オーストラリアで起こっている大規模な山火事がニュースで取りざたされている。
一部メディアでは地球温暖化への影響を指摘する記事もあります。
Australia wildfires unleash millions of tons of carbon dioxide
NBC news
unleash とは emit と同じで「放出する」という意味です。
「オーストラリアでの山火事では何百万トンものCO2が排出される」
今回は山火事について少し学びましょう。
山火事の原因
山火事には2つの原因があります。
- 雷や火山噴火、落ち葉摩擦による自然発火
- 焚火、タバコ、焼き畑農業による人災
特に自然災害としての山火事は珍しいことはなく、成長しすぎた木々が焼け落ちて新たな樹木の誕生につながると考えられています。
日本国内では自然発火の山火事は少なく人為的な原因であることが多いそうです。
アメリカの山火事(wildfire)
毎年秋口にCalifornia州の山火事のニュースがありますね。
森林地帯が広すぎて一度広がると手が付けられないそうです。
消火活動は行いますが、基本的には自然鎮火を待つ形になるようです。
そのCalifornia州では新しい試みがなされています。
Inmates risking their lives to fight California’s wildfires deserve a chance at full-time jobs
Los Angels Times: Nov. 1st, 2019
inmate と言うのは「受刑者」のことです。
つまり受刑者が山火事の火消しに動員されているということです。
彼らは fire camp と呼ばれる施設でトレーニングを受けています。
これは州立のseasonal firefighterと同じ内容のトレーニングです。
しかしながら、彼らの日給は2~5ドルです。
こういった薄給でありながら、命を懸けて火消しをするのです。
もちろん出所後に消防士の資格は得れません。(ルール的に難しい)
オーストラリアの森林火災(bushfire)
今ニュースになっているのはこのオーストラリアのbushfireです。
普通は山火事は英語でwild fireですが、オーストラリアではbushfireと言います。
理由は知りませんが、言葉の差と考えてください。
原因は他国と同じく、自然発生と人為的なものとあります。
自然発生の中ではユーカリによる自然発火も有名です。
ユーカリの葉はテルペン(terpene)という引火性の物質を放出します。
オーストラリアの山火事が広がりやすい原因の一つです。
また、トビ(トンビ=Black kite)などの鳥類が火のついた枝を落とし、その火から逃げる獲物を狙うという習性があり、山火事の原因となるそうです。
ちなみにオーストラリアのbushfireで排出された二酸化炭素は、その広大な森林による二酸化炭素吸収作用により打ち消されると考えられています。
今回のオーストラリア森林火災(2019-2020)
オーストラリアではほぼ毎年bushfireが起こっています。
2019年は降水量が史上最低で空気が乾燥していたこと、さらに平均気温が過去最高であったことから火災が起こりやすく、広がりやすい条件がそろいました。
※確認:オーストラリアは日本と季節が真逆なので今が夏です。
上にも書きましたが、オーストラリアのbushfireで発生する二酸化炭素は森林で再吸収され、環境には影響しないと考えられてきました。
しかし、今回の史上最大規模のbushfireは事情が違うようです。
すでにこの3ヶ月で3億5000万トン以上の二酸化炭素が放出されており、
これはオーストラリアが1年間で排出する二酸化炭素の2/3に相当するそうです。
タスマニア大学の山火事が専門のDavid Bowman教授によれば、
今回排出されたCO2を再吸収するには100年以上かかる
と言っています。
これが今回の山火事による地球温暖化への影響を危惧する声となっています。
また、今回の山火事による経済的損失は観光業のみで日本円で約3400億円との報道もありました。
ここ最近の異常気象などは何か地球に起こり始めていることのしるしでしょう。
環境問題はもっともっと真剣に考えるときが来たのかもしれません。