マルチリンガル医師のよもやま話

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米議員『中国産ニンニクまじ危険』

イタリアンの店の前を通ると、ものすごいおいしそうなニンニクの香りがしてきます。

翌日のニオイを気にしながら食べるという、えも言えぬスリルを容易に体感できる魅惑のニンニク。(言い過ぎかw)

今回はこのニンニクについてのニュース*1を見ていきましょう(^^♪

ニンニク

ニンニクの語源は仏教用語の『忍辱』だと言われ*2困難を耐え忍ぶという意味です。

ニンニクにはアリインという成分が多く含まれています。酸化防止作用があり、酸素中毒の治療*3に使われたりもします。

しかし、摂りすぎると、血管拡張により血圧低下、貧血、嘔吐などの副作用が出ます。

なので、ニンニクそのままやホイル焼きをたくさん食べるのは危険です。

ニンニクとは・・・

一方で、ニンニクを刻んだり、すりおろすとアリインがアリシンに変わり、あの特有のにおいを発します。

アリシンは疲労回復や動脈硬化の予防、血糖値上昇を抑える作用などがあるとともに、抗菌作用も持っています。

しかし、こちらも摂りすぎると、胃腸障害が出ますので注意が必要です。

中国産ニンニク

最大のニンニク生産国は中国で、世界中に輸出しています。特に有名なのが山東省です。

もちろん日本でも中国産ニンニクを見かけることが多いですね。日本に入ってくる輸入のニンニクの9割以上が中国産です。

半分は中国産のニンニク

で、国産と輸入品の割合はほぼ半々と言われております。つまり、売られているニンニクの半分は国産で、もう半分は中国産と考えればわかりやすいですね。

さて、前置きはこのくらいにして本題に入りましょう。

「厳格な調査を」

最近、アメリカ・フロリダ州の上院議員が中国産ニンニクに関する大きな懸念を表明し、ニュースにもなっています。

リック・スコット議員によると、中国産のニンニクは品質面・安全面で重大な懸念があると指摘しました。

『中国産ニンニクに重大な懸念』

スコット議員は国に対してあらゆる形態の中国産ニンニクに大して、厳格な安全調査を行うように求めています。

スコット議員によれば、中国産のニンニクは”人間の糞便”を肥料として作られており、下水ニンニクであると。

中国産は『下水ニンニク』

さらにさらに、白くする為に漂白剤を使用していると主張しています。

『根拠なし』

スコット議員が、これらの根拠として提示するのはブログやyoutubeでした(笑)

もうこの時点で、「ワクチンで5G接続」とかと同レベルですが・・・(-_- ;;)

「根拠なし」

2017年にカナダの大学が出した報告書によると、中国産ニンニクで下水が使用されているという確たる証拠はないとしています。

また、仮に使われていたとしても、人糞も動物のフンも肥料として効果的であり、全く問題はないと議員の主張を真っ向から否定する内容となっています。

そして、ニンニクには分厚い皮があり、食べられる部分に下水が入り込むことはないとも書かれています。

『人糞肥料は安全で効果的』

2023年のスイスの研究*4でも、人糞を肥料にキャベツなどの作物を作るのは安全で、効果的であるとまとめています。

SDGs?

昔を考えればわかりますが、肥溜め(Honey Bucket)というものがありまして、排泄物を貯めて肥料に使っていたわけです。

ま、化学肥料がある今、あえてやる意味はないですが・・・

よくわからんSDGsの名のもとに近年では、尿を再利用してビールを作ったり、人糞を肥料にして作物を作ろうとか言う活動が増えているのは事実です。

尿でビールを作る

www.multilingual-doctor.com

近年の異常気象などを見ると、人類は本当に地球環境について真剣に向き合わないとと感じさせられます。

しかしながら、昔に逆戻りするのではなく、人類の英知を結集して、新しい方法でSDGsを目指してほしいものです。

あと、日本にもいますが、議員で陰謀論に染まったのはかなり問題ですな。。。

では、また(^^♪

*1:https://www.businessinsider.com/rick-scott-chinese-garlic-grown-sewage-threatens-national-security-2023-12

*2:木村秀次・黒澤弘光『大修館現代漢和辞典』大修館出版、1996年12月10日発行 p.436

*3:Kourounakis, PN; Rekka, EA (Nov. 1991). “Effect on active oxygen species of alliin and Allium sativum (garlic) powder”. Res Commun Chem Pathol Pharmacol. 74 (2): 249–252.

*4:https://www.newscientist.com/article/2355597-human-waste-could-help-tackle-a-global-shortage-of-fertiliser/?utm_source=rakuten&utm_medium=affiliate&utm_campaign=2116208:Skimlinks.com&utm_content=10&ranMID=47192&ranEAID=TnL5HPStwNw&ranSiteID=TnL5HPStwNw-7NSpzLeYIeM6.ar2e24h5w