マルチリンガル医師のよもやま話

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ビタミンDのチカラ

コロナ禍で、免疫アップを目的に注目を集めたビタミンDですが、サプリで摂取してきっちり日光浴をするというアメリカ人を何度か目にしました。

ビタミンについては過去にも記事にしておりますので、ご参照ください。

ビタミンについて

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今回は、そんなビタミンDについて最新情報つき*1でさらに学んでいきましょう♪

ビタミンD

まずは少し復習を。

ビタミンD脂溶性ビタミンで、食事からの摂取の他に、体内で合成できるホルモンでもあります。

ビタミンD

冒頭でも触れたように、免疫の調整に一躍を買っているだけでなく、骨を丈夫するためにも重要です。さらには、セロトニンを作ることで、気分を良くする効果もあります。

今回の研究では、16,800人が2つのグループに分けられ、一方はプラセボ、もう一方は5年間毎日ビタミンDを2000 IUずつサプリで摂取しました。

1日の摂取推奨量

一応、日本では350 IU程度が1日の摂取推奨量とされており、アメリカでは成人は600 IUが推奨*2されています。

どうも、アメリカでは皮膚癌のリスクの観点から日光曝露を避ける傾向にあることから摂取目標値が高く設定されているようです。ま、白人はメラニンが少ないから日に当たる赤くなって痛いので、sunburnと言いますね。それを避けたがります。

実際、売られている牛乳もほとんどビタミンD添加されてたり、サプリも積極的に推奨されています。

いずれにしても、今回の研究での摂取量 2000 IUというのは、両国の摂取推奨量を大きく上回るということがわかります。

心血管イベント

さて、この5年の研究期間中に1336件の重大な心血管系イベント(心筋梗塞や脳梗塞など)が起きました。

これらの発生頻度はビタミンDサプリ内服群ではわずかに少なかったのです。

さらに、研究開始時点でスタチン剤を内服している人たちでは頻度はさらに低いこともわかりました。

スタチン製剤内服がリスク低下のカギ

要は、高脂血症の人は、スタチン剤でしっかり管理しっかりしてると、心血管障害のリスクが減らせるという、以前からわかっている事実を再確認できたということですね。(笑)

以上!

では、また(^^♪

 

 

・・・

ま、もう少しお付き合いください。

スタチン剤と紅麹

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ビタミンDの効果

先ほど、ビタミンDサプリを摂取しているグループでは心血管系イベントの発生頻度が少し低かったと言いましたが、統計処理をしてみると、有意差はありませんでした。

つまるところ、心血管系イベントのリスクを減らすのは、血圧を管理し、適度な運動をし、禁煙し、お酒を減らし、コレステロール値を管理し、定期的に健診を受けることが一番ということが再認識される結果となりました。

で、肝心のビタミンDはというと、補助的な役割が期待できるようです。

ん?なに、この無難な表現は(笑)

ビタミンDは補完的な役割

ま、一応、弁護しとくと、ビタミンDが高血圧、高脂血症に予防的な働きをし、動脈硬化のリスクを下げる作用があるからです。

また、過去の研究*3からビタミンDの数値が低いと、脳梗塞、心筋梗塞などになりやすいことが確認されています。

感染予防

最初に書いたようにビタミンDは骨を強くしたり、生活習慣病を予防する方向に働きますが、それ以外にも”免疫機能”にも深くかかわっています。

コロナ禍より前から、呼吸器感染症に対するビタミンDの効果は知られており、ビタミンDが不足している人に、サプリで必要量を摂取すると、呼吸器感染症リスクを大幅に押し下げる*4ことがわかっています。

ビタミンD摂取で呼吸器感染症予防

血中のビタミンDが基準値を下回っている人たちに、ビタミンDを定期投与すると、70%リスク減で、ビタミンDが正常値の人でも20%程度のリスク低下が期待できそうです。

ちなみに、ビタミンD値が低い人は、コロナで重症化しやすい*5とか、コロナ後遺症になりやすい*6という報告もあります。

これらは免疫応答が弱く、ウイルスを効率的に排出しきれないためと考えられます。

コロナ後遺症

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ただし、ビタミンDが感染症予防に効果がなかった*7*8というメタ解析も複数あります。

あまりに期待はしすぎず、併せて基本的な感染症対策(手洗い、マスク、消毒、換気など)をしっかりとしましょう。

ちなみに子供に関しては、ビタミンD補充してもあまり効果はなさそう*9*10です。子供へのサプリは勧めません。

免疫機能を維持できるということから、勘のいいひとはお気づきかとは思いますが、「がん予防」についても色々と研究されています。

ビタミンDと癌の関係

アジア人を対象にした研究では、血中ビタミンD濃度が低い人は直腸癌になりやすい*11ことが示されています。他の研究でも、ビタミンDを必要量摂ることで、肝臓癌のリスクが下がる*12こともわかっています。

しかし、逆に海外の研究*13では、ビタミンDが多い人は前立腺癌や膵癌になりやすい傾向というもあるので、過度な期待は禁物です。

どのくらい必要?

これについては先ほど触れましたが、日本では200~350 IU(≒5~8.5μg)程度の摂取が推奨されています。

ビタミンDは魚にたくさん含まれているので、この程度の摂取量は毎日の魚で十分足ります。

ビタミンDの含有量

例えば、骨粗鬆財団のリーフレット*14を見ると、古き良き時代の日本人の食生活ならさほど難しくないことがわかります。

一方で、日光・紫外線を避ける傾向が強いアメリカでは、摂取推奨量は高く設定されており、1日に600 IU(=15μg)~800 IU(=25μg)とされています。

アメリカ食では難しそうですな。

『アメリカ食ヤバい』

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しかし、最近の若い世代の食事などでは、日本人の8~9割がビタミンD不足*15だと言われており、2023年に慈恵医大が出した研究結果では日本人の98%がビタミンD不足*16でした。

つまり、日本人も、紫外線の曝露を避けるようになり、食事内容も欧米化してきて、ビタミンDは足りなくなってきているのです。

食の欧米化

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過剰摂取に注意

あまり魚を食べない人、日光・紫外線にあまり当たらないようにしている人は、ビタミンDがかなり不足している可能性が高いです。

先ほども書いたように現代の日本人はほとんどがビタミンD不足です。

食事だけでは十分に足りないってときは、サプリを使うのも手です。

実は、かく言う僕もこの冬からビタミンDサプリ(25μg)を始めており、現在風邪をひきにくくなっているような体感はあります(^^

ただサプリにも注意が必要です。

初めに書いたように、ビタミンDは脂溶性ビタミンです。

1日100μgまでに!!

水溶性ならば血液中に溶けてるので、過剰になれば尿中に排泄されますが、脂溶性ではそうはいかず、脂に溶けた状態で肝臓などに蓄積してしまうので、頭痛や嘔気などの症状や、高カルシウム血症になり、結石などにつながりかねません。

1日に4000 IU(=100μg)を超える量の摂取はやめておくべきです。

なのでサプリも25μg/日 くらいにしている方がいいですね。

まとめ

ビタミンDをしっかり摂ることで、心筋梗塞などの心血管系イベントのリスクが少し下がることが確認されていますが、統計学的には有意とは言えません。

つまり、「大きな効果が期待できるわけじゃないよ」くらいのもんです。

しかし、ビタミンD自体に血圧を下げる効果や、コレステロールを下げる効果があるので、間接的にはいい影響を与えているだろうと考えられます。

本来は、生活習慣病の予防は、バランスの取れた食事と、適度な運動、禁煙などで達成すべきですが、偏食などでビタミンDがあまり摂れていないならばサプリも1つの手となります。

ビタミンDは脂溶性なので、過剰摂取すると、容易には排泄できません。注意しましょう。

 

では、また(^^♪