな発症前の無症状があるんです。
今回の新型コロナの特徴で、発症の2-3日前から他人に移しうるというのがあるので、結局無症状でもマスクが必要になるわけです。
だから体調問題ない人だけが集まった忘年会で増えるわけですね。酔って声が大きくなってツバを飛ばす、2時間も一緒にいれば・・・ 2日後に誰か発症して、周りも検査したら・・・
あとね、医者やってるとわかるんですが、聞けば症状を思い出すことあります。倦怠感とかは軽度だと意識しないしないこともありますしね。無症状陽性者というのは難しいものです。
まとめ
現在日本で感染爆発など起きていない
陽性者数は間違いなく減っているが、緊急事態宣言の影響の程度は不明
無症状陽性者は極めて少ないし、感染を移さない(武漢のデータ)
(日本では若者の無症状が多い → 検査の感度高めすぎ?)
『発症前』と『無症状』は後にならないと区別できない⇒マスクは必要
今後も増えたり減ったりの波を繰り返すでしょうね。季節・人出・変異株…いろんな因子で・・
ではまた(^^♪