マルチリンガル医師のよもやま話

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日本語式 >英語式?!~5文型にまつわるよもやま話~

 「英語の勉強に英文法はいらない」なんて言葉を聞いたことはありませんか?

他にも「聞き流すだけ」「30日でペラペラ」なんて売り言葉。笑 ってそんなわけないやん・・・笑  文法は必要です!

ま、それはさておき、今回は英文法で一番最初に習うけどほとんど試験にも出ない(日の目を見ない)5文型についてお話をしてみたいと思います。

 

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文法の勉強は必要です

まず外国語を習得するには何年(何十年?)もかかります。そんな1か月そこらでは絶対に無理です。僕は外国語を勉強するには文法の勉強は必要であるし、した方が効率がいいと考えています。

そもそも言葉(言語)というのは文法ありきではありません。文法は使われている言語の中ににルールを見つけ出して後付けされたものです。ですので、文法とは「ネイティブはこのように使います」ということを非ネイティブが学びやすいようにまとめてくれているものだと思ってください。

ネイティブは小さいときから何度も何度も使ううちにその言語が体に染みついているだけです。非ネイティブはそのような環境に置かれていないので、効率よく勉強するためには文法というツールを使うことになります。

 

日本語と英語の比較

さて、英語を習い始めたときに最初に【5文型】を勉強しましたね。日本語にはこのような文型はありませんね。ここで、一つ思い出してほしいことは日本語にあって英語にない「助詞」の存在です。

助詞とは「が」「は」「を」「に」「で」などです。助詞にはそれぞれ「意味」がありますね。例えば「が」や「は」なら主語になります。しかも「が」と「は」でニュアンスが違いますね~

それはさておき、日本語は助詞に意味があるため、その文節が主語なのか目的語なのかわかるわけですね。つまり、文節の順が変わっても意味は変りません。

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文節の順が変わっても意味は変らない

もちろん多少不自然な日本語にはなりますが意味は変りません。笑

英語では助詞がないので動詞との位置関係によって主語なのか目的語なのかなどが決まるようになっています。つまり順序が重要なわけですね。例えば順序を次のように変えてしまうと(下図参照)目的語と主語が変わってしまうことになり意味が変わってしまいます。

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順序を変えると意味が変わる

この日本語と英語の言語体系の根本的な違いを知るために最初に文型を習っていたわけですね。これを見れば「文法はいらない」とは言えませんね。

 

5文型導入

この5文型というシステムは100年以上前にイギリスで作られたものです。その頃はほかにも7文型とか11文型とか多いものでは25文型に分けるような分類もあったそうです。

明治政府は英語の教育に力を入れることになりました。そこでイギリスで使われている文型で一番少ない5文型を導入したといわれています。イギリスやアメリカではもはや習いません

日本(と韓国も)では今現在も学ばれています。要するに英語と言うあまりにかけはなれた言語の体系を理解するのに最小限の文型で学べるのがこの5文型ということだったようです。

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日本語型 vs 英語型

さて、第Ⅲ文型を覚えていますか? SVOです。

世界のあらゆる言語の語順を比べるときの指標にこのSVOを用いて示します。

例えば I love you. というフレーズをいくつかの言語で比べてみましょう。

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 それぞれの言語で I love you を並べてみると英語と同じSVO型日本語と同じSOV型が大部分です。

上の図ではイタリア語とフランス語は赤字でSVOとしています。これに関しては、見たら順序はともにSOVになっているのですが、実際はSVO型だよ!ということです。

詳しくいうと、これは目的語の「you」の部分、代名詞(イタリア語:ti, フランス語: t' )直接目的語に取るときのみ、その目的語はVの前に来るというルールがあるからです。

目的語が代名詞でなければSVOの順序が普通なのです。

ややこしいと思うのでそこはスルーしてもらって結構です。(笑)

 

とりあえず上の表では日本語と同じ語順は韓国語のみで、それ以外は英語と同じSVO型でした。もちろん世界の言語を見ると他にもVOS型(フィジー語)や、VSO型(ヘブライ語)などもあります。

 

さて、世界の言語では日本語型(SOV型)と英語型(SVO型)はどのくらいの割合だと思いますか?

 

・・・

 

ある研究では 日本語型(41%) vs  英語型(35%)だそうです。残りの24%はその他に分類されます。意外や意外日本語型の方が英語型よりも多いんです!!

 

脳内での語順

2008年におもしろい論文が投稿されました。そのとき大学生だった僕はものすごく驚いたと同時に感銘を受けました。その研究内容は、英語型(SVO型)言語を母語とする人と日本語型(SOV型)言語を母語とする人たちの思考の順番はどうなるか?というものでした。

A girl turns the knob. (少女がノブを回す)

これを言葉を使わず身振り手振りで表現するように被検者に求めました。すると、母国語の語順に関係なくほとんどすべての被検者は S→O→Vの順で示したそうです。

この研究結果から脳内ではSOV型が自然な語順と考えられ、日本語型(SOV型)の方が英語型(SVO型)言語よりも自然であるということです。

 

こう考えると、世界の言語でSOV型が一番多いのも納得がいく気がします。しかし、それでも世界的に多い英語型(SVO型)はなぜその順になったのか、その謎はまだまだ解明には時間がかかりそうです。