マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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脱サラコンビニオーナーの現実

子供の時に、「○○君のお父さん、脱サラしてコンビニ経営始めた」的な話は何度か耳にしました。”社畜”と揶揄されるサラリーマンを辞めて、自らの城を築く!

コンビニ経営なら特別な資格や特殊技能も不要で、参入ハードルが低いと言われていますが、実態はどうでしょうか。

今回はよくニュースで見かける"7-11"をメインに見ていきましょう。

ハードルが低い

まず脱サラして、個人事業主になる時、特殊な資格や技能があれば話は早いですが、そうでなければどうするかです。

そんなときに、コンビニは参入ハードルが低いのです。

参入ハードルが低い

大手のコンビニチェーンのフランチャイズとして開店すれば、商品も宣伝もお任せで、あとは客を捌くだけでいいわけです。

最初にもちろん研修があります。必要な知識やノウハウも教わります。

また、開業後は本部からカウンセラーが来てアドバイスをくれたり、本部で定期的に開かれる会議で情報を得ます。

フランチャイズ店舗

開業資本金は200~300万円ほどあればいいとのことで、それだけ何とか用意すれば後は敷かれたレールの上を走るだけ・・・

ま、その考えは甘いです!!

店長の年収

さて、気になるのがオーナーの年収です。

コンビニ経営の年収は大体550万円で、セブンイレブンは高く700万円ほどのようです*1。どうせならセブンイレブンでオーナーしたいですね(笑)

もちろん、各店の売り上げによっても変わります。

コンビニオーナーの年収は

日本の平均年収が約435万円(中央値は約396万円)*2なので、脱サラしてコンビニ経営というのもうなずけますね。

思ったより少ない

ところで、僕個人的には、毎日すごい数の客を見かけることから、もっと収入が高いと思っていました。そうなんです、実は吸い取られているからです。(笑)

脱サラして個人経営になって、自分の城を築いたはずなのに。。。

ロイヤリティー支払い

フランチャイズは名前を借りてお店をするので、売上の一部がロイヤリティーとして吸い上げられるのです。それは、数%ではありません、60-70%程度*3です。

本部からすれば、そりゃ会社の名前を使って客を集めて宣伝費も払ってないんだから当たり前だろって感じですかね。

ランチェスター戦略

ここからはもう少し踏み込んで見ていきましょう。

ランチェスター戦略という言葉をご存知でしょうか?これは、兵法の考え方で、弱者がどうやって勝つかという戦略論です。

ランチェスター戦略

分かりやすく言えば、強者は、小さい戦いをするのでなく広範囲で戦い勝利を目指すべき、弱者が強者に勝つには、局所的に集中させるべきであるというものです。

ビジネスでも応用されており、中小企業が、大手企業に勝つには手広くやってもダメで、得意分野をどんどん突き進み差別化を図るべきとされています。

ドミナント戦略

ランチェスター戦略の弱者の戦法は、一極集中です。これに関係してくるのがドミナント戦略です。

ローソンなどの強者は、とりあえず一気に全国展開をしていきます。セブンイレブンは、その反対でまず小さい地域から局所的に攻めてゆっくりと全国展開という流れで、今や全国に2万店を超える最大規模になりました。

ドミナント戦略

その中で、マーケティング調査の上、ある地域を選定すれば、そこにセブンイレブンを集中的に作ります。そうすることで、その地域で「コンビニ=セブンイレブン」の意識が出来上がります、これがドミナント戦略です。

こうして、同じ地域内にたくさんのセブンイレブンが見られるようになりました。

この戦法は、スターバックスも行っておりました。たしかに、「やっと徳島に!」「鳥取にもできた」という風に全国展開は遅かったですね。

行き過ぎた感

ドミナント戦略のメリットは、一局集中の為、マーケティング調査も楽で、運送などの物流コストも削減できます。また、他の会社が入りづらい空気ができます。

まさにランチェスターの弱者の戦略の通り、しぶとく戦い抜くわけです。

行き過ぎたドミナント戦略

デメリットは、先ほども書いたように他地域への展開が遅れることです。そして、何よりも大きなことは、客のパイを同系列で奪い合うことです。

コンビニ本社からすれば、どんどんフランチャイズを増やして、その地域での売り上げを増やせば、ロイヤリティ収入も増えますから、積極的にやっていきます。

本社と店舗オーナーの考え

すると、極論で言えば道路の向かい側にセブンイレブンの新規店舗が!なんてこともありえるわけです。

困るのはオーナーです。同じフランチャイズ店でも、彼らは赤の他人で、ライバルなわけです。客のパイを奪い合い、減収ですね。

現実は恐ろしい

せっかく、脱サラしてわが城を築いたのに、思っていたものとは違う現実が。

いくら儲けても、ロイヤリティーで6~7割も持っていかれるし、24時間×365日営業の契約で、さらには複数年契約で簡単には辞められない。辞めるには違約金がかかる。

厳しい契約の縛り

バイトが見つからない深夜帯などは自分や家族がその穴を埋めるなど、かなり肉体を酷使したりも問題です。さらには、ドミナント戦略で急に近くにライバルが。。。

オーナー同士が減収でも、トータルで売り上げが増えれば本社はウハウハと。

まさか、こうなるとは・・・

さいごに

いかがでしたか?

ドミナント戦略で地域シェアNo.1 を目指すのが行き過ぎると、同系列でのパイの奪い合いにつながります。

ド○モショップとかa○ショップとかの携帯ショップも基本はフランチャイズで同じようなもんですな~ 格安simやahamo、povoらの登場で携帯ショップは段々不要なものになりつつあります。

ちなみに、同じくドミナント戦略を行っていたスターバックスは、フランチャイズではなく、直営店として行いました。つまり、雇われ店長ですね。

つまり、給料制なので、ドミナント戦略で店自体が多少減収になっても給料は変わらないです。だから、あまり問題になってません?よね?

 

では、また(^.^)ノ