大規模な感染症の広がりを表すにはその規模によって outbreak, epidemic, pandemic などという単語が使われます。現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中で感染が広がっており、pandemic とされています。
ここ最近、英語圏で使われる新しい造語を目にする機会が増えました。それは、twindemic です。 twin は双子ですね。つまり、インフルエンザと新型コロナが双子のように同時に感染拡大をすることです。
(実際はウイルス干渉といってあるウイルス感染が拡大しているときに他のウイルス感染は起こらりにくいとされていますが)
今回も英語の記事を使って、話を広げていきましょう。
今日の記事
今回は、レベルアップしてイギリスのBBCの記事から学んでみましょう。一度パッと読んでみてください。
単語は図の下段で確認しましょう。少しだけ追加で説明していきます。
reassure というのは少しわかりにくい単語ですね。というのも、assure という単語もほぼ同じ意味だからです。今回を機に区別しておきましょう。
assure というのは ~を約束するという意味です。 reassure は、もう一回 assure することですね。そうですね、何かが起こった時にもう一回説明などをして「~を安心させる」という意味になるわけです。
今回読解でキモになるのは、黄色下線部ですかね。文の構造、文中の "it" が何が指すのかなどしっかりと読めましたでしょうか?
韓国医師会は it の安全性が確認されるまで、it を中止するべきだと求めた。となります。はい、この it は前の文にある the vaccine programme ですね~
インフルエンザワクチンで死亡
記事の内容なのですが、実は韓国で季節性インフルエンザのワクチンを打ったあとに死亡するケースが続いているんです。このBBCの記事では13人としてしますが、続報ではその後48人となりました。中には17歳の高校生も含まれていたので衝撃が走っています。
韓国の保健当局はワクチンと死亡の因果関係は分かっていないが、結果がわかるまでワクチン接種は続けるとしています。
これは非常に難しいですね。本来ならば原因究明するまではワクチンはストップするべきですが、冬は目の前で、twindemic を食い止めたい国としてはワクチン接種を続けたい。しかし、国民は不安でいっぱい。
インフルエンザワクチン副作用
これからインフルエンザワクチンを打とうと思っている方も少し怖くなるニュースですね。少しここで副作用について見ておきましょう。
インフルエンザワクチンは作るときに、ウイルスを増殖させる必要があるのです。要は”感染”させて増殖させます。ウイルス自体は生きていませんので、増殖するには生物の細胞を借りるわけですね。
▼ウイルスについてはコチラ▼
そこで鶏卵を用いて、微量のウイルスを増殖させるのです。そして、増えたウイルスを回収してそこから不活化ワクチンを作ります。だいたい卵1個か2個で一人分のワクチンが作れます。
このように鶏卵を使うのでどうしても微量の鶏卵のタンパクが含まれてしまいます。そのため卵アレルギーがある人は注意が必要です。
このようなことから、インフルエンザワクチンの副作用としては、アナフィラキシーショックがあります。要は卵アレルギーの症状が重篤化した状態です。他にもギラン・バレー症候群という神経がやられる病態を引き起こす可能性もあります。
しかし、インフルエンザワクチンができて70年ほどになります。その間に色々なことがわかって対策も取られているので今は卵アレルギーはさほど大きな問題になりません。少なくとも日本のワクチンでは卵アレルギーがある人でもそれだけでワクチン禁忌にはなりません。(重度を除く)
ギラン・バレー症候群については高齢者で100万回に1回程度の割合で起こるとされています。だいたい接種後2週間後以降で起こるとされています。
死亡との因果関係
韓国で集団予防接種の1週間ちょいで48人が亡くなったというのは非常に大きな問題です。重要なのはワクチンとの因果関係です。おそらく皆さんが気になるのは、インフルエンザのワクチンで死ぬことがあるのか?危険なのかということだと思います。
ググってみてください。【インフルエンザワクチン 死亡】で。
今回の韓国のニュースで埋め尽くされることに気づきます。そうなんです、インフルエンザワクチン接種で死亡に直結するようなことは極めてまれなんです。しかもこの短期間に48人も亡くなるなんて考えられないし、過去にないのです。(※もちろん毎年インフルエンザワクチン接種後に亡くなる方はいます)
記事にもありましたが、韓国医師会は原因がわかるまでワクチン接種を中止すべきだと主張していますが、政府は継続の意思を見せています。
そもそも「ワクチンが死因ではない」と言い切った根拠が出されていません。上図のように“タイミング的に考えにくい“ということでしょうか。
韓国では無償投与用に500万回分を韓国内の5社で製造されたワクチンを準備しました。しかし、先月にもワクチンの冷蔵管理が適切になされていないままに800人以上に接種してしまったという報道もありました。
ワクチンは製造後、2~8℃の冷蔵保管が原則です。それを怠ると変性が起きてしまい使用できなくなる可能性があるため、常温で放置されたワクチンの使用は原則禁止されています。
今回の件がこれに当たるかはわかりませんが、やはり原因がわかるまでは韓国医師会の言うように中止するべきではないでしょうか。
もちろん元々のワクチン自体の製造に問題がなかったかなども調べる必要があります。
新型コロナワクチンで死亡?
こちらも世界中で話題になりました。
アストラゼネカとオックスフォード大学の共同開発中の新型コロナのワクチンの臨床研究は英国、日本のほかにブラジルなどでも行われています。
今回そのブラジルでの治験に参加している28歳の医師が死亡しました。
はい、これを聞くと、「おいおいやっぱワクチン怖いな~」と思ってしまいますね。これには続報があります。
このような治験では 二重盲検という手法を使います。つまり、医師側も被検者側もどちらも本薬か偽薬かわからないようにして投与するわけです。理由は、プラセボ効果、すなわち、精神的理由で効果・結果に影響を与えかねないからです。
で、通常は治験が終わるまで誰がどちらの群か明かされることはありませんが、今回のような重大なときにのみkey break といって明かされます。
すると、この死亡した医師はプラセボ(偽薬)群だったということが後にわかりました。つまり新型コロナのワクチンは打たれていません。(偽薬は髄膜炎菌ワクチンのようです。)
ブラジルの新型コロナ患者を最前線で診療しているうちに自身も9月に感染したそうです。死因は新型コロナの合併症によるものとされています。
そのため、開発中のワクチンには問題がないと判断しこちらの治験は継続することになっています。
インフルワクチン打つべき?
2つのニュースを見てきていかが感じましたでしょうか?さて、一番の問題点は政府の勧めるようにインフルワクチンを打つべきなのでしょうか?
薬と言うのはどんなときもいい面と悪い面両方があります。それらを天秤にかけてどちらが重要かというので決めるものです。
韓国のワクチン接種後の死亡は、過去に他の国で見られません。これはワクチンの質事態の問題か管理上の問題と考えるべきだと思います。インフルエンザのワクチン自体は70年以上の歴史があり、安全性は大きな問題がないと考えてよいでしょう。
では、メリットはどうでしょうか?
2017年に出された報告ではインフルワクチンの有効性は成人で50-60%と言われています。つまり、半分以上の人はインフルにかからなくて済んだということです。古いですが1999年の高齢者に関する試験では、インフルワクチン接種で死亡を82%抑制できました。
まとめると、完全に予防はできないけれども、可能性を半分にし、高齢者の死亡率を大幅に下げることができるということです。
また、最近の報告ではインフルエンザワクチン接種率が高い国は新型コロナでの死亡が低いという研究もあります。これはBCGでも同じような話でしたね。まだメカニズムはわからないのであくまで参考レベルですが。
私自身はインフルエンザワクチンはメリットがデメリットを大きく上回ると思いますので打つべきと考えています。特に高齢者などのリスクの高い方は打つべきですね。
僕は毎年打っています。というか医療関係者は高齢者に移してはいけないのでほぼMUSTです。
ではまた(^^♪