マルチリンガル医師のよもやま話

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紫外線⇒日焼け その”一歩先”へ

段々と日差しが強くなり気温も上がってきました。これからは日焼けを気にされる方にとってはお手入れが大変な時期になりますね。

今回は紫外線を中心に、その周りのことも色々と学んでみましょう。

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紫外線?赤外線?

この『外』ってのが重要なんですね~

これを知るにはまず、可視光線不可視光線を学びましょう。目に見える光が可視光線、見えないものが不可視光線です。

可視光線は、『』だと思えばOKです。それぞれの波長により見え方が違い、一般には赤→橙→黄→緑→青→藍→紫 の7色に分けられます。アメリカでは藍が抜けて6色、ドイツではさらに紫も抜けて赤~青の5色など国や文化により変わります。

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可視光線と不可視光線

上の図を見ると、わかりますが、目に見える可視光線は波長が360~830nmのもので、それ以外のものは見えません。可視光線の中で一番波長が長いのが赤ですが、それよりも波長が長くなると、これが赤外線と呼ばれます。

逆に可視光線で一番波長が短い紫よりもさらに波長が短くなると紫外線と呼ばれるのです。

緑外線や黄外線が存在しないのはこれで納得ですね。

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ポイント1

赤外線

赤外線について見ていきましょう。赤外線もさらに細かく分けられます。可視光線の赤に近い波長の部分は近赤外線、その先は中赤外線、その先は遠赤外線と呼ばれます。

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赤外線

近赤外線はTVのリモコン赤外線カメラに使われています。あと、ドアを開けるときに使う静脈認証なども近赤外線が使用されています。

一方、遠赤外線と言うのは一番波長が長くて、熱効果が強いんです。水分子を振動させて熱を発生するので内側から温められます。

炭火や七輪で焼くと遠赤外線により内側から熱が加えられ、強力な熱効果で外側をパリッと固めることでうまみ成分を中に閉じ込めるんです。だからおいしいんですね。

他にもサウナや岩盤浴にも遠赤外線を利用したものがあります。体を内側から温めて代謝をあげるってやつです。

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ポイント2

日焼けと紫外線

紫外線は英語でultra-violet、なのでUVと略されます。もう一度先ほどの図を確認しておきましょう。

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可視光線と不可視光線

可視光線で最も波長が短いよりも波長が短くなると紫外線と呼ばれます。

また、この紫外線も波長により近紫外線、遠紫外線、極端紫外線と分けられます。

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紫外線

日焼けに一番関与する近紫外線について詳しく見ていきましょう。さらに細かく分けると、波長の長いものから順にUV-A ⇒ UV-B ⇒ UV-Cとなります。

UV-Aは皮膚の少し深い真皮層まで作用し、蛋白の変性を起こし、老化や色素沈着による日焼け(suntan)を起こします。地表に届く紫外線の90%を占めます。

UV-Bは浅い表皮層に作用し、皮膚が赤くなる日焼け(sunburn)を起こします。この時にビタミンD3を生成することも重要です。丈夫な骨や免疫機能に関係します。

コロナ禍で欧米で日光浴が流行ったのはビタミンDのためです。30分ほどの日光浴で効果があると言われます。UV-Bは皮膚癌を起こしうるので焼きすぎはダメです~

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ポイント3

シミの治療について

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SPFとPA

日焼け止めでよく耳にするSPFPAという単語ですが、意味はご存じでしょうか?

さきほど書いたように日焼けに関与する紫外線はUV-AとUV-Bでしたね。まず、UV-Aをブロックする効果を表したのがPAです。その保護の強さを+で評価してあり、PA++++が一番上のグレードです。

SPFはUV-Bを防ぐ効果を表すものです。こちらはSPF30などのように数字が出てくるのですが、この数字が意味するのは、塗らない場合と比べて何倍長く日焼けにならないかと考えてください。

例えば、日焼け止めなしでは20分ほどで赤くなる人がいれば、SPF30の日焼け止めを塗れば 600分=10時間は守ってくれるわけです。

現在の日本ではSPF50+が一番上のグレードになります。絶対に焼きたくない人はPA++++でSPF50+を選びましょう。

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ポイント4

殺菌効果のUV-C

近紫外線で一番波長が短い、UV-Cは普段はオゾン層に吸収され地表に届くことはありません。強い殺菌作用をもっており、「コロナを紫外線で殺菌」なんて耳にすると思いますがそれはUV-Cですね。

もちろん、そんなに強い殺傷能力があるので、人体にも影響*1などがあるとされてきたので、実験室など人の出入りを制限できるところ限定で使用されていました。

オゾン層の破壊が問題となっているのはこのせいですね。地表にUV-Cが入り込むと人間を含む生態系に影響が出る可能性があるからです。

今は波長の短い222nmのUV-C殺菌灯なら人体・DNAへの影響なく使用できると神戸大学らが2020年に発表しています。

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ポイント5

コンビニと虫

コンビニに紫色の殺虫灯があるの見た事ありますか?虫は紫外線は見えるんです。なので、紫外線に反応して寄ってくるんですね。

ただ、そこに電流を流しているので、寄ってきた虫が当たって、バチッ!というわけです。

しかし、最近見かけないな~と思っていたのですが、どうやら店内のLED照明のおかげのようです。蛍光灯は紫外線を発しますので、虫が寄り付きますが、LEDには紫外線が含まれません。

なので、LED照明のコンビニや自動販売機には虫が寄ってきません。だから、殺虫灯も見かけなくなってきているのですね。

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ポイント6

電磁波と光

難しい話は抜きにして、電磁波と言うのはものすごい小さい粒子が波になっているものです。そして、光も電磁波の一種なのです。

ここまでで光の話をしてきました。もう少し広げると、電磁波の世界に入るのです。

つまり、赤外線よりもさらに波長が長いものや、紫外線よりもさらに波長の短いものがあるんです。しかも、それらは日常生活でよく使われています。

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電磁波について

VHFやUHFはTVのアンテナでよく耳にしますね。現在の地上波デジタル放送はUHFを利用しています。昔のアナログ放送はVHFでした。

電子レンジは英語で microwave (oven) と言いますね。そう、マイクロ波を使っています。

携帯電話も電磁波を使っているのはみなさんご存じですんね~

ちなみに、電磁波ではよくHzという単位を耳にしますね。これは、波長ではなく周波数の単位です。周波数と波長は反比例しますので、波長が長くなれば周波数は小さくなります。

電磁波は体によくないとか脳腫瘍を発生するなんて話はチラホラ耳にしますね。実際問題、携帯電話から発する電磁波レベルでの発がん性などはエビデンスとしては認められていません

www.tele.soumu.go.jp

しかしながら、携帯の一般普及からまだ20年ちょっとですからもう少し長い時間、慎重に様子を見ないといけないというのがWHOの立場です。

WHOは一体・・・

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一昔前は病院内では携帯電話の電源を切ったり、電車でも優先座席付近では電源OFFが当たり前でしたが、ここ最近は携帯電話がペースメーカーや医療機器へ与える影響はほとんどないことがわかっており、総務省は15cm指針を出しています。

現在では車内アナウンスも変わっていますね。

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ポイント7

最後に

いかがでしたか?紫外線や赤外線という聞きなれた言葉ですが知らないことはたくさんあったのではないでしょうか?

では、また(^^♪

*1:皮膚癌や白内障