訪日外国人が年々増えているのは非常にありがたいことです。
日本各地では「おもてなし」でリピーターを増やそうと頑張っています。
とある旅館では、自動音声通訳機を用いてきめ細やかな心配りをしているそうです。
将来は「英語が話せる」ことが評価されない時代も来るかもしれませんね。
ところで、世界共通言語があるのをご存知でしょうか?
ある眼科医の物語
19世紀後半 ポーランド人眼科医のザメンホフという男がいました。
当時のポーランドは帝政ロシア領で、ロシア人、ポーランド人、ドイツ人、ユダヤ人が混在していました。
それぞれ言葉が違うことでコミュニケーションもうまくいかず、民族間での不和がはびこっていました。
ザメンホフは中学生のころ、国際共通語を作ろうと決心します。
そのためには文法は簡単なものにしなければいけないと考えました。
その後、眼科医となった後も国際共通語の計画を進めました。
そしてついに完成した言葉がエスペラントです。エスペラントとは「希望を持つ者」という意味です。
エスペラントの発展
ザメンホフはロシアと東ヨーロッパを中心に活動し、エスペラントの普及に努めました。1905年に 世界エスペラント大会がフランスで開かれました。
翌年に日本エスペラント協会が発足しました。
小説『浮雲』で有名な二葉亭四迷がエスペラント学習書を出版しました。
エスペラントの言語学的特徴
人工言語であり、民族感情に左右されない中立的な言葉
このようなメリットが言われています。
実際は、ロマンス語*1を基礎に作成されているため、ヨーロッパ言語以外の話者には習得が難しいという指摘もあります。
語彙も大半がロマンス語、残りのほとんどはゲルマン語*2から採用している。
但し、文法上の性は持ちません。(男性名詞や女性名詞などはない)
発音はスラブ語*3の影響を受けているといいます。
語順は自由とされていますが、実際は英語と同じSVO文型が多いようです。
エスペラントのアクセント
英語と同じ強弱アクセントです。(日本語は高低アクセント)
アクセントは常に最後から二番目の音節にある。
エスペラントの基礎、文法第10条
これはイタリア語でもそうである。そこの母音は長めに発音する。Buongiorno ブォンジョールノ
エスペラントの単語
最初は約900語のみ定義されました。
新しい言葉は外来語を取り入れるか、既存の言葉から作ることがエスペラント話者の権利としてある。その中で一番人気が出たものが後世に使われるということです。
エスペラントの挨拶
・Saluton(サルートン)= やぁ
これは 英語 salute「挨拶」からわかりやすいですね。
・Dankon(ダンコン)=ありがとう
これはドイツ語で Danke. と似てますね。
日本語からできたエスペラント
・aikido(アイキード) 合気道
・bonsajo(ボンサーヨ) 盆栽
・goo(ゴーオ) 碁
・kapao(カパーオ) カッパ
・kimono(キモーノ) 着物
など
まとめ
世界共通語を目指したエスペラント。
実際は認知度も低く、正確な話者の数も不明です。
しかし、なかなか夢のある話ではないでしょうか。
P.S.
ヤクルトはエスペラントでヨーグルトを意味する jahurto(ヤフルト)に由来しているそうです。