マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

MENU

【サク読み】NYで再び屋内マスク

2022年に入ってから英国をはじめとする欧州の国々、そしてアメリカでも、新型コロナウイルス感染症に対する規制を撤廃していく流れが始まりました。脱マスクも世界的な流れです。

今回は、一度マスクを撤廃したニューヨークが再びマスク再開?というニュースが出ていますね。日本でも最近マスクの議論がある中、気になるニュースとなります。

マスク着用について

今回のコロナ禍で、マスクの飛沫感染を抑える効果に注目が集まりました。

超名門:BMJのメタ解析*1で、マスク・手洗い・ソーシャルディスタンスが新型コロナ予防の3種の神器であることがわかりました。

マスクは感染リスクを低減

まず、科学的にマスクに効果があるのは間違いないので、そこは強調しておきます。

あとは、実際、24時間マスク着けとくなんて無理なんですよね。食事や入浴、小さい子供、肺の疾患ですぐ息苦しくなるなど。

なので、結局はどこかで妥協しないといけないってことです。マスクつけてご飯食べれないし、乳幼児にマスク常時ONなんて無理ですし。

マスクの問題点

そこでリスクの低いところや、家庭内は許容しようというのが、一般的ですね。

どこまで許容するかだけの問題であり、国や文化によっても大きく違います

NYで屋内マスク

さて、いよいよ本題に入って、ニューヨークでは今年の2月にマスク着用義務が完全に撤廃されました。そんな中で、最近、屋内でのマスク着用が再び戻ってきました。

NYタイムズの記事*2を使って学んでいきます。

NYで屋内マスク

今回のポイントは”義務”ではなく、推奨となっているところです。

当然、一回撤廃したものを再び義務化すると、大きな反発を食らうことになります。

「治療薬もある」

それだけでなく、感染者数は増えているけども、病床にはまだ余裕があり、抗ウイルス薬も使えるためであるとNY市長は説明しています。

抗ウイルス薬

ここで抗ウイルス薬のお話をします。

一般的にウイルスの感染症には治療薬はありませんが、一部のウイルスには薬が存在します。

例えば、インフルエンザは診療所などで検査して陽性となれば、内服や吸入で抗ウイルス薬を処方します。これにより重症化が防げます。そして供給も十分にあります。

一方で、新型コロナウイルスについてはどうでしょうか?この冬から2つの抗ウイルス薬(内服薬)が使われるようになっています。

ラゲブリオ

ラゲブリオは第6波で自分の患者さんにかなり使いました。

この薬のポイントは成人で重症化リスクがある人に使います。つまり、健康な若い人には基本的に使いません。供給量の問題もあります。

また、催奇形性の懸念があり、妊娠の可能性のある人は使えません。

パキロビッド

パキロビッドはファイザーの薬ですが、こちらはラゲブリオよりも効果はうんと高いです。

催奇形性の報告はない一方で、薬の飲み合わせの問題や供給量の問題でこちらも気軽に処方されないのが実情です。

マスク辞めれない?

さて、ニュースに戻ります。

マスク着用をやめれば、感染者が増えるは当然ですね。この感じやと日本のマスクなしは夢のまた夢???

 

では、ニューヨークのコロナの状況を見てみましょう。

NY市の感染状況推移

飛びぬけて高い山が、この冬のオミクロン株による感染爆発で、その波が鎮まった2月に屋内マスク義務を撤廃しました。

その後の山が、今の状況ですが、全然悲観する状況ではないですね。確かに、上がり続けいてるのは間違いありませんが、大爆発ではないです。

オミクロン亜種

いま、ニューヨークで増えているのはオミクロン株の亜種です。

しかし、こないだの冬のような爆増はなく、致死率も特に高いということはなさそうです。❨季節の影響?❩

偶然発見の患者が半分以上

現在300人がコロナ陽性で入院していますが、その半数以上は別の理由で入院となっており、入院時の検査でたまたまコロナとわかりました。

そういや、オミクロン株が流行し始めたときも同じこと言うてましたね。

しかしながら、やはり無症状でもコロナ患者は隔離が必要で、医療機関への負担は徐々に増してきています。

マスクが一番効果的

大病院の内科医長のコメントが紹介されており、まだ感染者数が急増していないうちから行動を起こすべきであると。そんな中で、マスク着用が一番の対策であると。

つまり、NYでの状況は、冬みたいにひどくはないけど、着実に感染者が増えてきており医療機関にも影響が出始めているから、勢いを抑えるためにマスクをしてね♪ってことです。

日本はどうする?

屋外でのマスクについては当初から、十分に他の人と距離が取れるようであれば着用は不要とされてました。なぜか、最近になってそれが話題になっていますが(笑)

日本の政治は基本的に『石橋を叩いて渡る』ですから、欧米がマスクなしでもすぐにはマネしません。

今回のニューヨークのニュースからは、季節も関係あるでしょうが、マスク規制をなくしてもそんなに増えてないんですよね。

例えば、英国はどうでしょう。

英国の感染者推移

こちらも増えてないんですよね。

つまり、マスク義務を無くしても、それが感染爆発に直接はつながらないようです。もちろん、冬ではないということも良い影響を与えてると思います。

であれば、日本もまずは、屋外で密でなければマスク不要!と首相あたりが宣言してほしいところですね。

さいごに

科学的にもマスク着用が感染を抑制していることは間違いないが、欧米ではマスク忌避が大きいため、義務化の継続は困難です。

現在、オミクロンの亜種が流行しているが、冬と比べると爆発的な増加は見られませんが、医療には負担は徐々に増えつつあります。それゆえの”対策”というわけです。

ニューヨークの状況からも、英国の状況からもマスク義務化を撤廃したことで直接的に感染爆発などにはつながらないと考えられます。

少なくとも屋外はなしにし、感染者が増えてきたら、マスクをするというメリハリをつけれれば、みんなのストレスも減ってくるのにな~

 

では、また(^^ノ