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台風について少し掘り下げて考えてみよう

週末は強い台風10号が接近するということでそのニュースで溢れています。今回は台風にまつわるニュースから話を広げていこうと思います。

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週末は台風が接近

それではいつものように英字ニュースから学んでいきましょう。

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NHK world より 一部修正

台風が英語でtyphoonなのはみなさん当然ご存じとして、他の言葉を確認していきましょう。

気象庁は Meteorological Agency と難しい名前で言いますが、普段は簡単に weather officials (←注意!複数形) と呼びます。現にこの文章内でも2回目は weather officials を使っています。

これはいつも言ってますが、英字新聞は同じ表現を繰り返すのを避ける傾向にあります。日本の新聞などでは、「気象庁」の次に「同庁では・・・」とかしますよね。意図としてはそんな感じです、手法が違うだけ。

あとは「上陸する」というのは台風関連では常連で、make landfall といいます。ぜひ覚えておきましょう。

避難するという表現も take shelter と evacuate まず2つを抑えておきましょう。

最後に緑字にしたcouldですが、これはcanの過去形ではなく、『推量』~だろうとしてしょっちゅう使われます。

 

言葉あそび

今日は『気象庁』という言葉を分解してみましょう。こうすると覚えやすくなります。

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難しい Meteorological Agency

おおもとになっている単語は meteor です。

僕自身はカタカナで発音を書くのは反対なので、正しい発音を身に着けたいなら IPA*1または一般的な発音記号をマスターするべきだと考えています。(今回のテーマは発音ではないのでわかりやすさ重視にしています。)

たまに「発音記号なんて習わなくていい。だいたいネイティブは発音記号なんて知らない」という理論を耳にしますが、それはネイティブは知りません。同じ環境で学べるなら不要です。勘違いしてはいけません。日本で成人までなった人間がネイティブと同じようにはできません!

必要なのは意識づけです。日本語にない音などを意識づけて体に叩きこむのに発音記号はかなり役に立ちます。

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話がそれました。失礼しました。

 

さて、このmeteor という単語は流星や隕石など空から起こる気象変化一般を広く表します。ここから、人間は一つ一つを区別するために単語を作っていきました。

そして隕石は meteorite, 流星は metoroid などのようになりました。○○学というのは ~ology となるので、 meteorology で気象学となりました。

もうこれで気象庁の英語言えますね?(^^♪

 

〇〇号と呼ばない

さて、記事を見てお気づきかもしれませんが、10号の 10 の数字が出てきていません。

そうなんです、台風○○号と言うのは日本でしか使いません。毎回の台風には名前があります。

アメリカの ハリケーンはカトリーナ (Katrina) など人の名前が付けられます。日本を含むアジア圏ではみんなで話し合い、色々な国の言葉から140の名前が作られました。日本からはコグマ、ハト、トカゲ、コンパスなど星座の名前が採用されました。

もう少しいかにも日本的なサクラとかフジとかのがいいのに・・・と個人的には思うんですが。

これら140個が順に名づけられていき、140個に達したらまた1番目から順に名前を振っていくというわけです。

ちなみに今回の台風10号はハイシェン(海神)という中国の名前です。

 

台風とハリケーンは同じ

アメリカには台風ってないんだろうか?

こう思ったことはありませんか?答えは「あります」。

台風とハリケーンとサイクロンは実はすべて同じ現象なんです。できる場所によって呼び方が違うだけです。

ニュージーランドにハリケーンズというラグビーチームがあります。池井戸潤さんの『ノーサイドゲーム』では、サイクロンズというラグビーチームが出てきました。

どちらも強そうな名前ですね。でも、タイフーンズと言う名前はなんか弱そうですね(笑)だから使われないのかな?笑 

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台風の語源

台風の語源については上図の1つめ中国語説が有名ですが、実際はアラビア語説やギリシャ神話説の方が有力視されているそうです。

 

 

台風についてさらに詳しく

台風はどのようにできるのでしょうか。めちゃくちゃ簡単に見ていきましょう。

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台風ができるのはなぜ

夏は気温が高く海水温も上がります。特に日本の南側では海水温は高く、水蒸気がどんどんと上昇気流となり熱帯低気圧ができあがるのですが、それがどんどん発達して中の風速が17m/s を超えると台風となります。

台風は貿易風に乗り、やや西側へ北上し、日本に近づいてくると偏西風の影響で次は東に向かって移動し日本列島に向かってくるわけです。

この時の日本の状況で太平洋高気圧が日本列島を覆うように張り出していると、台風はこれを避けるように、さらに北側で中国や朝鮮半島の方向に進むわけです。それが今回の9号と10号ですね。

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太平洋高気圧の影響で本州へは来ない

台風が上陸するとどうなるのでしょうか。海上にあるときと比して水蒸気の供給が少なくなることと、日本周囲の海水温は比較的低いので台風は日本列島に上陸すると勢力は弱まっていくことが多いそうです。

 

スーパー台風

スーパー台風の定義は風速67m/s 以上とされています。ちなみに今回の台風10号は最大風速 50m/s と発表されています、それでも十分強いですが。9号は最大風速 44.8m/s を記録しました。

台風ができるのは海水温の上昇による水蒸気の上昇気流でした。地球温暖化が進み、気温が上がると、当然海水温も上昇するのでそれに伴いスーパー台風が増加する恐れがあります。

2080年には海水温が2℃上昇すると予測されており、スーパー台風が増える懸念がされています。一方で、スーパー台風は増えるが、全体として台風発生数自体が減るのではないかという意見もあります。

結論は、「わからない」ということですね。(笑)

 

では、また(^^♪

*1:国際音声記号